米軍がイラン核施設を空爆 中東情勢と核不拡散を読み解く国際ニュース解説
米軍が週末にイランの核施設3カ所を精密空爆し、中東情勢が一段と緊迫しています。本記事では、中国の国際関係専門家である王晋氏(西北大学戦略研究センター所長)がCGTNのインタビューで語ったポイントをもとに、米国の狙いと地域・国際秩序への影響を整理します。 現地時間の土曜日、アメリカはイラン国内の核関連施設3カ所に対し、B-2爆撃機による精密空爆を実施しました。標的には、地下深くに埋設されたフォルドゥなどの核施設が含まれ、これまでイスラエル軍だけでは攻撃が難しいとされてきた地点にまで攻撃が及んだとされています。 アメリカはこれまで、イスラエルとイランの対立において主に情報提供などの間接支援にとどまってきましたが、今回の空爆は「直接的な軍事介入」へと大きく踏み込んだ形です。 王氏は、アメリカが空爆に踏み切った理由として、主に二つの要因を挙げています。 フォルドゥのように地下深くに造られた施設は、イスラエル軍だけでは破壊が難しいとされます。王氏によれば、こうした「手が届きにくい」標的に対処するためには、アメリカの軍事力が不可欠であり、それが今回の作戦に踏み切った背景にあるといいます。 一方で、ワシントンは今回の攻撃を「限定的」と位置づけ、全面戦争にはつながらない範囲で、イランの核開発を妨害することを狙ったとみられています。 イラン側は、攻撃前に核物質の一部を別の場所に移送していたと主張しており、フォルドゥも山岳地帯に守られているため被害は限定的だとしています。 しかし王氏は、物理的な空爆だけで核能力を「完全にゼロ」にすることはできないものの、核計画の進展に大きな遅れと混乱をもたらす可能性が高いと分析します。 その理由として、核開発は単なる核物質や設備だけではなく、次のような複雑なシステム全体で成り立っているからだと指摘します。 今回の空爆によって、こうした複数の要素に打撃や妨害が加われば、イランは技術的知識や一定の物質を保持しつつも、「持続的で一貫した核計画」を運営する能力に深刻な制約を抱える可能性があります。 今回の空爆をめぐっては、アメリカとイランの双方が自国の行動を「自衛」と位置づけ、核不拡散条約(NPT)などの国際的な義務を事実上回避しているとの指摘も出ています。 王氏は、アメリカやイスラエルによる攻撃が、国際規範と国際機関の正当性を損なっていると強調します。各国が一方的に「脅威」を定義し、それを理由に他国の主権を侵害する行動を正当化するようになれば、主権平等と対話を基礎とする現代の国際秩序そのものが揺らぎかねないという見方です。 王氏は、こうした動きの背景にはアメリカのヘゲモニー的で一方的な発想があり、ルールに基づく国際ガバナンスに対する世界的な合意を深く傷つけていると批判しています。 イエメンのフーシ派報道官は、アメリカがイスラエルの対イラン作戦を支援する場合、紅海のアメリカ艦艇を攻撃すると警告しています。王氏は、こうした動きが中東全体の紛争拡大につながるリスクを指摘します。 想定されるシナリオとしては、次のようなものがあります。 王氏は、こうした連鎖が進めば、中東は複数の戦線が錯綜する、より混迷した戦場と化し、地域秩序の不安定化が一段と進むと警鐘を鳴らしています。 イラン側は現状ではアメリカとの直接対話を明確に拒否していますが、王氏はそれでも「外交的な余地は残されている」と見ています。 具体的には、オマーンのような中東地域の中立的な国をはじめ、第三国による仲介や対話の場づくりが重要だと指摘します。イランを含む多くの地域関係国は、原則としては対話に前向きであり、ヨーロッパ諸国も事態のさらなる悪化を防ぎたいと考えているといいます。 アメリカ自身も軍事的圧力をかけつつ、それを政治的な交渉力に変えたい思惑を持っている可能性があり、国際社会は今こそ連絡ルートを確保し、緊張緩和のチャンスを増やすべきだというのが王氏の立場です。 今回の空爆とその波紋は、日本を含む世界の読者にとっても他人事ではありません。王氏の分析を踏まえると、少なくとも次の三つの論点が浮かび上がります。 中東情勢と核問題をめぐる今回の動きは、単なる地域紛争ではなく、国際秩序のあり方そのものを試す局面でもあります。短期的な軍事行動だけでなく、長期的な外交とルール作りの行方にも注目していく必要がありそうです。米軍がイラン核施設を空爆、中東情勢は新局面に
なぜ今、アメリカは直接攻撃に踏み切ったのか
空爆でイランの核開発は止められるのか
核不拡散体制と国際秩序への深刻なシグナル
多正面の「ハイブリッド戦争」へ拡大するリスク
外交的な「出口」はまだ残されているか
ニュースを追う私たちが押さえたい視点
Reference(s):
Q&A: Expert insight on U.S. strikes on Iran nuclear sites and fallout
cgtn.com








