ポルトガルでモンテネグロ新首相就任 16人の「スリム内閣」が始動
ポルトガルで、社会民主党(PSD)党首で民主同盟(AD)を率いるルイス・モンテネグロ氏が新首相に就任し、16人の閣僚からなる新内閣が発足しました。官僚主義との決別と行政改革を掲げるこの新政権は、2025年のヨーロッパ政治の流れを映す動きとして注目されています。
モンテネグロ新首相が誓った「官僚主義との戦い」
就任宣誓式でモンテネグロ首相は、「国に奉仕し続ける」と述べたうえで、「官僚主義との戦い」を宣言しました。あわせて、次のような方針を示しています。
- 国家改革(ステート・リフォーム)の推進
- 政治的安定の維持
- 社会の生産性向上
- 野党との対話と協力の重視
単なる政権交代ではなく、「行政のあり方そのものを変える」というメッセージを前面に出している点が特徴です。対立よりも対話を打ち出していることも、今後の議会運営を占ううえで重要なポイントとなります。
16人の「スリム内閣」 前政権との違いは
新政権の閣僚は16人と、前政権の17人から絞り込まれました。主要ポストの多くは留任しており、急激な人事刷新ではなく「連続性と簡素化」を組み合わせた布陣と言えます。
組織面では、次のような再編が行われました。
- 経済省と領土結束省を統合
- 文化省と、これまでの青年・近代化担当省を統合し、新たに「文化・青年・スポーツ省」を設置
経済と地域政策、文化・若者・スポーツといった分野を束ねることで、政策の一体性やスピード感を高める狙いが読み取れます。一方で、権限の集中が現場の柔軟性を損なわないかという視点も今後の検証ポイントです。
新設「国家改革省」 行政近代化の司令塔
今回の内閣で最も注目されるのが、新たに設けられた「国家改革省」です。このポストには、ゴンサロ・マティアス氏が首相付き担当相(minister adjunct to the prime minister)と国家改革相を兼務する形で任命されました。
モンテネグロ首相は、先週の社会民主党(PSD)全国評議会で、「公共行政の近代化こそが次期政権の政策課題の『礎石』だ」と強調しています。国家改革省は、まさにその中心となる役割を担うことになります。
想定されるテーマには、
- 行政手続きの簡素化・デジタル化
- 縦割りの是正と機関同士の連携強化
- 市民や企業から見た「手続きのしやすさ」の向上
などが含まれるとみられます。ポルトガル国内の課題であると同時に、多くの国が直面する「現代化と官僚主義のバランス」をどう取るかという問いにも通じます。
大統領が示した「信任はあるが、白紙委任ではない」姿勢
マルセロ・ヘベロ・デ・ソウザ大統領は、今回の選挙結果について「モンテネグロ氏への政治的信頼の高まりが示された」と評価しつつも、国民が新政権に「絶対的な信任」を与えたわけではないと釘を刺しました。
さらに大統領は、伝統的政党の影響力が弱まり、新たな政治勢力が台頭していると指摘しました。この流れは、ポルトガルではやや遅れて現れたものの、同国もその変化を避けることはできなかったという見方です。
こうした発言からは、
- 有権者の期待と不信が同時に存在していること
- 新政権に対し、説明責任と対話を重視するよう求める姿勢
が読み取れます。2025年のヨーロッパ政治に共通する、「分断をどう乗り越えるか」という課題が、ポルトガルでも浮き彫りになっていると言えるでしょう。
選挙から18日で発足 スピード感ある内閣成立
今回の内閣は、選挙からわずか18日で発足しました。これはヘベロ・デ・ソウザ大統領の下で最も早い内閣成立だとされています。
政治的な不確実性を長引かせないことは、国内外の投資家や市民の心理にとっても重要です。そのなかで、新政権が短期間で閣僚人事を固め、改革の方向性を打ち出したことは、スピードを重視する姿勢の表れと見ることができます。
6月の議会審議が本格始動のカギに
ポルトガル議会は、新政権の政策プログラムについて、6月17日と18日に審議・採決を行う日程となっています。ポルトガル憲法では、このプログラムが共和国議会(Assembly of the Republic)で承認されて初めて、政府が職務を全面的に遂行できると定められています。
つまり、モンテネグロ内閣が掲げる「官僚主義との戦い」や「国家改革」は、議会の信任という政治的な基盤を得て初めて、本格的に動き出すことになります。野党との対話をどこまで現実の合意形成に結びつけられるかが、2025年以降のポルトガル政治を占う重要な試金石となりそうです。
日本から見るポルトガル新政権の論点
行政改革や官僚主義の是正、若者政策と文化・スポーツの一体的な推進など、モンテネグロ政権の掲げるテーマは、日本社会とも共通する論点が多くあります。
- 行政のデジタル化と手続き簡素化
- 世代間のバランスを意識した政策設計
- 分断を深めずに多様な政治勢力とどう向き合うか
ポルトガルの動きを追うことは、ヨーロッパ政治の現在地を知るだけでなく、日本のガバナンスや行政改革を考えるヒントにもなりそうです。新政権が掲げた「国家改革」がどこまで具体的な成果につながるのか、2025年の国際ニュースの中で注視したいポイントです。
Reference(s):
Montenegro sworn in as Portugal's new PM with streamlined cabinet
cgtn.com








