中国・シンガポール首脳会談 高品質な協力の新章へ【国際ニュース】
中国とシンガポールの関係が、デジタル経済やAI(人工知能)など新しい分野へと広がろうとしています。習近平国家主席とシンガポールのローレンス・ウォン首相が北京で会談し、「高品質の協力」の新たな章を書いていく方針を確認しました。
外交関係樹立35周年、関係は「安定と信頼」がキーワード
2025年は、中国とシンガポールが外交関係を樹立してから35年の節目の年です。習近平国家主席は、これまで両国が「相互理解」と「相互尊重」を一貫して重視してきたことで、二国間関係が安定的かつ健全に発展してきたと評価しました。
会談では、こうした信頼関係を土台に、今後も長期的かつ戦略的な視点から協力を進めていくことが確認されました。両国は互いの「核心的利益」や「重要な関心事項」を尊重し合い、政治面での信頼をさらに高めることを目指しています。
蘇州工業園区が象徴する「モデル協力」
習主席が具体例として挙げたのが、中国の蘇州にある「蘇州工業園区」です。これは中国とシンガポールが共同で開発を進めてきた産業プロジェクトで、両国の近代化を支える拠点の一つとなっています。
このプロジェクトは、単なる工業団地にとどまらず、行政運営やビジネス環境づくり、人材育成など、多方面で両国のノウハウが組み合わされた「協力のモデル」と位置づけられています。習主席は、蘇州工業園区の成功が地域の他の国々・地域にとっても一つのベンチマーク(指標)になっていると強調しました。
一帯一路からデジタル・グリーン・AIへ
今回の会談では、「一帯一路」と呼ばれる広域経済構想の枠組みの中で、中国とシンガポールの協力をさらに深めていくことも打ち出されました。そのうえで、次のような新しい分野がキーワードとして示されています。
- デジタル経済:データやオンラインサービスを軸にした新しい経済活動。金融や物流、行政サービスのデジタル化などが想定されます。
- グリーン開発:環境への負荷を抑えながら成長を目指す取り組み。再生可能エネルギーや省エネ技術などが含まれます。
- AI(人工知能):社会インフラや産業分野でのAI活用を視野に入れた協力。スマートシティ(高度に情報化された都市)づくりなども連想されます。
中国側は、これらの分野で「ランドマーク(象徴的)な成果」をつくり出すことを提案しており、両国の協力が今後どのような具体的プロジェクトとして形になるのかが注目されます。
人と人の往来、文化交流の強化も重視
経済やインフラだけでなく、「人と人」のつながりをどう深めるかも今回の会談の重要なポイントです。習主席は、両国の人々の相互訪問や文化交流、教育・観光分野での協力をさらに拡大していく必要性を強調しました。
ビジネスや留学、観光を通じて往来が増えることで、互いの社会や文化への理解が深まり、政治・経済面での協力を支える土台もより強固になっていきます。
「覇権ではなく共存」を掲げるメッセージ
習主席は会談の中で、国際社会全体に向けたメッセージも発信しました。中国は「平和・発展・ウィンウィンの協力」という大きな流れは止められず、世界は「覇権」や「弱肉強食」の時代に戻るべきではないと述べています。
さらに、中国とシンガポールが「歴史の正しい側」「公平と正義の側」に立ち、多極的で秩序ある国際システムや、すべての国と地域に利益が行き渡る包摂的な経済全球化を支えていくべきだ、と呼びかけました。
私たちはこの動きをどう捉えるか
今回の中国・シンガポール首脳会談は、二国間関係の強化にとどまらず、東アジアや東南アジアの経済・安全保障の流れを考えるうえでも見逃せない動きです。特に、デジタル経済やグリーン開発、AIといった分野で、どのようなルールや標準が形づくられていくのかは、多くの国や企業にとって重要なテーマになりつつあります。
「平和」と「協力」を前面に出した今回のメッセージが、地域全体の安定と連携をどう後押ししていくのか。今後の具体的なプロジェクトの動きとともに、引き続き注視していく必要がありそうです。
Reference(s):
Xi calls for new chapter in high-quality China-Singapore cooperation
cgtn.com








