イスラエルのダマスカス空爆に非難拡大 国連安保理が緊急会合へ
イスラエルによるシリアの首都ダマスカスなどへの空爆をめぐり、国連安全保障理事会がシリアの要請で緊急会合を開く方向となり、民間人被害や地域情勢への影響をめぐって国際的な議論が一気に高まっています。
この記事のポイント
- イスラエル空軍がダマスカスと南部スワイダなどでシリア軍拠点を空爆
- シリアは主権侵害と国際法違反だとして国連安保理に緊急会合を要請
- 国連事務総長も空爆を非難し、緊張のエスカレートに懸念を表明
- 南部スワイダではドルーズ民兵、ベドウィン系武装勢力、政府軍が衝突し、死者は350人超に
国連安保理、シリアの要請で緊急会合へ
シリアへのイスラエル空爆をめぐる国際的な非難が強まるなか、国連安全保障理事会はシリアの要請を受け、木曜午後に緊急会合を開く予定です。会合では、ダマスカスなどへの空爆が地域の緊張をさらに高めているとして、各国が対応を協議するとみられます。
シリア側は、国連と国際社会、特に安保理に対し、イスラエルによるシリア領への繰り返しの攻撃を非難し、これを抑止するための「緊急かつ断固とした措置」を取るよう求めています。
ダマスカスと南部で相次いだ空爆
シリア当局によりますと、イスラエルは水曜日、首都ダマスカスと南部スワイダで、シリア軍の拠点を狙った一連の空爆を行いました。南部シリアでは現在、ドルーズ系の民兵組織、ベドウィン系の戦闘員、そしてシリア政府軍の間で暴力が続いており、そのさなかでの空爆となりました。
イスラエルによる攻撃は当初、スワイダ県に限定されていましたが、その後ダマスカス中心部にも拡大したとされています。イスラエル側は、シリア軍や関連する武器を標的としたものであり、イスラエル国内のドルーズ住民とシリアのドルーズとの「深い兄弟的な結びつき」を理由に、シリア政権がドルーズ共同体を傷つけることを防ぐことが目的だと説明しています。
シリア当局「主権の明白な侵害」と非難
シリアは、水曜日の空爆でダマスカスの政府関連施設が攻撃されたとし、これを「国家主権と国際法の明白な侵害だ」と強く非難しました。外務当局が出した声明によれば、空爆により女性や子どもを含む複数の民間人が負傷し、広範囲に物的被害が出たとしています。
声明は、今回の攻撃をイスラエルによる「計画的なエスカレーション政策」の一環と位置づけ、シリアおよび地域全体を不安定化させる試みだと主張しました。また、国連憲章と国際人道法に対する明確な違反だとも述べています。
シリアはさらに、今回の「危険なエスカレーション」についてイスラエルに全責任があるとし、国際法の下で認められるあらゆる手段によって自衛権を行使する正当な権利があると強調しました。
国連事務総長も空爆を非難
水曜日の後半には、国連のアントニオ・グテーレス事務総長も声明を発表し、イスラエルによる空爆を改めて非難しました。報道官のステファン・ドゥジャリック氏は声明で、スワイダ、ダルアー、ダマスカス中心部への一連の空爆に加え、ゴラン地域でのイスラエル軍部隊の再配置に関する報告に言及し、事態のエスカレーションに懸念を示しました。
南部スワイダでの暴力の連鎖
今回の緊張の背景には、シリア南部スワイダでの暴力の連鎖があります。報道によると、事態の発端は日曜日、スワイダ郊外で起きた一件でした。ベドウィン系部族の武装した一部のメンバーが、アルマスミヤ付近で若いドルーズ男性を襲撃し、暴行と強奪を行ったとされています。
この残虐な事件をきっかけに、報復として誘拐が相次ぎ、地元のドルーズ戦闘員、シリア政府軍、ベドウィン系の民兵組織の間で全面的な衝突へと発展しました。
シリア人権監視団によれば、日曜朝以降、スワイダ県での武装衝突や即決処刑、そしてイスラエル空爆による死者の合計は350人を超えています。
高まる緊張と国連安保理の役割
今回の一連の空爆と南部での衝突をめぐり、当事者の主張は鋭く対立しています。シリアは主権侵害と国際法違反を強調し、イスラエルはドルーズ共同体の保護を掲げています。国連事務総長はエスカレーションそのものを強く懸念し、国際社会の対応を促しています。
今後の焦点としては、次のような点が挙げられます。
- 国連安保理の緊急会合で、どこまで強いメッセージや具体的対応が打ち出されるのか
- スワイダやダマスカス周辺での武力衝突が、さらに他地域へ波及するのかどうか
- 民間人の保護と、国際人道法をめぐる議論がどこまで具体化するのか
中東情勢に大きな影響を与えかねない今回の空爆とその後の展開は、国際ニュースとして今後もしばらく注視が必要です。読者一人ひとりが、各当事者の発表や国連での議論を丁寧に見比べながら、自分なりの視点を持つことが求められています。
Reference(s):
Outcry mounts over Israeli strikes in Damascus as UNSC plans session
cgtn.com








