イランと米国がオマーンで間接協議 核開発と制裁巡り駆け引き
イランとアメリカが2025年4月12日、オマーンの首都マスカットで間接協議を開始しました。イランの核開発、米国の制裁、中東の地域紛争が重なる中でのハイリスクな外交戦です。
オマーンで始まった「間接協議」とは
今回のイラン・米国協議は、両国代表が同じ部屋で向き合う形ではなく、オマーン側が間に入る「間接協議」というスタイルで始まりました。
ロイター通信などによると、イランとアメリカの代表団は別々の部屋に待機し、オマーンのバドル・アルブサイディ外相が両者の立場や提案を行き来しながら伝える役割を担っています。協議のテーマは、イランの急速に進む核開発問題と、ワシントンによる対イラン制裁の扱いが中心とされています。
イラン外務省のエスマイル・バガエイ報道官によれば、こうした形での調整を通じて、核問題と制裁解除に向けた交渉の再始動を図る狙いがあります。
協議の焦点:核開発、制裁、地域の緊張
オマーンの消息筋は、今回のイラン・米国間接協議の「当面の焦点」として、次のような論点を挙げています。
- 中東地域で高まる緊張の緩和
- 拘束されている受刑者や被拘束者の交換
- イラン側が核計画を一定程度コントロールすることと引き換えにした、制裁緩和の限定的な合意
ただし、バガエイ報道官は、この内容について否定的なコメントをしており、どの部分が事実と異なるのかは明らかにしていません。交渉の中身については、イラン側とオマーン側の認識に微妙な差もあることがうかがえます。
一方で、ドナルド・トランプ米大統領は、合意が得られない場合には軍事行動も辞さない姿勢を示しており、外交交渉の行方次第で緊張が一段と高まる可能性も指摘されています。
オマーンの「静かな外交」と仲介役
オマーンは、長年にわたりイランと欧米諸国との間で橋渡し役を務めてきました。2013年以降、オマーンが仲介したとされるイラン・米国間の協議の経緯は、この日、オマーン当局が公表した詳細なサマリーにもまとめられています。
同サマリーでは、自らの役割を「静かな外交」と表現し、「中立性」がイランと米国双方から信頼を得てきた背景だと強調しました。これまでにも、オマーンはイランで拘束された外国籍や二重国籍の人々の解放に関わってきたとされ、今回もその延長線上にある取り組みといえます。
イラン側・米国側の交渉チーム
今回の間接協議でイラン側の代表団を率いるのは、アッバス・アラグチ外相です。一方、米国側はトランプ大統領の中東担当特使スティーブ・ウィトコフ氏が陣頭指揮を執っています。
ロイター通信によれば、イランと「トランプ政権」との公式協議は、2017〜2021年の最初の任期も含め、今回が初めてだとされています。長く直接対話が途絶えてきた両者が、第三国を介してとはいえ、再び交渉の場に戻ってきたこと自体が大きなニュースです。
協議は短期決着か、それとも長期戦か
アラグチ外相は、協議の開始前には「交渉がどれくらい続くかを語るのは時期尚早だ」と述べていました。しかし、交渉開始後、バガエイ報道官は国営テレビに対し、「今回の協議が長引くとは本当に予想していない」と語っています。
バガエイ報道官は「これはあくまで始まりの段階だ」としたうえで、現時点ではオマーンを通じて双方の基本的な立場を提示し合うプロセスであると説明しました。まずは相互の「原則」を確認し、その後に具体的な取引条件や合意文書の作成に入るかどうかが決まっていくとみられます。
協議開始時点では、米国側から交渉内容に関する詳しいコメントは出ておらず、ワシントンの戦略や譲歩の余地は不透明なままです。
なぜ今、この協議が重要なのか
今回のイラン・米国間接協議は、単なる二国間の交渉にとどまらず、中東全体の安定や世界経済にも影響しうるテーマを含んでいます。
- 核開発をめぐる緊張の行方
イランの核開発が「急速に進んでいる」とされるなか、外交的な枠組みを再構築できるかどうかは、軍事的緊張を抑え込めるかに直結します。 - 制裁と経済
米国の制裁はイラン経済に大きな打撃を与えてきました。制裁緩和の「限定的な合意」が実現すれば、原油市場や地域経済にも波及効果が出る可能性があります。 - 地域紛争と安全保障
中東では、複数の紛争や対立が絡み合っています。イランと米国の緊張が高まれば、周辺地域の不安定化やエネルギー供給への影響も避けられません。 - 拘束者の解放
受刑者や被拘束者の交換が進めば、人道的な観点からも前進といえます。小さな信頼醸成措置が、より大きな合意への足がかりになる可能性もあります。
これから注視したいポイント
今回のオマーンでの間接協議は、あくまで「始まり」にすぎません。今後、以下のような点が国際社会の関心を集めそうです。
- 間接協議が、将来的に直接協議へと発展するかどうか
- 地域の緊張緩和や拘束者交換など、「目に見える成果」が早期に出てくるか
- 制裁緩和と核開発の制限をどうバランスさせるのかという交渉の落としどころ
- オマーンの仲介が今後も継続し、他の地域問題にも影響を与えるかどうか
イランと米国の関係は、世界の安全保障とエネルギー市場に直結する重要なテーマです。オマーンの静かな外交が、緊張の連鎖を断ち切る一歩となるのか。それとも、軍事的な選択肢が再び前面に出てしまうのか。今後の動きから目が離せません。
Reference(s):
Iran, U.S. start high-stakes talks under shadow of regional conflict
cgtn.com








