国連グテーレス氏「二国家解決が消滅の瀬戸際」中東和平はどこへ
国際ニュースとして注目されるパレスチナ問題で、国連のアントニオ・グテーレス事務総長が、イスラエルとパレスチナの二国家解決が「戻れない地点」に近づいていると強い危機感を示しました。中東和平の行方を左右しかねない発言のポイントを整理します。
安保理で示された深刻な警告
グテーレス事務総長は、パレスチナ問題を含む中東情勢に関する国連安全保障理事会の公開討論で演説し、現在の中東は暴力と不安定さに特徴づけられつつも、同時に「機会と可能性」も内包していると述べました。
その上で、持続可能な中東和平は一つの根本的な問いにかかっていると強調しました。それが、イスラエルとパレスチナが、エルサレムを両国の首都としつつ、平和と安全の中で並び立つ二国家解決という構想です。
しかし事務総長は、この二国家解決の約束は「消滅寸前のところまでしぼみつつある」とし、この長年の目標に対する政治的コミットメントは「かつてないほど遠のいている」と指摘しました。
ガザと西岸で悪化する現場の現実
グテーレス事務総長は、2023年10月7日に発生したハマスによるテロ攻撃以降、中東情勢は「あらゆる面で悪化している」と述べました。その具体例として、次の点を挙げています。
- ガザにおける絶え間ない戦闘と甚大な破壊
- 占領下にあるヨルダン川西岸地区(東エルサレムを含む)でのイスラエル軍の軍事作戦
- 処罰されないことを前提としたかのように、入植者による暴力が危険な水準で続いていること
事務総長は「世界は二国家解決が消えていくのを傍観する余裕はない」と訴え、政治指導者たちは「沈黙を選ぶのか、追認するのか、それとも行動するのか」という明確な選択を迫られていると警告しました。
人道支援の妨害を懸念 国際法遵守を要請
グテーレス事務総長は、イスラエルの一部政府関係者から、人道支援を軍事的圧力の手段として利用するかのような発言が出ていることに強い懸念を示しました。その上で、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)を含む人道支援活動は妨げられてはならないと強調しました。
さらに、次の二点を明確に求めました。
- すべての人質の即時かつ無条件の解放
- 恒久的な停戦の実現
事務総長は国連加盟国に対し、自らが持つ影響力を活用して国際法が尊重され、違法行為に対する不処罰がまかり通らないようにする責任があると訴えました。また、紛争当事者すべてに対し、国際人権法や国際人道法を含む国際法上の義務を守るよう促しました。
特にイスラエルについては、占領権力として、占領下にあるパレスチナの人々に対し、食料や医療品を確保する義務があると指摘しました。そのうえで、占領パレスチナ地域での救援活動に合意し、これを円滑に実施させる義務があると述べ、人道・医療関係者および国連要員は尊重され、保護されなければならないと強調しました。
二国家解決に向けた「不可逆的な行動」を要求
グテーレス事務総長は、国際社会には「永続的な占領と暴力」を防ぐ責任があると強調し、二国家解決の実現に向けた不可逆的な行動を取るよう、国連加盟国に呼びかけました。
その一環として、フランスとサウジアラビア王国が共同議長を務める6月のハイレベル会議を、国際的な支援を再活性化させる重要な機会だと位置づけました。加盟国に対しては、単なる言葉での支持表明にとどまらず、どのような具体的措置を講じるのかを創造的に検討するよう求めています。
また、パレスチナ自治政府に対する政治的・財政的支援を、より強力かつ継続的に行う必要があるとし、国際社会の関与と支援の強化を呼びかけました。
中東和平と私たちに突き付けられた問い
今回の発言でグテーレス事務総長は、二国家解決が単なる外交スローガンではなく、「パレスチナ人とイスラエル人、中東地域、そして人類全体の平和」にかかわる中核的な問いであると位置づけました。
二国家解決とは、イスラエルとパレスチナがそれぞれの国家として互いの安全を保障しながら共存する構想です。しかし、その実現に向けた政治的意思が弱まれば、現地での暴力の連鎖や人道状況の悪化がさらに続き、和平の可能性そのものが閉ざされかねません。
事務総長は、指導者たちに対し「政治的勇気」と「政治的意思」を発揮し、この中核的な問いに応えるよう求めました。国連安保理での今回のメッセージは、中東和平をめぐる議論が岐路にあることを改めて示すものだと言えます。
今後、国連加盟国や地域の関係者が、二国家解決の「消滅の瀬戸際」という警告をどのように受け止め、具体的な行動に移していくのかが問われています。
Reference(s):
cgtn.com








