カリフォルニア移民摘発デモで衝突 オレンジ郡サンタアナの現場
カリフォルニア移民摘発デモで衝突 オレンジ郡サンタアナの現場
カリフォルニア州オレンジ郡サンタアナで今週月曜夜、移民当局による一連の摘発に抗議するデモが発生し、連邦当局や警察と衝突してけが人と逮捕者が出ました。トランプ政権がロサンゼルスへの海兵隊派遣と取り締まり強化に踏み切る中、移民政策をめぐる緊張が一段と高まっています。
サンタアナでの移民摘発が火種に
抗議行動のきっかけとなったのは、同日昼に米移民・関税執行局(ICE)がオレンジ郡の郡庁所在地サンタアナ各地で実施した一連の摘発です。人口30万人を超えるこの街で、日雇い労働者が集まる場所などを中心に、複数の急襲が行われたと伝えられています。
オレンジ郡のビセンテ・サルミエント郡政委員は、地元紙オレンジ・カウンティ・レジスターに対し、捜査当局は仕事を待つ日雇い労働者を狙い撃ちにしたように見えると語りました。
連邦ビル前に200人超 平和的デモが一変
夕方までに、ICEなど連邦機関が入るサンタアナ中心部の連邦ビル前には、少なくとも約200人の市民が集まりました。参加者は旗やプラカードを掲げ、移民摘発の中止や、地域社会への配慮を求めて声を上げました。
しかし、地元メディアによると、状況は次第に緊迫し、やがて当局側が群衆に向けて発砲したことで事態は一変します。
フラートン在住で23歳のディラン・カランカさんは、連邦当局が群衆に向けて催涙ガス弾を投げ込む様子を目撃したと証言しました。カランカさんは「こちら側から何かが投げられるのは見ていなかった。右、中央、左に三つの催涙ガス弾が飛んできて、その一つが落ちるのを見た瞬間に走って逃げた」と語り、目を真っ赤にしながら当時の状況を振り返りました。
催涙ガスとゴム弾 けが人と逮捕者
ボランティア看護師だと名乗る女性は、通信社シティ・ニュース・サービスに対し、群衆に対して発射されたゴム弾によって負傷し、その場で手当てを受けた人が複数いたと話しています。
サンタアナ警察は声明で、現場で連邦当局が催涙ガス、ペッパーボール、ゴム弾を使用したことを認めました。当局によると、現場の連邦職員が群衆に押され危険な状態にあるとして、ビル・エサイリ連邦検事がサンタアナ市に直接支援を要請したとしています。
一方、地元のオンラインニュースメディア、ボイス・オブ・オレンジ・カウンティによれば、現場にいたサンタアナ市議会議員のジェシー・ロペス氏は、この説明に異議を唱えています。ロペス氏は、連邦当局が群衆に押しつぶされそうになっていたという認識を否定し、その表現は事実ではないと指摘しました。
地元メディアは、月曜夜の騒乱で複数の逮捕者が出たと報じています。容疑には、花火の使用や、警察官に物を投げつけた疑いなどが含まれています。
サンタアナの拘置施設も連邦摘発の一部に
ロペス氏はさらに、週末の時点で、ロサンゼルスでの先行する抗議デモで逮捕された人々が、サンタアナ市内の拘置施設に収容されていたことを明らかにしました。サンタアナ市は、裁判を待つ連邦被告を収容するため、米連邦保安局と契約を結んでいます。
このため、市民の一部からは、地域の施設が連邦レベルの取り締まりや抗議者の拘束に利用されていることへの懸念の声も上がっています。
トランプ政権、ロサンゼルスに海兵隊派遣
一連の移民摘発と抗議行動が広がる中で、トランプ政権は月曜、ロサンゼルスへの海兵隊派遣とICEの作戦強化を命じました。標的は、当局が不法滞在の疑いがあるとみなす人々だとされています。
当局によると、南カリフォルニアに駐屯する約700人の海兵隊員が、デモの拡大を抑え込む連邦計画の一環として、月曜夜から火曜朝にかけてロサンゼルス入りする見通しだといいます。
こうした動きに対し、民主党系の指導者らは、移民問題をめぐる緊張が全国的な危機へと発展しつつあると懸念を表明。治安維持の名目で軍が国内の抗議行動に関与することは、市民の権利や民主主義のあり方に重大な問いを投げかけると指摘しています。
移民政策をめぐる分断が浮き彫りに
今回のサンタアナでの衝突は、移民政策をめぐってアメリカ社会の分断が一段と深まっている現状を映し出しています。移民摘発の現場となりやすい地域では、日常的に働き、暮らす人々が突然の摘発に直面し、地域社会との信頼関係が揺らぎかねません。
一方で、連邦当局は、法律に基づく取り締まりを行っていると主張し、治安維持のためには一定の強制力が必要だと訴えています。その過程で、今回のように武力的な対応がどこまで許容されるのか、市民の安全や表現の自由をどう守るのかが、改めて大きな論点となっています。
2025年12月8日現在、サンタアナを含む南カリフォルニアでは、移民政策と治安対策のバランスをめぐる議論が続いています。今回の出来事は、国際ニュースとしても、移民と民主主義、そして国家の安全保障をどう両立させるべきかを考える重要なきっかけになりそうです。
本記事は、地元メディアや通信社の報道を基に構成しています。
Reference(s):
Immigration raids in California set off clashes in Orange County
cgtn.com








