DPRK「核保有国の地位は不可逆」 米日韓の非核化要求と深まる溝
朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)の金与正(キム・ヨジョン)氏が、「わが国の核保有国としての地位は、いかなる力によっても逆転させられない」と強調し、米国や日本、大韓民国(韓国)が掲げる「完全な非核化」要求を改めて退けました。朝鮮半島の安全保障と国際社会の対話の行方に、あらためて注目が集まっています。
DPRK「核保有国の地位は変わらない」
DPRKの国営メディアは水曜日、金正恩(キム・ジョンウン)氏の妹である金与正氏の談話を伝えました。談話は前日の火曜日付とされ、DPRKが「核兵器国」であるという地位は、「どれほど米国やそのアジアの同盟国が要求しようとも、決して覆されない」と述べています。
金氏は、DPRKの立場について次のように強調しました。
- 核保有国としての地位と「実質的で非常に強力な核抑止力」は、外部からの敵対的な脅威の結果である
- たとえ誰かがどれほど必死に否定しようとも、その事実は変わらない
- 「他者の否定や承認には関心がない。わたしたちは選択を変えない」
- いかなる「物理的な力」や「ずる賢い策略」によっても、この選択が覆されることはない
こうした表現からは、DPRK指導部が核戦力を国家戦略の「不可逆な選択」と位置づけていることがうかがえます。
米日韓は「完全な非核化」を再確認
金氏の発言は、先ごろ開かれた北大西洋条約機構(NATO)の会合の傍らで行われた米国、日本、韓国の外相会談への応答とみられています。3カ国の外相は共同声明で、DPRKの「完全な非核化」へのコミットメント(約束)を改めて確認しました。
3カ国は、DPRKの核・ミサイル開発をめぐり協調を強めてきましたが、今回の金氏の強い言葉は、その非核化方針と真っ向から対立するものです。米日韓が求める「核放棄」と、DPRKが主張する「核保有の既成事実化」の距離は、むしろ広がっているように見えます。
DPRKが語る「核抑止」の論理
金氏は、DPRKの核兵器と核抑止力は「外部の敵対的な脅威」に対する結果だと主張しました。自らの核戦力を、周辺国からの圧力や軍事的なリスクに対抗するための「盾」と位置づけている形です。
一方で、米日韓の側は、DPRKの核保有が地域の不安定要因になっているとして、国連安全保障理事会の制裁や外交的圧力を通じて非核化を促してきました。今回の発言は、こうした圧力が少なくとも現時点では、DPRKの核政策を転換させる段階には至っていないことを示しています。
制裁の中で進んだ核開発
DPRKは、2006年に初の地下核実験を行って以降、国連安全保障理事会による制裁が続くなかでも核兵器の開発を追求してきました。現在、複数の核兵器を保有する兵器庫を築いたとみられていますが、大気圏内での核実験は行っていないとされています。
国連制裁は、貿易や金融取引などを制限することで核・ミサイル開発を抑え込むことを目的としています。しかし、今回の金氏の発言からは、制裁下でも核保有を維持・強化する姿勢が揺らいでいないことがうかがえます。
朝鮮半島情勢はどこへ向かうのか
今回のメッセージが示すのは、次の3点です。
- DPRKは核保有国としての地位を「不可逆」と宣言し、交渉の余地を狭めている
- 米日韓は「完全な非核化」を掲げ続けており、立場の隔たりは大きいまま
- 国連制裁の長期化にもかかわらず、DPRKは核抑止力の強化を優先している
こうした状況のもとで、緊張を高めずにどのように対話の糸口を見いだすのかが、今後の大きな課題です。朝鮮半島の安定は、東アジア全体の安全保障や、国際秩序のあり方とも深く結びついています。
DPRKの核問題をめぐる各国のメッセージの行間を読み解きながら、私たち一人ひとりも「安全保障」と「対話」のバランスについて考え続ける必要がありそうです。
Reference(s):
DPRK says its status as 'nuclear weapons state' can never be reversed
cgtn.com








