全米に広がる移民摘発への抗議デモ トランプ政権の強硬姿勢続く
アメリカで、移民当局による摘発と強制送還をめぐる抗議デモが急速に広がっています。ロサンゼルスで始まったデモは、トランプ大統領が州兵や海兵隊の動員に踏み切る中で全米各地に波及し、週末にかけてさらに拡大する見通しです。
ロサンゼルス発の抗議が全米へ
今回の抗議行動は、移民当局による一連の強制捜査と送還に反対する市民や団体がロサンゼルスでデモを行ったことをきっかけに、他都市へと広がりました。参加者たちは移民捜査を担う移民・税関執行局(ICE)に抗議の声を上げ、各地の中心街や連邦政府の建物周辺で行進しました。
シアトルやオースティン、シカゴ、ワシントンD.C.などでは、デモ隊がスローガンを唱えながらプラカードを掲げ、ダウンタウンの幹線道路をふさぐ場面も見られました。多くのデモは平和的に行われていますが、一部では警察との衝突が発生し、当局が群衆を解散させるために化学刺激物を使用したケースも報告されています。
平和的な抗議と緊張の高まり
デモの多くは、移民政策の見直しや強制送還の停止を求める平和的な集会として始まりました。しかし、一部の現場では逮捕者が出るなど、緊張が高まっています。こうした対立は、移民をめぐるアメリカ社会の分断の深さを改めて映し出しています。
トランプ政権の対応と強硬姿勢
こうした抗議の動きが広がる中、トランプ大統領は州兵や海兵隊の動員を指示し、部隊が各地に展開し始めています。週末に向けて、さらに多くの部隊を派遣する計画も示されています。
一方、政権側は、抗議が続くなかでも移民摘発の方針は変えない構えです。トランプ政権は、デモにもかかわらず強制捜査と送還を継続するとしており、抗議する市民との対立は当面収まりそうにありません。
「ICEは法を執行し続ける」と国土安全保障長官
移民・税関執行局(ICE)を管轄する国土安全保障省のクリスティ・ノーム長官は、火曜日にSNSへ投稿し、"ICE will continue to enforce the law"(ICEは法の執行を続ける)と述べました。これは、抗議の広がりを前にしても、法執行を緩めないという政権の姿勢を改めて示すものです。
ニューヨークでの大規模デモと逮捕
ニューヨーク市では、火曜日の夕方にロウアー・マンハッタンで大勢の人びとが集まり、強制送還と連邦政府の移民政策に抗議しました。デモ参加者は、移民裁判所が入る2つの連邦政府ビル前に集結し、厳重な警察態勢の中で行進を続けました。
参加者の中には、"ICE out of New York"(ICEはニューヨークから出て行け)と書かれたプラカードを掲げる人や、対峙する警官に向かって "Why are you in riot gear? I don't see no riot here."(なぜあなたたちは暴動装備なの?ここに暴動なんてないのに)と唱和する人びとの姿もありました。
月曜日にはすでに十数人が逮捕されており、その中にはトランプ・タワー前で座り込みを行っていた24人も含まれているとされています。こうした逮捕は、抗議行動を萎縮させるのか、それともかえって反発を強めるのか、注目されています。
週末に向けて拡大する「No Kings」デモ
活動家たちは、今後数日のうちにさらに大規模なデモを計画しています。特に、今週土曜日には全米各地で「No Kings(王はいらない)」と名付けられた一連の行動を展開し、ワシントンD.C.で予定されているトランプ大統領の軍事パレードに合わせて抗議のメッセージを発信する構えです。
「No Kings」というスローガンには、大統領権限の集中や軍事力の誇示に対する警戒感が込められているとみられます。移民政策への反対だけでなく、権力のあり方そのものを問い直す動きへと広がる可能性もあります。
何が問われているのか――移民政策と民主主義
移民摘発への抗議デモの拡大は、単に一つの政策への賛否にとどまらず、次のような論点を浮かび上がらせています。
- 移民摘発や強制送還のあり方は、どこまで社会が容認できるのか
- 州兵や軍隊の動員を含む強硬な治安維持策は、民主社会においてどのように位置づけられるべきか
- 市民が抗議の声を上げる場としての街頭デモを、国家や自治体はどう扱うべきか
今回の一連の動きは、アメリカの国内問題であると同時に、移民をめぐる議論とも深くつながっています。日本にいる私たちにとっても、「安全」と「人権」、「法の支配」と「市民の声」をどのように両立させるのかを考えるきっかけになりそうです。
押さえておきたいポイント
- ロサンゼルスで始まった移民摘発への抗議デモが、全米の主要都市へと広がっている
- トランプ政権は州兵や海兵隊を動員しつつ、移民摘発と強制送還を続ける姿勢を明確にしている
- ニューヨークなどでは逮捕者も出ており、抗議と治安当局の対立は激しさを増している
- 週末には「No Kings」デモが計画されており、軍事パレードへの対抗を通じて権力のあり方そのものが問われている
抗議デモは今後も続く見通しであり、SNSや現地報道を通じた最新の動きに注目が集まっています。
Reference(s):
Protests against immigration raids spread to multiple U.S. cities
cgtn.com








