DPRK、国境スピーカー撤去を否定 韓国の関係改善論を一蹴
朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)が、韓国との国境地帯に設置された拡声音スピーカーを一度も撤去しておらず、今後も撤去する意思はないと強調しました。朝鮮中央通信(KCNA)が木曜日に、朝鮮労働党中央委員会の金与正(キム・ヨジョン)副部長による談話を配信し、韓国側が流す「DPRKと韓国の関係が回復している」といった見方を厳しく批判しています。
金与正氏談話「ソウルの希望は愚かな夢にすぎない」
KCNAによれば、この談話の題名は「ソウルの希望は愚かな夢にすぎない」です。金与正氏は、韓国当局がDPRK側のスピーカーを撤去したかのような誤った世論づくりを行い、両者の関係が回復しつつあるとのイメージを国内で広げていると非難しました。
談話は、韓国がDPRKのスピーカーを撤去したとする見方や、南部国境地域での状況をめぐる説明は事実と異なると指摘し、そうした楽観的な評価は現実からかけ離れているとの認識を示しています。
国境スピーカー「撤去せず、撤去の意思もない」
今回の談話でまず強調されたのは、韓国との境界沿いに設置されたDPRK側の拡声音スピーカーについてです。DPRKはこれまで一度もスピーカーを取り外しておらず、今後も撤去するつもりはないと明言しました。韓国側から出ている撤去を前提とした報道や観測を、事実上全面否定した形です。
金与正氏は、韓国世論が「DPRKと韓国の関係が回復している」と受け止めるよう誘導されていると指摘し、そのような期待は愚かな夢にすぎないと強調しました。国境スピーカーの扱いは、両者の関係を象徴するシグナルとして注目されてきましたが、少なくともDPRK側は現状維持の姿勢をはっきり示したことになります。
韓国の動きには「関心がない」と突き放す
談話はさらに、韓国がどのような対応を取るかについて、DPRK側は気にしないし、関心もないと突き放す姿勢を示しました。
具体的には、韓国側が
- 自国側のスピーカーを撤去するかどうか
- 放送を続けるか中断するか
- 軍事演習を延期するかどうか
- 演習規模を縮小するかどうか
といった点について、DPRKは「いささかも気にしない」との立場を取っていると伝えられました。韓国側の措置を、対話や関係変化のサインとは見ていない姿勢がうかがえます。
また金与正氏は、韓国の対DPRK政策はこれまでも変わっておらず、今後も変わることはないと述べました。きょう月曜日に開始が予定されている米韓合同軍事演習についても、韓国の敵対的な姿勢を改めて浮き彫りにするものだと批判しています。
トランプ・プーチン会談めぐる観測も一蹴
談話はさらに、韓国メディアの一部で出ている見方にも反論しました。それは、近く予定されているトランプ氏とプーチン氏による会談の場で、DPRKが米国側に自らの考えを伝えるのではないかという観測です。
金与正氏は、こうした報道は韓国側が偽りの夢を見ている何よりの証拠だと切り捨てました。そのうえで、DPRKは米国とは何の関係もないと強調し、韓国や米国が描くシナリオの中で自らの立場が語られること自体を否定する姿勢を示しました。
今回のメッセージが示す3つのポイント
今回の金与正氏の談話からは、少なくとも次の三つのポイントが浮かび上がります。
- 国境スピーカーをめぐる韓国側の「撤去」報道や、DPRKと韓国の関係が回復しつつあるというムードを明確に否定したこと。
- 韓国がスピーカー撤去や放送中止、演習の延期・縮小といった措置を取ったとしても、DPRKはそれを対話のきっかけとは見なさず、関心がないと表明したこと。
- 近く予定されるトランプ・プーチン会談を含め、DPRKは米国と距離を置く姿勢を改めて打ち出し、韓国や米国が思い描く枠組みに乗らないとの立場を示したこと。
韓国国内では、国境地帯での動きや軍事演習の調整をきっかけに、DPRKとの関係改善への期待が高まる場面もあります。しかし今回の談話は、DPRK側がそうした期待を愚かな夢として切り捨てていることを改めて印象づけました。
今後の朝鮮半島情勢を読み解くうえでは、スピーカー撤去といった象徴的な出来事だけでなく、こうした公式談話に込められたメッセージを丁寧に追うことが、状況を冷静に理解する手がかりになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








