トランプ米大統領、鉄鋼・アルミ関税を50%へ倍増表明 世界市場に波紋
トランプ米大統領が、鉄鋼とアルミの輸入関税を現在の25%から50%へ倍増させる方針を打ち出しました。世界最大の鉄鋼輸入国である米国の強硬策は、国際ニュースとして各国の鉄鋼・製造業、そして消費者にも影響を及ぼす可能性があります。
鉄鋼・アルミ関税を25%から50%へ倍増表明
トランプ大統領は2025年5月末、米ペンシルベニア州ピッツバーグ近郊で開かれた集会で演説し、外国産鉄鋼の輸入関税を25%から50%に引き上げる考えを示しました。
トランプ氏は演説で、米国に輸入される鉄鋼への関税を25%から50%に引き上げることで、米国の鉄鋼産業がより強固に守られると強調しました。
また、日本の日本製鉄と米国のU.S.スチールのあいだで合意した149億ドル規模の取引にも言及し、この取引と関税引き上げが米国の鉄鋼労働者の雇用を守るのに役立つとアピールしました。
その後、トランプ氏は、同様の関税引き上げをアルミ製品にも適用し、6月4日に発効させると説明しました。自身のSNSで、米国の鉄鋼とアルミ産業はかつてないほど復活していると投稿し、政策の成果を強調しています。
安全保障を根拠としたセクション232関税
今回の引き上げ対象となる鉄鋼・アルミ関税は、トランプ氏が大統領就任直後に導入したものです。25%の輸入関税は、就任後まもない3月に発効しました。
これらの関税は、いわゆるセクション232と呼ばれる国家安全保障上の権限に基づき課されており、対象は素材そのものだけではありません。ステンレス製シンク、ガスレンジ、エアコンの蒸発コイル、蹄鉄、アルミ製フライパン、スチール製ドアの蝶番など、鉄鋼・アルミを使った派生製品も広く含まれています。
米国の国勢調査局のデータを、米国際貿易委員会のデータベース経由で集計した数字によると、こうした289品目の2024年の輸入総額は1473億ドルに上り、そのおよそ3分の2がアルミ製品、残り3分の1が鉄鋼製品でした。
世界最大の鉄鋼輸入国が動く意味
欧州連合を除くと、米国は世界最大の鉄鋼輸入国であり、2024年の鉄鋼輸入量は2620万トンに達しました。このような国が輸入関税を一気に50%まで引き上げれば、米国内だけでなく世界全体の鉄鋼価格を押し上げる要因となります。
実際、今回の措置によって、鉄鋼やアルミを原材料として使う自動車、家電、建設など幅広い産業のコスト上昇が予想され、最終的には消費者価格にも影響が及ぶ可能性があります。
鉄鋼・アルミを米国に輸出している企業や国・地域にとっても、採算や投資計画の見直しを迫られるリスクがあります。日本製鉄とU.S.スチールの取引が象徴するように、日米の鉄鋼業は深く結びついており、日本の鉄鋼メーカーや関連企業も米国市場の動向から目を離せません。
中国を名指しした発言と貿易摩擦
トランプ氏は今回の発表に先立ち、中国が米国とのあいだで結んだ、重要鉱物をめぐる関税や貿易制限を相互に引き下げる合意に違反したと主張しました。いわゆるジュネーブ合意に違反したと非難した形ですが、どの点が合意違反に当たるのか、また中国側に対して具体的にどのような措置を取るのかについては明らかにしていません。
鉄鋼・アルミ関税は、トランプ政権の初期から続く通商政策の柱の一つであり、今回の倍増方針は、米国と主要な貿易相手国とのあいだの貿易摩擦を一段と強める可能性があります。
これから何が焦点になるのか
今回の関税倍増表明を受けて、今後は次のような点が焦点になりそうです。
- 鉄鋼・アルミ価格の上昇が、米国および世界の製造業・建設業にどこまで波及するか
- 輸出国・地域がどのような対抗措置や交渉を打ち出すのか
- 日本製鉄とU.S.スチールの取引が、米国の保護的な通商政策のもとでどのように進むのか
- 中国をめぐる発言を背景に、重要鉱物や鉄鋼分野で新たな通商措置が取られるのか
鉄鋼やアルミは、インフラから家電まで私たちの日常を支える基礎素材です。トランプ政権の関税政策が、国際市場だけでなく、ものづくりの現場や消費者の生活にどのような形で影響していくのか、引き続き注視する必要があります。
Reference(s):
cgtn.com







