シリア南部スウェイダで部族戦闘員が撤退 停戦合意と人道危機のいま
シリア南部スウェイダで、ベドウィン部族戦闘員が市内から完全に撤退したと、シリア内務当局が停戦合意の履行に向けた取り組みの一環として発表しました。ただ、ドゥルーズ武装集団との激しい衝突や迫る人道危機により、情勢はなお不安定なままです。
スウェイダで続いた激しい戦闘
南部スウェイダでは、7月13日以降の暴力で少なくとも940人が死亡しているとされています。土曜日に発効した停戦合意後も、ドゥルーズ武装集団とベドウィン部族戦闘員の間で激しい戦闘が発生しました。
英国を拠点とするシリア人権監視団(SOHR)によると、ドゥルーズ側は土曜夜に反攻を開始し、数時間にわたる衝突の末にスウェイダ市を奪還したとされています。
国際仲介による三段階の停戦合意
今回の三段階の停戦合意は、米国、トルコ、ヨルダンなどの地域関係国が仲介し、スウェイダでの暴力の終息を目的として土曜日に発効しました。
しかし、合意の発効から数時間後に再び激しい戦闘が起きたことで、この停戦がどこまで実効性を持つのか、不透明感が漂っています。
部族戦闘員の撤退と治安部隊の展開
その後、シリア内務当局は土曜夜、停戦合意の実現に向けた集中的な努力の結果として、ベドウィン部族戦闘員がスウェイダ市から完全に撤退したと発表しました。
内務当局の報道官ヌーレッディン・アル=ババ氏はテレビ声明で、北部と西部のスウェイダに内部治安部隊が展開し、市内のすべての武装部族戦闘員が退去したことで、市街地での衝突は収束したと説明しました。
一方で、シリア人権監視団によれば、撤退する部族側は迫撃砲攻撃で応戦し、物的な被害が出たほか、市民が負傷した可能性も指摘されています。
ドゥルーズ宗教指導部の強い非難
同じ土曜日の夕方、スウェイダのドゥルーズ宗教指導部は声明を出し、ベドウィン部族民兵が新たに合意された停戦に違反し「人類すべての良心を汚す犯罪」を犯していると厳しく非難しました。
声明は、国際的な保証人に対し、停戦を確実に履行させるとともに、スウェイダ住民に対する「テロと集団的な懲罰のキャンペーン」を直ちに止めるよう求めています。
迫る人道危機 インフラと医療の崩壊
シリア人権監視団は、スウェイダが差し迫った人道的な大惨事に直面していると警鐘を鳴らしています。
- 広範囲に及ぶインフラの損壊
- 医療物資の深刻な不足
- 主要病院の機能の完全な崩壊
市内の病院機能が麻痺すれば、戦闘による負傷者だけでなく、日常の病気や事故への対応も難しくなります。停戦が一時的に実現したとしても、住民の生活基盤の回復には長い時間がかかることが予想されます。
日本からこのニュースをどう見るか
今回のスウェイダでの出来事は、停戦合意と現場の治安が必ずしも一致しない現実を映し出しています。国際社会が仲介した三段階の合意がある一方で、武装勢力間の不信と緊張が残る限り、再び暴力が噴き出すリスクは消えません。
中東の一地方都市で起きている出来事に見えても、そこには、武力紛争をどう終わらせるのか、人道危機にどう向き合うのかという、国際社会全体が直面する問いが凝縮されています。日本の読者にとっても、今後の停戦履行の行方と人道支援のあり方を見つめることが求められています。
Reference(s):
Bedouin fighters withdraw from Syria's Sweida after ceasefire efforts
cgtn.com








