トランプ大統領、エプスタイン関連ファイル「事前説明なし」と否定
米トランプ大統領が、性犯罪で有罪となり2019年に獄中死した実業家ジェフリー・エプスタインに関する米司法省のファイルに、自身の名前が複数回登場すると報じられたことについて、事前に知らされていなかったと否定しました。政権の透明性と支持層との関係に、あらためて注目が集まっています。
- トランプ大統領は、エプスタイン関連ファイルで自らの名前が出ていることを知らなかったと主張
- 一方で、司法長官が5月に大統領へ説明していたと米紙が報道
- 米司法省は今月、エプスタイン事件の捜査継続に根拠はないとするメモを公表し、支持層から強い反発が起きています
スコットランドでの発言:事前説明はなかったと強調
トランプ大統領はスコットランドで記者団の取材に応じ、エプスタインに関する米司法省のファイルに自らの名前が含まれていることについて、事前に報告を受けていなかったと述べました。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、パム・ボンディ司法長官が5月に大統領へ説明していたと報じており、発言との食い違いが指摘されています。
同紙によると、ボンディ氏は、大統領の名前が複数回登場することだけでなく、他の著名人の名前も多く含まれていることを伝えたとされています。また、司法省はエプスタイン事件の捜査に関する追加資料を公開する予定はないとも説明したと報じられています。
ホワイトハウスの対応は揺れ
この報道を受け、ホワイトハウスは当初、記事をフェイクニュースだと批判する声明を発表しました。しかしその後、政府高官はロイター通信に対し、大統領の名前が一部のファイルに含まれている可能性自体は否定しないと述べました。
高官によれば、トランプ氏の名前は、ボンディ氏が2月に保守系のインフルエンサー向けにまとめた資料の一部にもすでに含まれていたといいます。政権側の説明が一枚岩ではないことが、疑念や憶測をさらに呼ぶ形となっています。
エプスタイン事件とトランプ氏の距離感
トランプ氏は1990年代から2000年代初頭にかけて、エプスタインと交友関係にあったとされています。エプスタインのプライベートジェットのフライトログ(搭乗記録)には、1990年代にトランプ氏の名前が複数回記載されており、トランプ氏やその家族の名前は、エプスタインの連絡先帳にも記載されていました。
エプスタインの長年のパイロットは、裁判でトランプ氏が同機に複数回搭乗したと証言しましたが、トランプ氏は自らがエプスタインの飛行機に乗ったことはないと否定してきました。トランプ氏は、エプスタインとの関係は20年前に同氏の法的トラブルが本格化する前に終わっていたと主張しており、エプスタイン事件に関連した違法行為で告発されたことはありません。
エプスタインの元側近であるギレーヌ・マクスウェル被告は、未成年者の性的人身売買などの罪で有罪判決を受け、禁錮20年の刑が言い渡されています。裁判過程で公開された資料の一部には、エプスタインの人脈を示す情報も含まれていました。
司法省メモ「捜査継続の根拠なし」と支持層の怒り
今月公表された司法省のメモは、エプスタイン事件について捜査を継続する根拠はないと判断した内容でした。この決定は、ここ数週間にわたりトランプ政権を揺るがしている政治的な危機を、さらに深刻化させる懸念が出ています。
トランプ氏は選挙戦の中で、エプスタインと関わりのあった富裕層や権力者の責任追及や透明性の確保を訴えてきました。しかし政権は、司法省ファイルの全面公開を見送る方針に転じており、これが公約違反だとして、一部の熱心な支持者から強い反発を招いています。
司法長官のボンディ氏と司法副長官のトッド・ブランシュ氏は共同声明で、ファイルの中身は追加の捜査や起訴を正当化するものではなかったと説明しました。そのうえで、大陪審(グランド・ジュリー)の議事録を公開するよう、裁判所に申し立てを行ったと明らかにしています。ただし、ウォール・ストリート・ジャーナルが報じた、大統領への説明内容については直接触れませんでした。
陰謀論と透明性のはざまで
エプスタイン事件をめぐっては、2019年に彼が収監中に死亡した経緯や、関係者リストをめぐるさまざまな陰謀論が、長年にわたりインターネット上で拡散してきました。トランプ氏の一部の支持者は、エプスタインの顧客や交流のあった著名人を追及することこそが真の闇を暴くことだと主張してきました。
そうした支持層にとって、司法省が追加の捜査や資料公開に消極的な姿勢を示したことは、大きな失望となっています。今回のファイル問題をきっかけに、政権内の説明と実際の対応のずれが強調されることで、トランプ氏と支持層との間に、これまでになかった不信感が生まれかねません。
今後の焦点:政権の説明責任と政治的ダメージ
現時点で、トランプ氏がエプスタイン事件に関連して違法行為を行ったとする証拠は示されていません。それでも、司法省のファイルに大統領の名前が複数回登場していること、そしてその事実をいつ誰がどのように大統領へ伝えたのかをめぐる食い違いは、政権の説明責任に直接関わる問題です。
今後の焦点は、次の点に移っていきそうです。
- 司法省がどこまで大陪審議事録などの資料を公開するのか
- ホワイトハウスが、大統領への説明経緯についてどこまで詳細を明らかにするのか
- 支持層の怒りが一時的なものにとどまるのか、それとも長期的な不信へとつながるのか
エプスタイン事件は、個人の犯罪を超えて、権力者と司法の関係、政治の透明性といったより広いテーマを社会に突きつけています。今回の一連の動きが、米国政治にどのような影響を与えるのか。日本に住む私たちにとっても、権力と説明責任をどう監視していくのかを考えるきっかけになりそうです。
Reference(s):
Trump says he was 'never' informed his name appeared in Epstein files
cgtn.com








