イラン・イスラエル停戦はなお脆弱 トランプ氏「両者に不満」 video poster
イランとイスラエルの間で停戦が発表されましたが、その行方はなお不透明です。米国ではドナルド・トランプ大統領が双方への不満を口にし、イランの核計画をめぐる評価も揺れています。
脆い停戦とトランプ大統領の苛立ち
今週火曜日、イランとイスラエルの間で合意された停戦が、当初は発効が危ぶまれながらも、いったんは成立したと伝えられています。ただし停戦は「脆い」とされ、いつ崩れてもおかしくない状態です。
トランプ米大統領は、両国の長年の対立に強い不満を示しました。両者はこれまで「非常に長く、激しく戦い続けてきたため、自分たちが何をしているのか分からなくなっている」との趣旨を述べ、イラン側とイスラエル側の双方に対して距離を置く姿勢を見せています。
ネタニヤフ首相の強気発言と米情報機関の冷静な数字
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、週末の米軍によるイラン核関連施設への攻撃を受けて、自国がイランの核計画を「壊滅状態に追い込んだ」と主張しました。
しかし、新たな米国防情報局(DIA)の報告書によると、イランの核計画は「壊滅」したわけではなく、後退したのは数カ月分にとどまると評価されています。この報告書は、週末に行われた米軍の攻撃が二つの施設の入口を塞ぐことには成功したものの、地下にある主要建屋を崩落させるには至らなかったとしています。報道によれば、この内容は報告書に詳しい関係者の証言に基づいています。
遠心分離機の一部は稼働可能との見方
米紙ワシントン・ポストは、匿名の関係者の話として、攻撃後も一部の遠心分離機が損傷を免れていると伝えています。遠心分離機はウラン濃縮に用いられる中核設備であり、これが残っているということは、イラン側が核活動を比較的短期間で再開できる可能性を示唆します。
つまり、軍事攻撃はイランの核計画に一定の打撃を与えたものの、「取り返しがつかないレベルの破壊」とまでは言い切れない、というのが米情報機関の冷静な見立てだと言えます。
ホワイトハウスは「完全に間違い」と否定
一方、ホワイトハウスはこの情報評価を強く否定し、DIAの分析は「完全に間違っている」と主張しています。政権中枢と情報機関の評価が食い違う構図が、あらためて浮き彫りになりました。
安全保障政策では、軍や情報機関の専門的な評価と、政権の政治的メッセージが必ずしも一致しないことがあります。今回も、イランへの抑止力を誇示したい政権側と、データに基づく慎重な評価を示す情報機関との間で、温度差が表面化した形です。
今回のニュースから見える3つのポイント
- 軍事攻撃だけでは核計画を完全には止められない可能性
施設の入口を封鎖しても、地下構造や遠心分離機が生き残っていれば、技術者や設備の一部は維持されます。核開発の「時間を稼ぐ」ことはできても、完全な断念に結びつくとは限りません。 - 同じ事実でも評価は分かれる
ネタニヤフ首相は「壊滅」と表現し、ホワイトハウスも強硬な姿勢を示す一方で、DIAや匿名の関係者はより限定的な効果しか確認していません。どの立場の発言なのかを意識してニュースを読む必要があります。 - 停戦の持続可能性は依然として不透明
停戦が脆いままであることに加え、イランの核計画が完全には止まっていないならば、緊張が再び高まる火種は残ったままです。短期的なエスカレーションは抑えられても、長期的な安定に結びつくかは見通せません。
日本と世界への含意
2025年12月現在、中東情勢の緊張は世界経済やエネルギー市場にとって重要なリスク要因であり続けています。イランとイスラエルをめぐる不安定な停戦は、原油価格の変動や市場の不確実性を通じて、日本を含む各国の家計や企業活動にも影響し得ます。
また、米国内で政権と情報機関の評価が食い違うことは、同盟国や国際社会にとっても、米国の外交・安全保障方針を読み解くうえでの難しさにつながります。どのメッセージが「公式な方針」として優先されているのかを、慎重に見極める必要があります。
ニュースを受け取る側としては、単一の発言や報道だけで状況を判断するのではなく、複数の情報源や立場の違いを意識しながら、自分なりの見方を組み立てていくことが求められています。
Reference(s):
Iran-Israel ceasefire fragile; Trump said frustrated with both sides
cgtn.com








