米経済学者970人超が反関税宣言 トランプ政権の通商政策に警鐘
米経済学者970人超が「反関税宣言」 トランプ政権の通商政策に警鐘
ノーベル賞受賞者を含む970人以上の経済学者が、トランプ米大統領の関税政策に反対する「反関税宣言」に署名し、「誤った政策が米国発の自滅的な景気後退を招きかねない」と警鐘を鳴らしています。米国の関税強化は、日本を含む世界経済にも直結するニュースです。
宣言の中身:ノーベル賞学者も署名
今回公表された文書の正式名称は、英語で『Trade and Tariffs Declaration: A Statement on the Principles of American Prosperity』とされています。メディア報道によると、この「反関税宣言」には、ノーベル経済学賞受賞者のジェームズ・ヘックマン氏やバーノン・スミス氏ら、著名な経済学者を含む976人が署名しました。
宣言は週末にオンラインで回覧され、日曜日の朝までに署名者は976人に達したと伝えられています。署名者たちは、トランプ政権の関税政策を「誤った」「一貫性を欠いた有害な政策」と位置づけ、早期の見直しを求めています。
トランプ政権の「相互」関税とは
トランプ大統領は2025年4月2日、米国の主要な貿易相手国に対する大規模な関税措置を発表しました。本人はこの日を「解放の日」と呼び、長年続いてきた貿易赤字を是正し、米国の製造業を立て直すことが狙いだと主張しています。
新たな政策の柱とされるのが、いわゆる「相互」関税です。これは相手国の関税水準に応じて米国が関税率を設定するという考え方ですが、宣言は、この「相互」関税率が、経済的現実に根拠のない、場当たり的で誤った計算式に基づいていると批判しています。
宣言によると、こうした関税は世界180以上の国と地域に波及しており、発表からわずか1週間後に、政権は一部の高関税について90日間の猶予期間を設ける一方、多くの国・地域に対しては10%の基準関税を維持するなど、運用も揺れています。
「自ら招く景気後退」への懸念
トランプ政権の関税政策を受け、株式市場では大規模な売りが相次ぎ、各国・地域は対抗措置として報復関税などの対策に動いています。貿易摩擦の激化により、企業活動や投資マインドへの悪影響が広がりつつあります。
宣言は、最大の負担を負うのは米国の労働者だと指摘します。関税は輸入価格の上昇を通じて、最終的に消費者物価を押し上げる可能性が高いとみられており、署名した経済学者たちは「米国の労働者が、物価上昇と『自ら招く景気後退』のリスクという形で、これらの誤った政策の矢面に立たされる」と警告しています。
トランプ大統領は、関税強化によって貿易赤字を縮小し、国内製造業の雇用を増やせると主張していますが、宣言は「現政権の関税は、普通のアメリカ人が直面する経済状況を取り違えた認識に基づいている」と反論しています。
米国の港から見える現実:物流にも影響
2025年4月19日に撮影された米カリフォルニア州ロサンゼルス港の光景は、関税問題が単なる理論上の議論ではなく、港湾や物流、ひいては企業活動の現場に直接関わるテーマであることを象徴しています。関税の引き上げは、貨物の流れやサプライチェーン(供給網)の再編を促し、貿易に依存する地域経済にも波紋を広げかねません。
日本と世界への影響は
米国は日本を含む多くの国と地域にとって最大級の貿易相手であり、米通商政策の変化は、為替、株価、企業の投資計画まで幅広く影響します。今回の「相互」関税の対象には、世界180以上の国と地域が含まれるとされており、日本企業も無関係ではありません。
想定される影響として、例えば次のような点が挙げられます。
- 米国向け輸出にかかるコスト増加により、収益圧力が高まる可能性
- 各国・地域の報復関税による世界貿易の減速と、サプライチェーンの再構築
- 株式市場の不安定化を通じた、個人投資家や年金運用への影響
こうした連鎖を背景に、「関税は一国の問題ではなく、世界全体の成長と安定に関わるグローバルな論点だ」という認識が強まっています。
これから注目すべきポイント
署名した経済学者たちは、トランプ政権に対し、「一貫性を欠き有害な通商政策」を終わらせるよう求める一方で、「健全な経済原則、実証的な証拠、そして歴史の警告が、保護主義的な神話を乗り越えると信じている」としています。
今後、注目したいポイントは次の通りです。
- 90日間の猶予期間が終わるタイミングで、関税率がどう見直されるのか
- 米国内の世論や企業団体、専門家の声が、政権の通商政策にどこまで影響を与えるのか
- 各国・地域の報復措置がエスカレートするのか、それとも対話による調整が進むのか
日本の読者にとっても、これは遠い世界の話ではありません。米国発の通商政策の揺れは、輸出産業の業績から、私たちの投資、さらには日々の物価にまでつながっていきます。2025年の今、国際ニュースとしての「関税」を追いながら、自分の生活との接点を意識しておくことが大切になっています。
Reference(s):
cgtn.com








