ウクライナとロシア、捕虜交換巡り応酬 最大規模の実現は不透明
ロシアとウクライナが合意した新たな捕虜交換と遺体引き渡しをめぐり、双方が相手を非難し合う構図になっています。紛争が続く中、人道的措置であるはずの捕虜交換が政治的な駆け引きの焦点となっています。
何が合意されているのか
ロシア大統領府(クレムリン)は月曜日、ウクライナとの間で合意した新たな捕虜交換と戦死者の遺体返還について、「ロシア側は合意を履行する準備がある」としつつ、ウクライナ側が約束を守っていないと非難しました。
ウクライナは前日の日曜日、拘束された兵士の交換を「来週から」開始するとの見通しを示していました。
両国は6月2日、新たな戦争捕虜(POW)の交換と、戦闘で死亡した兵士の遺体を互いに引き取ることで合意しました。しかし週末には、誰が合意の履行を遅らせているのかをめぐり、双方が相手を批判する展開となりました。
今回の捕虜交換が実現すれば、先月トルコのイスタンブールで行われた最初の協議で合意された「1000人対1000人」の交換を上回り、紛争開始以降で最大規模となる見通しです。
双方の主張:相互不信があらわに
ロシア側は土曜日、ウクライナが戦死者の遺体の引き取りに現れず、捕虜交換の具体的な日程にも合意していないと主張しました。クレムリンは、ウクライナが合意を意図的に妨げているとの見方をにじませています。
ロシアの首席交渉役を務めるウラジーミル・メジンスキー氏はソーシャルメディアで、「ウクライナ側は、遺体の受け取りと捕虜交換の両方を、予期せぬ形で無期限に延期した」と述べました。ロシア国防省の報道官も、捕虜交換の第1段階について、ウクライナ側が「いまだに日程を設定することを控えている」と発言しています。
これに対しウクライナ側は、ロシアが合意した交換条件を守っていないと批判し、ロシアが「汚いゲーム(dirty games)」をしていると強く反発しています。ウクライナの捕虜対応を担う調整本部は、戦死者の遺体返還について「具体的な日程は合意されていない」と説明し、ロシア側の主張に異議を唱えています。
捕虜交換が持つ意味
捕虜交換や遺体の返還は、激しい戦闘が続く中でも、両国が局地的に協力せざるをえない数少ない分野です。前線で拘束されている兵士や、その家族にとっては生死に直結する重要な問題であり、国際社会も常に注視しています。
こうした人道的措置には、次のような意味があります。
- 前線の兵士や家族に対する心理的な支えとなる
- 自国民を「見捨てない」というメッセージを国内外に示す
- 将来の停戦交渉や信頼醸成措置(信頼を高めるための取り組み)の試金石となる
一方で、今回のように互いの「約束違反」をめぐる応酬が続けば、本来は政治から切り離されるべき人道的な合意そのものが、交渉カードとして利用されてしまうリスクもあります。
今後の焦点:来週に向けた駆け引き
トルコ(トルキエ)での協議後、ウクライナのゼレンスキー大統領は、新たな捕虜交換を「今週末」に行うと表明していました。ロシア側も土曜、日曜、月曜のいずれの日程でも応じる用意があると強調していましたが、週末には捕虜交換や遺体引き渡しをめぐる相互非難が前面に出る形となりました。
その後、ウクライナ側は交換の開始時期を「来週」としつつも、ロシア国防省によれば、具体的な日程の設定にはなお慎重な姿勢を崩していないとされています。一方でウクライナ側は、ロシアが合意済みの条件に沿っていないと主張しており、両者の認識の差は埋まっていません。
捕虜交換が実際に来週実現するのか、それとも再び先送りされるのかは不透明です。前線で拘束されている兵士やその家族にとっても、そして国際社会にとっても、今後の協議の行方が大きな関心事となっています。人道的な合意を、どこまで政治的な思惑から切り離せるのかが問われています。
Reference(s):
Ukraine and Russia seem set for POW swap after days of accusations
cgtn.com








