メルケル前独首相「EUは米国関税に怯むな」結束と対抗策を訴え
米国による欧州連合(EU)製品への高関税をめぐり、ドイツのアンゲラ・メルケル前首相が「EUは怯むべきではない」と訴えました。米欧の貿易摩擦が再び激しくなる可能性があり、その行方が世界経済のリスク要因として注目されています。
メルケル氏「EUは米国関税に怯むべきでない」
メルケル前首相は、ギリシャ・アテネのスタヴロス・ニアルホス財団文化センターで行われたインタビューの中で、米国の関税政策について見解を示しました。米国がEUに対して関税を引き上げても、EUは威圧されるべきではなく、結束して対応する必要があると強調しました。
彼女は、米国が課す関税の負担は最終的に米国の消費者や企業が負うことになると指摘しました。輸入品に追加の税金がかかれば、輸入業者のコストが上昇し、その多くは商品価格に転嫁されるためです。
トランプ大統領への評価と「注目集め」の政治
メルケル氏は、ドナルド・トランプ米大統領について「注目を集めることを好む人物だ」と評し、今回の関税措置や発言も、自身に視線を集めるための行動だとの見方を示しました。その一方で、最終的には米国民にとって良い結果を示し、自らの能力を国内で証明しなければならないとも述べています。
もし関税によって米国の物価が上昇すれば、トランプ大統領は国内で反発に直面する可能性があるとし、関税政策は政治的にも経済的にもリスクを伴うと警告しました。
トランプ政権の関税措置と新たな脅し
トランプ大統領はこれまでに、米欧間の通商協議で進展が見られない場合、EU製品に対し大幅な追加関税を課すと繰り返し警告してきました。合意が7月9日までに得られなければ、EUからの輸入品に50%の関税を課すとする発言も伝えられています。
現在、米国はEUから輸入される鉄鋼・アルミ製品に50%、自動車関連に25%、その他ほとんどの品目に一律10%の関税を課しているとされています。メルケル氏の発言は、こうした高関税がさらに拡大する可能性をにらんだものです。
EUの対応:団結と「対抗関税」
メルケル氏は、トランプ政権がEUに追加関税を発動した場合、EUも自らの関税措置で対抗すべきだと主張しました。EUが分断されてしまえば交渉力を失いかねないため、加盟国間の団結が不可欠だと訴えています。
一方で彼女は、米国との関係を断ち切るべきだと主張しているわけではないと強調しました。関係を維持しつつも、対等な立場で交渉の場に臨み、自らの利益とルールを守る必要があるという立場です。
なぜ関税は自国民の負担になるのか
メルケル氏が指摘するように、関税は形式上は輸入品に課される税金ですが、実務上は自国の企業や消費者が多くを負担します。輸入企業は増税分を価格に上乗せせざるを得ず、その結果として、消費者が支払う最終価格が上昇しやすくなるからです。
関税が引き上げられると、次のような影響が想定されます。
- 輸入品の価格が上昇し、家計や企業コストを圧迫する
- 報復関税の応酬により、輸出企業も打撃を受ける
- 政策の不透明感が高まり、投資や雇用の判断が慎重になる
米欧貿易摩擦が世界に与える影響
世界のサプライチェーンは複雑に絡み合っており、米国とEUの貿易摩擦は両地域にとどまらず、他の国や地域にも波及する可能性があります。自動車や産業機械など、多くの分野で日系企業も米欧の市場や生産ネットワークに深く関わっているためです。
米欧の関税合戦が長期化すれば、世界経済の不確実性は一段と高まりかねません。メルケル氏の「怯むな、しかし交渉せよ」というメッセージは、保護主義とどう向き合うべきかを考えるうえで、EUだけでなく日本を含む多くの国にとって示唆に富むものと言えます。
Reference(s):
cgtn.com








