ガザ教会空爆を国連事務総長が非難 民間人保護と即時停戦を訴え
ガザ地区で、避難民が身を寄せていた教会がイスラエルの攻撃を受けたとされる事件について、国連のアントニオ・グテーレス事務総長が強く非難し、民間人の保護と即時停戦を改めて求めています。現地では国連機関が、終わりの見えない避難と深刻な燃料・水不足が続いていると警告しています。
避難民の拠点「聖家族教会」を直撃
国連によりますと、ガザ地区にあるカトリック系の「聖家族教会(ホーリー・ファミリー・チャーチ)」がイスラエルの空爆を受け、民間人が被害を受けました。この教会は、市民が戦闘を逃れて避難する「聖域」のような役割を果たしていたとされています。
国連事務総長の副報道官ステファニー・トランブレイ氏は、声明の中で次のように述べました。
「礼拝の場への攻撃は受け入れられません。避難先を求める人びとは尊重され、守られなければならず、攻撃の標的にされてはならないのです」
グテーレス事務総長「これ以上命を失ってはならない」
トランブレイ氏によると、グテーレス事務総長は今回の攻撃を「強く非難」したうえで、「すでにあまりにも多くの命が失われている」と懸念を示しました。
事務総長は、ガザをめぐるすべての当事者に対し、次の点を求めています。
- あらゆる場面で民間人を尊重し、保護すること
- ガザへ大規模に人道支援物資を届けることを認めること
- 即時の停戦を実現すること
- すべての人質を、条件を付けず直ちに解放すること
国連は、これらがこれ以上の犠牲者を出さないための最低限の条件だと強調しています。
21カ月にわたる戦闘で、ほぼ全住民が避難生活に
国連人道問題調整事務所(OCHA)は、最近の報告で、過去24時間のイスラエルによる攻撃が、避難民を受け入れている施設を直撃し、負傷者や死者が出たと伝えています。
OCHAによると、ことし7月8日から15日までの1週間で、新たに1万1600人以上が家を追われました。ことし3月18日に停戦が崩壊して以降の累計では、避難を強いられた人は73万7000人を超え、ガザの人口のおよそ35%に達しているといいます。
ガザでの戦闘が始まってから21カ月の間に、ほとんどすべての住民が一度は避難を余儀なくされ、多くの人びとは複数回の避難を経験しているとOCHAは指摘しています。安全だと思って移った先が再び攻撃される「たらい回し」のような状況が続いていることになります。
家も水も海も…生活インフラがほぼ崩壊
OCHAは、ガザの住宅の多くが破壊されるか、もはや住めない状態になっており、多くの家族が屋外で夜を過ごしていると報告しています。
こうした中、ガザ沿岸ではイスラエル当局が海への立ち入り禁止措置を再び導入し、泳ぐことも漁をすることも禁じられました。これにより、避難民の中には地中海で体を洗うことすらためらう人が出ているといいます。
もともと、ガザでは水道や下水などのインフラがほぼ崩壊し、多くの人にとって海は、体を洗うためのほぼ唯一の選択肢になっていました。その海さえ自由に使えなくなりつつある現状は、単に「水が足りない」というレベルを超えた人道危機の深さを物語っています。
燃料不足は続く 「小さな前進」も抜本的解決には遠く
さらにOCHAは、深刻な燃料不足が続き、イスラエル側がガザへの搬入を認めている燃料の量は、命を守るためのサービスを維持するには到底足りないと警告しています。燃料は、救急車や発電機、病院、水の供給設備などを動かすために不可欠です。
人道支援団体によると、「きょう、小さいながらも重要な前進があった」といいます。135日以上ぶりに、救急車などを動かすためのベンジン(ガソリン)が、わずかながらガザに搬入されました。ここ1週間ほどは、限られた量のディーゼル燃料も認められています。
しかしOCHAは、ベンジンとディーゼルの双方について、安定的で十分な量の搬入が必要だと訴えています。また、避難所の建設や修復に欠かせない資材に対する禁止措置も、直ちに解除すべきだと強く求めました。
人道支援団体は、「燃料とシェルター(避難場所)の両方に、人びとの命がかかっている」として、燃料とともに避難用の資材の重要性も強調しています。
このニュースから見えるもの――「守られるべき場所」をどう守るか
礼拝所や学校、病院などは、本来であれば紛争下でも最優先で守られるべき場所です。しかしガザでは、その「最後の拠り所」となってきた教会さえ攻撃の影響を受け、避難民が命の危険にさらされています。
国連の声明は、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 宗教施設や避難所といった「守られるべき場所」を、実際の戦闘の中でどうやって守るのか
- 即時停戦や人道支援の拡大に向けて、国際社会はどこまで踏み込むことができるのか
- ニュースの数字の背後にいる、一人ひとりの生活や選択をどう想像し、受け止めるのか
ガザの状況は複雑で、簡単な答えはありません。それでも、宗教施設への攻撃や、避難民の生活基盤が奪われているという事実に目を向けることは、遠く離れた場所からでもできる第一歩だと言えます。
Reference(s):
cgtn.com








