ロシア・ウクライナ直接交渉は実現するか 停戦か交渉かで深まる溝
3年目に入ったロシアとウクライナの戦闘をめぐり、ロシアのプーチン大統領が前提条件なしの直接交渉再開を呼びかけましたが、両国の核心的な要求の溝は深く、停戦と対話のどちらを優先するかでも対立が鮮明になっています。東欧研究の専門家は「短期的に直接会談が実現する可能性は高くない」と分析しています。
プーチン氏が提案した「前提条件なし」の会談
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は日曜日、ウクライナとの直接交渉を「いかなる前提条件も付けずに」再開するよう呼びかけ、5月15日にトルコのイスタンブールで双方が会談することを提案しました。
これに対しウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシア側のトップと会う用意があると応じましたが、ロシア側は誰が協議に出席するのかをまだ明らかにしていません。
両首脳が直接顔を合わせたのは2019年12月が最後で、両国の代表団による直接協議も、ロシアがウクライナで「特別軍事作戦」を開始した翌月の2022年3月に、同じくイスタンブールで行われたのが最後となっています。
3年前のイスタンブール合意案を「土台」に
中国社会科学院ロシア・東欧・中央アジア研究所の孫壮志(スン・ジュワンジー)所長は、中国メディアグループのインタビューに対し、プーチン氏の提案は「建設的」だと評価しつつも、「短期的に直接会談を実現するのは難しい」との見方を示しました。
孫氏によると、プーチン氏の提案には、2022年3月のイスタンブール会談で得られた合意や当時作成された草案文書を新たな協議の土台とする意図が含まれており、ロシア側が本格的な交渉に臨む用意があることを示しているといいます。
また孫氏は、米国による仲介がこれまで目に見える成果を生んでいない中で、ロシアは当事者同士の直接対話が不可欠だと考えていると指摘。今回の提案には、ウクライナ側が求めてきた「30日間の無条件停戦」の呼びかけに応える狙いもあると分析しました。
「停戦が先か、交渉が先か」表面的な違いに見えて
一方で孫氏は、今回の直接交渉が実現するかどうかには大きな不透明感が残るとみています。ウクライナ側は、ロシアがまず無条件停戦を実行しない限り、交渉のテーブルには着かないという立場を崩しておらず、この方針は欧州の同盟国からも支持を得ています。
表面的には、「まず交渉か、まず停戦か」という手続き上の違いのようにも見えますが、孫氏は、その背後にはより複雑な現実があると指摘します。
停戦は、一方的な宣言だけで実現できるものではなく、双方による承認と、形式的かつ実効性のある協議や取り決めが欠かせません。これまでにも停戦が試みられた場面はありましたが、さまざまな理由で長続きしなかったとしています。
核心的な要求の「深い溝」
孫氏は、ロシアとウクライナのあいだには「核心的な要求」をめぐる明確な溝があると指摘します。両国が描く戦後の安全保障像は、大きく食い違っています。
両者の目標を整理すると、次のようになります。
- ロシア側の主な目的
・今回の衝突の「根本原因」を議論すること
・北大西洋条約機構(NATO)によるウクライナへの軍事支援の停止
・ウクライナが将来NATOに加盟しないことの保証を得ること - ウクライナ側の主な目的
・欧米からの支援を確保すること
・自国の領土的一体性と主権を堅持すること
・将来的なNATO加盟の方針を維持すること
こうした目標は互いに正面からぶつかっており、どちらかが一方的に譲歩すればよいという単純な構図ではありません。孫氏は、相互の信頼が欠けている現状では、交渉を前に進めることも、実効性のある停戦を実現することも「非常に大きな困難」を伴うと述べています。
停戦への道筋をどう描くか
3年に及ぶロシアとウクライナの衝突は、停戦か交渉かという順番だけでなく、安全保障の枠組みそのものをめぐる深い対立を浮かび上がらせています。イスタンブールでの直接会談が実現すれば、少なくとも双方の立場と争点を改めて整理する機会にはなり得ますが、その入口に立つこと自体が容易ではありません。
いま求められているのは、どの国の立場に立つかを超えて、どのような段階を踏めば停戦と対話に現実的に近づけるのかを冷静に見極める視点です。相手の安全保障上の懸念をどう扱うのか、第三者の関与をどこまで認めるのか――そうした問いが、今後の和平のシナリオを左右していきそうです。
ロシアとウクライナの「核心的な要求」の溝が、これからの動きを大きく左右します。停戦への第一歩として何が最も現実的なのか、私たち一人ひとりも考え続ける必要がありそうです。
Reference(s):
Expert: Russia and Ukraine locked in deep rift over core demands
cgtn.com








