トランプ関税で米国消費が冷え込み 調査が示す「夏の節約」
2025年も年の瀬を迎える中、今年のアメリカでは夏前から「出費を抑えよう」と考える人が増えていました。その背景の一つとして指摘されているのが、トランプ大統領の新たな関税政策です。
トランプ関税で「夏の出費」を見直すアメリカ人
英紙インディペンデントのオンライン報道によると、2025年の夏を前に実施された複数の世論調査やメディア取材から、トランプ政権の貿易関税が米国の消費行動に影響を与えている実態が浮かび上がりました。
個人向け金融サービス会社ウォレットハブの調査では、回答者の45%が「関税が旅行計画に影響している」と答えました。また、ほぼ3人に2人が「昨年の夏よりも今年の夏は支出を減らすつもりだ」と回答しており、夏の余暇消費を抑える動きが多数派になっていたことが分かります。
調査が示す「節約」と「景気後退」への不安
会計大手KPMGが4月に米国の消費者1516人を対象に行った別の調査でも、同様の傾向が確認されています。半数の回答者が「関税の影響で支出を削減している」と答えたほか、7割以上が「今後12カ月以内に景気後退が起きる」と予想していました。
関税は輸入品に上乗せされる税金であり、最終的には消費者が支払う価格に反映されやすい仕組みです。調査結果は、そうした物価上昇への懸念が人々の心理を冷やし、「今は使うより貯めておきたい」という慎重姿勢につながっている可能性を示しています。
物価高に直面する生活者の声
米NBCニュースが伝えたフリーのコピーエディター、レイナ・ベッカーさんは、関税によって高止まりしている価格が「商品やサービスの価値に見合わない水準になっている」と感じているといいます。日々の買い物のたびに「さすがに高すぎるのでは」と感じる人は、日本でも少なくないかもしれません。
米メディアのブルームバーグに登場したフィラデルフィア在住のブラッド・ラッセルさんは、2人の子どもを持つ父親です。ラッセルさんの家族は、今後のコスト上昇を見込んで今年の夏の休暇を「より控えめなもの」に切り替えました。ディズニーのような大型リゾートでの1週間の滞在を見送り、近場への週末ドライブ旅行にシフトしたといいます。
こうした個々のエピソードは、統計の数字だけでは見えにくい「関税の肌感覚」を補ってくれます。旅行やレジャーといった裁量的な支出から真っ先に削られていく様子は、家計の不安の大きさを物語っています。
緊急権限で広がる新たな関税
報道によると、トランプ大統領は2025年1月に政権に復帰して以降、緊急権限を用いて幅広い輸入品に対し高い税率の新関税を次々と導入してきました。事実上の「追加の消費税」のような形で、海外からの製品や部品の価格を押し上げている構図です。
企業側はコスト増を吸収しきれず、最終的には価格の引き上げという形で消費者に転嫁せざるを得ない場面も増えます。関税が国内産業の保護や交渉カードとして用いられる一方で、短期的には一般の家庭の生活費を押し上げ、消費を冷やす要因になり得ることが、今回の各種調査から垣間見えます。
日本から読む「米国の消費マインド」
日本やアジアにとって、米国の個人消費は輸出や金融市場を通じて大きな影響を及ぼします。だからこそ、アメリカの「家計の気分」がどう変化しているのかを、数字と生活者の声の両方から丁寧に追うことが重要です。
今回紹介した調査やインタビューは、2025年夏を前にしたアメリカ人の本音の一端にすぎません。しかし、関税という政策手段が、物価や景気の見通しだけでなく、人々の旅行計画やレジャーの過ごし方にまで影響を及ぼしうることを示しています。年末の消費シーズンを迎える今、政策と生活のつながりをあらためて考えるきっかけになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








