米20州がトランプ政権を提訴 防災インフラ向け資金打ち切りに異議
アメリカの20の州が、自然災害への備えに使われる防災インフラ資金の打ち切りをめぐり、トランプ政権を相手取って訴訟を起こしました。連邦政府の裁量と、防災インフラへの投資を重視する州の思惑が正面からぶつかる形です。
20州が連携してトランプ政権を提訴
訴えを起こしたのは、アメリカの20州です。その多くは民主党が主導する州とされ、連邦政府の方針に対する強い懸念を共有しています。
州側は、トランプ政権が災害関連の資金を「防災インフラ向けの補助金」から引き揚げようとしていることは違法だとして、資金の停止を差し止めるよう求めています。訴状は、ボストンの連邦地裁に水曜日に提出されました。
争点は「防災インフラ」向け補助金
今回の訴訟の焦点となっているのは、自然災害から地域を守るためのインフラ整備を支える補助金です。州や自治体のインフラを強化し、洪水や暴風などの被害を抑えることを目的とした資金で、総額では数十億ドル規模にのぼるとされています。
州側は、トランプ政権がこの資金を打ち切ろうとしていることが、地域の安全を脅かすだけでなく、すでに計画されているインフラ改修にも深刻な影響を与えると主張しています。
FEMAに「権限はない」と主張
訴状によると、連邦緊急事態管理庁(Federal Emergency Management Agency=FEMA)が今年4月、防災インフラを支援する「Building Resilient Infrastructure and Communities(BRIC)」プログラムを打ち切ったことが、今回の法的争いの直接のきっかけです。
- BRICプログラムは、すでに連邦議会によって承認されていた
- それにもかかわらず、FEMAが一方的にプログラムを終了させた
- FEMAには、そのような終了を決める権限はない
州側はこのように主張し、議会が認めた防災インフラ向けの支出を、行政の判断だけで止めるのは「越権行為」だと訴えています。
テキサスの洪水対応でFEMAに注目
FEMAは、最近テキサス州で発生した大規模な洪水への対応をめぐっても厳しい検証にさらされています。この洪水では、これまでに130人以上が死亡しているとされ、自然災害への備えと対応力の重要性があらためて浮き彫りになりました。
そのFEMAが、防災インフラを強化するためのプログラムを打ち切ったとされることに対し、州側の危機感が一層高まっているとみられます。大きな被害を生む災害が起きた直後だからこそ、「防ぐための投資」をめぐる判断には注目が集まりやすい状況です。
州と連邦政府の対立、その先にあるもの
今回の訴訟は、単に一つの補助金プログラムをめぐる争いにとどまりません。連邦議会が承認した資金を、行政府がどこまで変更・停止できるのかという、アメリカの統治構造そのものに関わる論点をはらんでいます。
また、多くの原告州が民主党主導であることから、政治的な対立の色彩もにじみます。一方で、洪水や暴風、山火事などの自然災害は、政党を問わず全ての地域に影響します。どこまで「防災インフラ」を優先するのかは、アメリカ社会全体の課題でもあります。
訴訟の行方次第では、今後の防災政策だけでなく、連邦政府と州との関係や、行政機関の権限のあり方にも影響が及ぶ可能性があります。防災と政治が交差するこの争いは、しばらく注視が必要なテーマと言えそうです。
Reference(s):
20 U.S. states sue Trump administration for pulling disaster funds
cgtn.com








