米大使「独立パレスチナ国家は目標でない」発言の波紋
米大使「独立したパレスチナ国家は目標でない」発言、波紋広がる
米国のイスラエル駐在大使が、独立したパレスチナ国家の樹立はもはや米国の目標ではないとの見方を示しました。国連や多くの国連加盟国が二国家解決を支持する中、この発言は米国の中東政策の行方に新たな疑問を投げかけています。
インタビューで示された「パレスチナ国家は目標ではない」
ブルームバーグ・ニュースが今週火曜日に掲載したインタビューで、米国のイスラエル駐在大使マイク・ハッカビー氏は、現在の状況下では独立したパレスチナ国家の樹立を米国が追求していないとの認識を示しました。
パレスチナ国家が依然として米国政策の目標かどうかを問われると、ハッカビー氏は「そうとは思わない」と答えたとされています。
さらに同氏は、将来のパレスチナの統治主体はヨルダン川西岸地区の外側に置かれるべきだとの考えを示し、その領域はイスラエルに領土の「譲渡」を求めるのではなく、イスラム教を信仰する国のいずれかが提供すべきだと主張しました。
ヨルダン川西岸にパレスチナ国家を樹立するには、文化や社会の在り方に「重大な変化」が必要であり、それは「自分たちが生きている間には起きないかもしれない」とも述べたと伝えられています。
国務省は「大使は自分の考えを述べた」と距離
こうした発言に対し、米国務省のタミー・ブルース報道官は、大使は「自身の考えを述べた」にとどまると説明しました。そのうえで、中東に関する米国の政策を最終的に決定するのは大統領であると強調しました。
このコメントは、ワシントンの公式な対中東政策と、現地で発言する大使の認識との間にどの程度の温度差があるのかという点に、改めて注目を集めています。
国際社会が支持する「二国家解決」とは
一方で、国際社会の多くは、いわゆる二国家解決をパレスチナ問題の唯一現実的な解決策とみなしています。現在、国連加盟国の3分の2以上がパレスチナ国家を承認しているとされています。
二国家解決の基本的な構想は、1967年の境界線を基礎とし、東エルサレムを首都とする完全な主権を持つ独立したパレスチナ国家を樹立し、イスラエルと並存させるというものです。これにより、パレスチナとイスラエルの平和共存を実現し、中東地域での持続的な和平につなげることが期待されています。
国連事務総長「代替案は何か」と問いかけ
ハッカビー氏の発言の約1週間前には、国連本部(ニューヨーク)でアントニオ・グテーレス国連事務総長が各国の指導者に対し、二国家解決の構想を「生かし続ける」よう強く呼びかけていました。
グテーレス事務総長は、二国家解決に懐疑的な人々に向けて「では、代わりの選択肢は何か」と問いかけ、一国家の枠組みを選ぶ場合、パレスチナの人々が追放されたり、自らの土地で権利のない状態で生きることにならないのかと問題提起しました。
この発言は、国際社会がなおも二国家解決を重視する理由を改めて示すものとなっています。
今月、フランスとサウジが「ロードマップ」協議へ
こうした中、今月後半にはフランスとサウジアラビアの外交団が国連で会議を主催し、将来のパレスチナ国家に向けたロードマップ(行程表)を示すことを目指しています。
米大使の発言は、この会議を前にしたタイミングで出てきたものであり、国連での議論や参加各国の交渉姿勢にどのような影響を与えるのかが注目されています。
何が問われているのか 日本の読者が見るべきポイント
今回の一連の動きは、次のような点で重要だといえます。
- 現地大使の発言と、大統領が担う公式政策との間にどの程度の差があるのか
- 米国のスタンスが変化した場合、国連や多くの国連加盟国が支持する二国家解決の枠組みにどのような影響が出るのか
- フランスやサウジアラビアが主導する会議で、パレスチナ国家に向けた具体的なロードマップがどこまで描かれるのか
パレスチナ国家の行方をめぐる議論は、中東の紛争だけではなく、国連の役割や多国間外交の可能性、そして国際秩序のあり方そのものを映し出す問題でもあります。
日本からこのニュースを追うことは、遠い地域の出来事としてではなく、自分たちがどのような国際秩序と平和の枠組みを望むのかを考えるきっかけにもなりえます。今後、米国が公式の場でどのような説明を行うのか、そして国連での議論がどの方向へ進むのかを継続的に見ていく必要がありそうです。
Reference(s):
U.S. no longer pursuing independent Palestinian state, says ambassador
cgtn.com








