トランプ米大統領がシリア制裁終了の大統領令に署名
米国のドナルド・トランプ大統領は米東部時間12月8日(月)、シリアに対する包括的な経済制裁を終了する大統領令に署名しました。ホワイトハウスの発表によりますと、シリア制裁プログラム全体を終わらせることで「同国の安定と和平への道を後押しする」ことが狙いだとされています。
シリア制裁は終了、アサド個人への制裁は維持
ホワイトハウスの事実説明資料によると、今回の大統領令はシリアに対する経済制裁を大きく緩和する一方で、バッシャール・アル・アサド大統領個人への制裁は維持します。
具体的には、
- シリア全体を対象とした制裁措置を終了する
- 一部の物資に対する輸出管理(輸出規制)を緩和する
- シリア向けの一部対外支援にかかっていた制限を免除する
とされています。これにより、民生分野やインフラ復旧に関連する物資や資金の流れが、これまでよりも通りやすくなる可能性があります。
国務長官ルビオ氏に「国連での制裁緩和」を指示
大統領令は、マルコ・ルビオ国務長官に対し、国連でのシリア制裁緩和の可能性を探るよう指示しています。文書は、国連における制裁緩和の「方策を模索し、シリアの安定を支える」ことを求めています。
米国が自国の制裁だけでなく、国連安全保障理事会を通じた措置の見直しにも踏み込む場合、シリアをめぐる国際的な枠組み全体に波及する可能性があります。
約45年続いたシリア制裁の経緯
今回の決定は、長期にわたって続いてきたシリア制裁政策の大きな転換点となります。シリアは1979年12月以降、米国からテロ支援国家の指定を受けてきました。
その後も制裁は段階的に強化されています。
- 2004年5月:大統領令13338の発出により、追加制裁や各種制限を導入
- 2011年5月:シリア経済の主要分野を狙ったさらなる制裁を導入
今回の大統領令は、こうした一連の制裁体制のうち、シリア全体に対するプログラムを終了させるものです。
5月のリヤド投資フォーラムで方針を表明
トランプ大統領は今年5月13日、サウジアラビアの首都リヤドで開かれた投資フォーラムで、シリア制裁を解除する意向を示していました。今回の署名によって、その方針が正式な政策として形になったことになります。
シリア経済と地域情勢への影響は
経済制裁は、相手国の軍事・政治行動への圧力である一方で、一般の人々の生活を圧迫しうる手段でもあります。制裁終了によって、シリア国内での再建需要や投資、雇用の拡大が期待されるという見方がある一方で、アサド政権への圧力が弱まり、人権やガバナンスの改善が進みにくくなるのではないかとの懸念も出てくる可能性があります。
今回の大統領令は、
- 欧州や中東諸国など、他の国々がシリアとの関係をどう見直すか
- 国連や国際金融機関がシリア支援の枠組みをどのように設計し直すか
- シリア国内の政治プロセスや和平交渉が前進するのか
といった点にも影響を与えうるものです。
日本やアジアにとっての意味
日本やアジアの国々にとっても、シリア制裁の行方は対中東外交やエネルギー安全保障、企業の海外展開に関連するテーマです。制裁の解除によって、インフラ整備や人道支援、復興ビジネスへの関与の可能性が広がる一方で、地域の不安定要因が完全に解消されたわけではありません。
「制裁か関与か」という二者択一ではなく、どのような条件やルールのもとでシリアとの関係を再構築していくのか。今回のトランプ政権の決定は、国際社会全体にその問いを投げかけています。
Reference(s):
Trump signs executive order terminating Syria sanctions: White House
cgtn.com








