米国防長官ヘグセット氏、Signalチャットで戦闘計画共有か NYT報道
米国のピート・ヘグセット国防長官が、イエメンのイラン寄り武装組織フーシ派への空爆計画の詳細を、家族らも参加するメッセージアプリ「Signal」のグループチャットで共有していたと米紙ニューヨーク・タイムズなどが報じ、機密情報の扱いをめぐる懸念が一段と高まっています。
家族らも参加した「第2の」Signalチャット
ニューヨーク・タイムズは日曜日付の記事で、ヘグセット氏が3月に実施されたイエメンのフーシ派への空爆について、その詳細をメッセージアプリ「Signal」のグループチャットに書き込んでいたと報じました。このチャットには、同氏の妻や兄弟、個人弁護士が含まれていたとされています。
同紙は、やり取りの内容を知る4人の関係者の話として、この「第2の」チャットでは空爆のスケジュールなど、作戦の具体的なタイミングに関わる情報も共有されていたと伝えています。これらは正式な機密指定はされていないものの、安全保障上は極めてセンシティブな情報とみなされる性質のものだと指摘されています。
先月も別のチャットで作戦内容が共有
ヘグセット氏をめぐっては先月も、雑誌アトランティックが、同氏が別のSignalチャットでフーシ派攻撃の詳細を共有していたと報道しました。このチャットには、アトランティックの編集長ジェフリー・ゴールドバーグ氏が誤って追加されていたとされ、トランプ米大統領の最側近による国家安全保障チームを巻き込んだ「誤送信」として注目を集めていました。
今回ニューヨーク・タイムズが伝えたのは、その「別のチャット」とは異なる、第2のグループの存在です。複数のメディア報道が相次いだことで、国防長官がどのような経路で軍事情報を共有しているのかが改めて問われています。
「機密は話していない」との説明も
一方で、タイムズは、事情を知る米政府関係者が「真実として、国防長官の側近たちの就任前から続く非公式のグループチャットがあったが、そこで機密情報が話されたことはない」と説明しているとも伝えています。
この発言は、チャットで扱われた情報が公式には機密指定されていなかった、という立場を示すものです。ただ、空爆の実施時刻を含む軍事行動の詳細が、家族や個人的な知人を含むグループで共有されていたとされること自体に、懸念が集中しています。
妻の会議出席と側近更迭 国防総省内で揺らぐ信頼
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、ヘグセット氏の妻ジェニファー氏(元Foxニュースのプロデューサー)は、海外の軍関係者との機微な会合にも同席していたと報じられました。家族がどこまで外交・安全保障の現場に入り込むべきなのかという点でも、議論を呼びそうです。
またロイター通信は、ヘグセット氏の側近の一人であるダン・コールドウェル氏が、国防総省内の情報漏えい調査で名前が挙がり、先週、ペンタゴンの建物から退去を求められたと伝えています。その後、ヘグセット氏の副官となったダリン・セルニック氏と、スティーブ・ファインバーグ国防副長官の首席補佐官を務めていたコリン・キャロル氏も、行政休職(アドミニストレーティブ・リーブ)となったとされています。
国家安全保障会議(NSC)や国防総省の報道担当者は、こうした一連のSignalチャットに関する追加の問い合わせに対し、現時点でコメントしていないと報じられています。
ヘグセット氏解任を求める政治的圧力
国内政治への波紋も広がっています。米上院の民主党トップであるチャック・シューマー院内総務はX(旧ツイッター)への投稿で、「新たな情報が次々と明らかになっている。ピート・ヘグセットは人命を危険にさらした。しかしトランプ大統領はいまだに彼を解任できずにいる」と述べ、「ヘグセット国防長官は解任されるべきだ」と強く主張しました。
トランプ政権はこれまで、政府内の情報漏えいを厳しく追及する方針を打ち出してきました。国防総省でもヘグセット氏がその姿勢を率先してきたとされていますが、今回のSignalチャットをめぐる一連の報道により、政権内部の情報管理のあり方そのものが問われる状況となっています。
今回の報道から見える3つのポイント
今回の一連の報道から、次のような論点が浮かび上がっています。
- 非公式なメッセージアプリのグループで、軍事作戦に関わるセンシティブな情報が共有されていたとされること
- 情報の機密指定の有無にかかわらず、家族や個人的な知人が国防長官周辺の情報の流れに深く関与していたと報じられていること
- 情報漏えいを厳しく取り締まってきたとされるトランプ政権自身が、情報管理の甘さを問われる構図になっていること
メッセージアプリの利用は、政府にとっても迅速な連絡手段となる一方で、誤送信や外部への流出リスクとも隣り合わせです。ヘグセット氏をめぐる今回の報道は、デジタル時代の安全保障と政治の関係を、あらためて考えるきっかけとなりそうです。
Reference(s):
U.S. Defense Secretary shared war plans in second Signal chat: NYT
cgtn.com








