ロシア和平協議停滞 トランプ米大統領とゼレンスキー氏が再び激しく応酬
ロシアとの和平協議が行き詰まるなか、トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が、クリミア問題と停戦条件をめぐって再び激しく言葉を交わしました。米国、ウクライナ、欧州の間で、戦争終結に向けた戦略の違いがあらわになっています。
トランプ氏「クリミア発言は和平交渉に極めて有害」
トランプ米大統領は、水曜日に自身の発信プラットフォームであるトゥルース・ソーシャルに投稿し、ゼレンスキー大統領のクリミアに関する発言を強く非難しました。トランプ氏は、ゼレンスキー氏の発言がロシアとの和平交渉にとって「極めて有害だ」と批判しました。
トランプ氏は、ゼレンスキー氏にクリミアをロシア領として認めるよう誰も求めていないとしつつ、「もしクリミアを本当に望むなら、十一年前に一発の銃弾も撃たれずにロシアに引き渡された時になぜ戦わなかったのか」と疑問を投げかけました。
さらに、ゼレンスキー氏の発言について「このような挑発的な発言が、この戦争の解決をこれほど難しくしている」と述べ、「彼には誇れるものは何もない」とまで言及。ウクライナの状況は「極めて厳しい」とし、「平和を選ぶか、あと三年戦って国全体を失うかだ」と警告し、強い圧力をかけました。
トランプ氏は、現在の戦場を「殺りくの場」と表現し、「誰もそんな状況は望んでいない」と強調。そのうえで、「我々は合意に非常に近づいている」と主張し、ゼレンスキー氏を「切れるカードのない男」と呼びながら、いまこそ合意をまとめるべきだと迫りました。ホワイトハウスのレヴィット報道官も、米国が主導した和平プロセス開始から数週間が経過するなかで、トランプ氏の忍耐は「非常に薄くなっている」と語っています。
ゼレンスキー氏は「クリミア占拠の法的承認は拒否」
これに先立ち、ゼレンスキー大統領は火曜日、ウクライナ政府系通信社ウクルインフォルムの報道によると、潜在的な停戦が成立した後であれば、どのような形式であってもロシアとの協議に臨む準備があると表明しました。
一方でゼレンスキー氏は、ロシアによるクリミアの占拠を法的に認めることはウクライナ憲法に反すると指摘し、その承認を明確に拒否しました。領土と主権に関する原則を崩さないという姿勢を示した格好で、まさにこの点がトランプ氏との激しい対立の焦点となっています。
ロンドン協議は「感情的な場」に 米欧とウクライナの溝も浮上
ゼレンスキー氏は、その後に投稿したエックスで、ロンドンで行われた米国、ウクライナ、欧州の担当者による協議について言及しました。そこでの議論は「感情的なものになった」と認めつつも、今後の共同作業が平和につながることへの期待を示しました。
一方、今回のロンドン協議では、トランプ政権の対ウクライナ政策を象徴するような動きも見られました。ルビオ米国務長官がロンドン訪問を取りやめたことで、ウクライナ、英国、フランス、ドイツの外相を交えたより幅広い会合もキャンセルされました。これは、戦争終結のあり方をめぐり、ワシントン、キーウ、欧州各国の間にある温度差を印象づける形となりました。
トランプ大統領のウクライナ担当特使ケロッグ氏は、エックスでロンドンでの協議について、ゼレンスキー氏の側近エルマーク氏との「前向きな」意見交換があったと説明。そのうえで「トランプ大統領のウクライナ・ロシア戦争に関する指針を前進させる時だ。殺りくを止め、平和を達成し、アメリカ・ファーストを実現すべきだ」と投稿しました。
トランプ特使はモスクワでプーチン氏と再会へ
米政府高官によると、トランプ大統領の特別特使ウィトコフ氏は、今週金曜日にも再びプーチン露大統領と会談する予定だとされています。ウィトコフ氏はすでに三度プーチン氏と会い、戦争終結に向けた可能性について協議してきたとされ、今回のモスクワ訪問もその一環とみられます。
ロシアとの和平協議は続いているものの、クリミア問題や停戦条件をめぐり関係国の意見が割れるなかで、実質的には行き詰まりの様相もにじみます。トランプ政権側は合意が近いと強調する一方、ゼレンスキー氏は憲法上の原則を譲れないとする立場で、両者の溝は簡単には埋まりそうにありません。
今回の対立が示すもの 原則か早期停戦か
今回のトランプ氏とゼレンスキー氏の応酬は、領土と主権に関する原則を守ることと、戦闘を早期に止めたいという現実的な圧力とのせめぎ合いを象徴しています。特にクリミアの扱いは、今後の和平協議で最大級の争点であり続けることをあらためて示しました。
トランプ氏は、戦争がさらに三年続く可能性に言及し、厳しい選択を迫る形でウクライナ側に譲歩を促しています。一方でゼレンスキー氏は、憲法と国の一体性を守ることを優先しており、その立場を簡単には変えない姿勢です。
ロンドン協議での「高ぶった感情」や、米欧外相会合のキャンセルは、ロシアとの戦争終結をめぐる国際社会の足並みがそろっていない現状を物語ります。今後のモスクワでの協議や、米国とウクライナ、欧州の間でどこまで共通の着地点を描けるかが、戦争の行方と和平のタイミングを左右する重要な焦点となりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








