米国科学機関で抗議続出 NSF職員140人超がトランプ政権の科学政策に反発
米国の国際ニュースとして注目される動きが出ています。米国の主要な科学研究の助成機関である国立科学財団(NSF)の職員140人超が、トランプ政権の科学政策に抗議する書簡を米議会に送ったことが明らかになりました。政治と科学の距離をどう保つのかという問題が、あらためて浮き彫りになっています。
NSF職員140人超が連名で抗議
書簡は今週月曜日、米下院の科学・宇宙・技術委員会の少数党筆頭理事であるゾーイ・ロフグレン議員に宛てて送られました。署名したのはNSFの職員140人以上で、同機関の科学政策や運営をめぐるトランプ政権の対応を厳しく批判しています。
書簡によると、職員らはトランプ政権が次のような行為を行ってきたと主張しています。
- 職員の突然の解雇や配転など、人事の「抜き打ち的な」実施
- 重要な研究への資金の支出を留保し、研究の継続性を脅かしたこと
- NSFの予算を大幅に削減しようとしていること
署名者のうち1人を除き、ほぼ全員が名前の公表を避けました。書簡は、その理由として「報復への懸念」があるとし、現場の不安の大きさをにじませています。
「政治的動機」「法的に疑わしい」との指摘
書簡の中で職員らは、トランプ政権の一連の措置を「政治的動機に基づく」「法的に疑わしい」と表現しています。これらの行為が、NSFという機関の中立性と専門性を損ない、連邦公務員に与えられた身分保障を脅かしていると警鐘を鳴らしました。
NSFは、基礎研究を中心に幅広い分野の科学研究を支える米国屈指の研究助成機関です。その独立性や透明性は、国内外の研究者にとって不可欠な信頼の土台となっています。職員らは、この土台が揺らいでいると危機感を共有している形です。
議会に求めた3つの役割
書簡は、米国議会に対して次の3点を求めています。
- NSFの使命と職員を守ること
- NSFの科学的独立性をあらためて確認すること
- 国家の繁栄と安全保障に不可欠な研究を継続的に支援すること
つまり、科学政策をめぐる政権の決定が行き過ぎていないかを議会が監視し、科学機関の制度的な安全装置として機能してほしい、という要請です。
NIH・EPA・NASAにも広がる抗議の連鎖
今回のNSF職員による書簡は、単発の出来事ではありません。先月には、米国立衛生研究所(NIH)の科学者や職員、環境保護庁(EPA)の職員からも、科学政策をめぐる抗議の書簡が公表されていました。
さらに、最近では米航空宇宙局(NASA)の現役および元科学者らが署名した「ボイジャー宣言」も発表されています。いずれも、政治的な圧力によって科学的判断が歪められることへの懸念を示す内容です。
専門家の間では、こうした連邦政府の科学機関からの一連の抗議は、これまでに例を見ない規模の「異議申し立て」であり、米国の行政機関内部で何が起きているのかを読み解く重要なシグナルだと受け止められています。
なぜ「科学の独立性」が国際的な関心事なのか
このニュースは、米国の国内問題にとどまらず、国際ニュースとしても注目されています。NSFのような機関が支える基礎研究は、気候変動、感染症対策、宇宙探査、デジタル技術など、世界共通の課題に直結しているからです。
研究資金の配分や人事が政治的な思惑で大きく左右されるようになれば、長期的な研究が中断されたり、不都合な結果が表に出にくくなったりするおそれがあります。その影響は、米国内だけでなく、共同研究を行う世界中の研究者や企業にも波及します。
私たちがニュースから読み取れること
今回のNSF職員による抗議は、単に「トランプ政権 vs. 科学者」という構図に矮小化するよりも、「民主主義の下で専門機関の独立性をどう守るか」という、より普遍的な問いとして読むことができます。
- 行政機関の内部から声を上げることは、どこまで安全なのか
- 議会は、政権と専門機関との間でどのようなバランス役を担うべきなのか
- 市民やメディアは、科学政策の変化をどう見抜き、検証していけるのか
こうした問いは、米国だけでなく、多くの国や地域に共通するテーマです。国際ニュースを日本語で追いかける私たちにとっても、科学と政治の関係を考え直すきっかけになる出来事だと言えるでしょう。
Reference(s):
U.S. science agency members protest against Trump's science policies
cgtn.com








