カリフォルニア州がトランプ政権を提訴 「違法な関税」が世界貿易にも波紋 video poster
米カリフォルニア州が、トランプ政権による広範な関税措置は違法だとして、連邦政府を相手取り提訴に踏み切る方針を示しました。州経済への打撃に加え、世界貿易の減速懸念も強まるなかでの動きで、国際ニュースとして注目されています。
トランプ政権の「違法な関税」に州が反旗
カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は、水曜日に声明を発表し、トランプ政権が国際的な貿易相手国に対して課している大規模な関税は「違法な関税」だとして、政権を提訴すると明らかにしました。
ニューサム知事は、これらの関税がカリフォルニアの家庭や企業、州全体の経済に混乱を引き起こし、物価を押し上げ、雇用を脅かしていると指摘し、「この混乱をこれ以上続ける余裕は家庭にはない」と強調しています。また、SNSのXでも「ドナルド・トランプ氏には、破壊的で混乱を招く関税を課す権限はない。アメリカはあまりにも多くを失う」と投稿し、「裁判所で争う」と明言しました。
カリフォルニア州は、こうした関税をめぐりトランプ政権を提訴する全米初の州となります。訴えはカリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所に提出される見通しです。
争点は「大統領権限」 緊急経済権限法をどう解釈するか
訴状では、トランプ大統領が関税の根拠として挙げた「国際緊急経済権限法(International Emergency Economic Powers Act)」の解釈が最大の争点となります。カリフォルニア州側は、この法律は大統領に今回のような一方的な関税発動を認めておらず、権限の乱用にあたると主張する方針です。
ニューサム知事は、トランプ政権が「現代アメリカ史上最大規模の増税」に相当する関税を、一方的な権限の行使によって課していると批判し、その影響は他のどの州よりもカリフォルニアに重くのしかかると訴えています。
カリフォルニアが特に痛手を受ける理由
カリフォルニア州はアメリカで最大の経済規模を持つ州であり、製造業でも全米最大の州とされています。同時に、世界の中でも有数の貿易拠点であり、関税政策の変化に非常に敏感な地域です。
ニューサム知事によると、アメリカ国内で動く貨物の約40%が、カリフォルニアにある2つの主要港を通過しており、そのうち約半分は中国からの貨物だといいます。物流の要衝であるだけに、貿易摩擦や関税引き上げの影響を真っ先に受けやすい構造です。
さらに、同州はアメリカ最大の輸入州でもあります。州の発表によれば、6750億ドルを超える二国間貿易が州内で行われており、それが数百万人規模の雇用を支えています。2024年の輸出先としては、メキシコ、カナダ、中国がトップ3で、この3つへの輸出額は約670億ドルに上り、州全体の輸出額1830億ドルの3分の1以上を占めました。
こうした数字からも、関税政策が変われば、カリフォルニアの企業や労働者、そして税収に直結することが分かります。
- 貨物の約40%がカリフォルニアの2港を通過
- その約半分は中国からの貨物
- 二国間貿易は6750億ドル超、数百万人の雇用を支える
- 主要輸出先はメキシコ・カナダ・中国で2024年に約670億ドル
WTO「世界貿易の見通しは急速に悪化」
トランプ政権の関税措置を受けて、世界貿易機関(WTO)は、水曜日に発表した見通しの中で、世界貿易の先行きが「急速に悪化した」と警告しました。
現在発動されている関税と、いわゆる「報復関税」を90日間停止する措置を織り込んだ前提では、世界の物品貿易量は2025年に0.2%減少すると見込まれています。そのうえで、2026年には2.5%の「緩やかな」回復にとどまると予測しています。
特に北米地域の落ち込みが大きいとされ、2025年の輸出は12.6%減少すると予測されています。世界貿易の減速が長引けば、アメリカ国内だけでなく、米国と深く結びつくアジアやヨーロッパの企業活動にも影響が波及する可能性があります。
日本の読者にとっての意味—「関税」は遠い話ではない
今回のカリフォルニア州による提訴は、アメリカ国内の法廷闘争という側面だけでなく、世界経済の行方を左右する「通商ルール」をめぐる争いという意味も持ちます。
カリフォルニアはハイテク産業や農産物、エンターテインメントなど、多様な産業を抱える世界的な経済拠点です。ここでの貿易環境の変化は、サプライチェーン(供給網)を通じて、日本やアジアの企業にもじわじわと波及しうるテーマです。
今後、連邦裁判所が大統領の関税権限をどう判断するのかは、アメリカの通商政策のあり方だけでなく、世界の貿易ルールと経済の安定性にも関わる重要な焦点となります。ニュースを追いながら、「一州と政権の対立」にとどまらない構図を意識しておくことが、国際ニュースを読み解くうえでのヒントになりそうです。
通商摩擦や関税の動きは、為替、株式市場、企業の投資計画などにも影響します。日々のニュースの中で「関税」「貿易」というキーワードが出てきたとき、今回のような訴訟やWTOの警告が、その背景にあることを思い出してみると、ニュースの見え方が少し変わってくるかもしれません。
Reference(s):
California sues Trump administration over 'unlawful tariffs'
cgtn.com








