トランプ大型減税・歳出法案、米上院で審議入り 51対49の綱渡り
トランプ大型減税・歳出法案、米上院で審議入り
トランプ米大統領が掲げる大規模な減税と歳出を一括して盛り込んだ「メガ法案」が、米上院で本格的な審議入りに向けて最初の関門を突破しました。2025年12月8日現在、法案は採決に向けた長時間の攻防の入り口に立っています。
51対49の僅差で「討議入り」を可決
与党・共和党が多数を握る米上院は、土曜日にこの940ページに及ぶ大型法案の討議入りを賛成51、反対49の僅差で可決しました。これは最終採決ではなく、あくまで本格的な議論を始めるための手続き上の投票ですが、法案の行方を占う重要な一歩です。
反対した49人の中には、民主党議員に加えて、トランプ氏と同じ共和党の上院議員2人も含まれました。法案には、大統領が掲げる移民政策、国境管理、減税、国防費の拡大といった最優先課題が幅広く盛り込まれています。
トランプ大統領はソーシャルメディア上で、この採決を「偉大な勝利」とたたえ、自身の「大きくて美しい法案」が前進したと誇りました。
民主党は「富裕層優遇」「社会保障切り捨て」と批判
一方、民主党はこの税制・歳出法案に強く反発しています。民主党側は、法案に盛り込まれた減税の恩恵は富裕層に偏り、その財源として低所得層向けの社会保障や公的サービスが削られると主張しています。
上院民主党トップのチャック・シューマー氏は本会議場で、「共和党は、真夜中に公表した急進的な法案を、国民に中身を気づかれないうちに押し通そうとしている」と批判。そのうえで、「民主党は、この法案を最初から最後まで朗読させる」と述べ、審議入り後の手続きの遅延戦術を明言しました。
民主党の要求により、上院ではまず職員が法案全文を読み上げることになり、実際の討議開始は日曜日の午後以降にずれ込む可能性が出ています。
共和党内からも異論 ティリス氏とポール氏が造反
討議入りに反対票を投じた共和党のトム・ティリス上院議員は、低所得層向けの公的医療保険制度「メディケイド」への削減に強く反発しています。自身の地元ノースカロライナ州では影響が大きいと訴えており、来年の再選を控える中で地元の声を優先したかたちです。
トランプ大統領はソーシャルメディアでティリス氏を名指しで批判し、「ティリス上院議員に対抗して予備選に出たいという人物が多数名乗りを上げている。今後数週間で彼らと会う」と述べ、党内からの対立候補擁立もちらつかせました。
もう一人の造反者、ランド・ポール上院議員は、法案に含まれる米連邦政府の債務上限の引き上げに反対しています。現在約36兆2,000億ドルに上る米国の国債残高に、さらに5兆ドルの借り入れ枠を加える内容について、「財政規律を損なう」との立場です。
トランプ氏はポール氏についても、「またランド・ポールは反対票を投じたのか。この男はいったいどうなっているのか」と投稿し、不満をあらわにしました。
「読み上げ」から20時間の討議、そしてボートアラマへ
今後の上院の手続きは、まず法案全文の読み上げが終わった後、最大20時間の本格討議に入ります。その後は、議員が次々と修正案を出し、短時間で連続して採決を行う「ボートアラマ」と呼ばれるマラソン採決が行われる予定です。
与野党の議員らは、月曜日までに法案の採決までこぎ着けたい考えを示していますが、民主党があらゆる手続き的手段を用いて採決を引き延ばす構えを見せているため、日程がずれ込む可能性もあります。
何が問われているのか
今回の「メガ法案」は、減税、移民・国境政策、国防費、社会保障、財政規律といった米国政治の根幹にかかわるテーマを一括して扱っている点で、2025年のワシントン政治を象徴する攻防と言えます。
採決の行方次第では、トランプ政権の看板政策が一気に前進する可能性がある一方、共和党内の亀裂や財政悪化への懸念が強まるリスクもあります。来年のティリス氏の再選をはじめ、議会選挙の構図にも影響する可能性があり、今後数日の上院の動きから目が離せません。
Reference(s):
Trump's vast tax-cut, spending bill clears first U.S. Senate hurdle
cgtn.com








