イラン外相「米国との協議再開の合意なし」と否定 国益最優先の姿勢強調 video poster
イランのセイエド・アッバス・アラグチ外相は、アメリカとの交渉再開をめぐり「いかなる取り決めも約束もない」と述べ、米国のトランプ大統領による「来週テヘランと協議を行う」との発言を明確に否定しました。イラン側は、交渉の可否はあくまで自国の「国益」を軸に判断する姿勢を強調しています。
イラン外相「約束も合意もない」 国営放送で明言
アラグチ外相は、国営放送IRIBのインタビューの中で、アメリカとの協議再開について問われ、現時点で具体的な合意も約束も存在しないと語りました。
外相は、交渉再開の可能性そのものは「検討の対象」だとしつつも、その前提としてイランの国益が守られるかどうかが決定的に重要だとしています。
- 「わたしたちの決定は、イランの利益のみに基づきます」と強調
- 「もし、わたしたちの利益が交渉への復帰を必要とするなら、それを検討する」と条件を提示
- しかし現段階では「いかなる合意も約束もなく、いかなる協議も行われていない」と明言
この発言からは、対話そのものを完全に否定するのではなく、「自国の利益を最優先に、状況を慎重に見極める」というスタンスがにじみます。
トランプ氏の「来週協議」発言と、イランの距離感
アラグチ外相の発言は、トランプ大統領が「ワシントンは来週、テヘランと協議を行う」と述べた後に出てきたものです。外相は、この見方を明確に修正し、具体的なスケジュールも合意も存在しないとしました。
つまり、アメリカ側が「協議は近い」と印象づけようとする一方で、イラン側は「話はそこまで進んでいない」と距離を置き、期待値のコントロールを図っている構図が見て取れます。
イランとしては、「アメリカの発表に引きずられて交渉に応じた」という印象を避けたい思惑もあると考えられます。あくまで主体的に、条件を見極めたうえで判断するというメッセージです。
最高指導者ハメネイー師、米軍攻撃への「誇張」批判
アラグチ外相の否定は、イランの最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイー師が、トランプ大統領による発言を批判した直後に伝えられました。ハメネイー師は、アメリカによるイラン核施設への攻撃の影響について、トランプ氏がその効果を「誇張している」と非難しました。
最高指導者による強い言葉と、外相による慎重な説明は、イラン指導部が「圧力には屈しない」という姿勢と、「交渉というカードは完全には捨てない」という姿勢の両方を示そうとしているようにも読めます。
核施設への攻撃をめぐる評価をめぐっても、アメリカ側の主張とイラン側の認識には大きな溝があることが、あらためて浮き彫りになったと言えるでしょう。
交渉再開はあるのか 見えてきた「2つの条件」
今回の発言から、イランが交渉再開についてどのような「条件」を意識しているのかが見えてきます。
1. 「イランの国益」が基準
アラグチ外相は、「われわれの決定はイランの利益のみに基づく」と繰り返しました。ここには、
- 外圧ではなく、自らの判断で動くというメッセージ
- 交渉入りも、交渉拒否も、どちらも国益次第という含み
が込められています。イラン側にとって交渉は「目的」ではなく、「利益を守るための手段」であるという整理です。
2. 現時点では「白紙」
同時に外相は、「約束も合意もない」「実際の協議も行われていない」と明確に言葉にしました。これは、
- 交渉プロセス自体は、まだスタートしていない
- アメリカ側の発言と、実務レベルの進展にはギャップがある
という状況を示しています。交渉は「可能性として検討中」の段階にとどまっていると言えそうです。
今回の発言から読み取れるもの
今回のイラン外相のメッセージを整理すると、次のようにまとめられます。
- アメリカとの交渉再開について、現時点で具体的な約束はない
- 交渉に応じるかどうかは、イランの国益が守られるかにかかっている
- 最高指導者ハメネイー師は、アメリカの軍事行動に関するトランプ氏の発言を「誇張」と批判
- イラン指導部は、圧力に屈しない姿勢と、交渉の余地を残す姿勢の両方を示している
交渉か対立かという二択ではなく、「どの条件なら交渉が国益にかなうのか」という慎重な計算が続いていることがうかがえます。今後の発言や動きが、イランとアメリカ双方の「本気度」を測る手がかりになっていきそうです。
Reference(s):
cgtn.com








