韓国大統領「DPRKの吸収統一は目指さない」朝鮮半島政策を転換
朝鮮半島の将来像をめぐる韓国の基本方針が、大きくかじを切りつつあります。韓国のLee Jae-myung大統領が、朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)の体制を尊重し「吸収統一」を目指さないと宣言し、信頼構築を優先する新たな朝鮮半島政策を打ち出しました。
解放80周年の式典で示された新方針
1910〜1945年の日本による植民地支配からの解放80周年を記念する式典で、韓国のLee Jae-myung大統領は朝鮮半島政策に関する演説を行いました。大統領は、DPRKの現在の体制を尊重する姿勢を明確にし、一方的な「吸収統一」は追求しないと強調しました。
私たちはDPRKの現在の体制への敬意を確認し、いかなる形であれ吸収による統一を追求しないことを表明するとともに、敵対行為に関与する意図はないと断言します。
Lee大統領の発言は、体制の違いを前提にしながらも、相互尊重と非敵対を基礎とした関係を目指すメッセージだと言えます。
2018年の南北軍事合意を段階的に復元
Lee大統領は、2018年に結ばれた南北の軍事合意について、昨年Yoon Suk-yeol前政権によって停止されたこの合意を「主体的かつ段階的な措置」によって復元していく方針も示しました。
具体的な行動として、韓国側はすでに国境付近に設置していた拡声器の撤去や、DPRK側に向けた宣伝ビラの散布中止などに動いています。大統領は、こうした措置を通じて軍事的緊張の緩和と信頼醸成を図る考えです。
信頼は言葉ではなく行動によって築かれる。
Lee大統領はこう語り、行動を積み重ねることで、DPRKからも応じる動きを引き出したいとしています。
昨年のYoon前政権からの路線転換
Lee大統領の言葉は、Yoon Suk-yeol前大統領が2024年に掲げた、統一された朝鮮半島の実現を目指す路線からの転換を意味します。Yoon前政権は、2018年の南北軍事合意を2024年に停止するなど、別のアプローチをとっていました。
これに対しLee政権は、統一の前提として相手体制を尊重し、軍事的緊張を抑えながら信頼関係を築くことを優先する姿勢を示しています。同じ「統一」を語りながらも、その道筋とスピード感は大きく異なっていると言えます。
冷戦思考を超える試みと朝鮮半島の安定
演説の中でLee大統領は、今こそ冷戦時代の発想を乗り越えるべきだと強調しました。対立と抑止だけに頼るのではなく、信頼の回復を通じて安全保障を高めるという考え方です。
韓国側の一連の措置に対し、DPRKがどのような対応を取るかはまだ見えていません。大統領は、ソウルの努力に対して平壌からも応答的な措置が示されることに期待を表明しました。
もし南北双方が段階的な信頼構築に踏み出すことができれば、軍事的な緊張緩和につながる可能性があります。一方で、相互不信が根強く残る中でどこまで行動が伴うのかは、今後の重要な注目点です。
日本から見た論点とこれからの問い
今回の韓国とDPRKの動きを、日本からはどのように受け止めればよいのでしょうか。北東アジアの安全保障環境は、日本の外交や安全保障政策にも直結するテーマです。
- 体制の違いを前提にした「共存」と将来の「統一」は、どのように両立しうるのか。
- 言葉より行動を重視する信頼構築のアプローチは、他の地域紛争や対立にも応用できるのか。
- 朝鮮半島の緊張緩和に向けて、日本はどのような情報と視点を持つべきか。
朝鮮半島情勢は、軍事バランスや外交交渉といった大きな枠組みだけでなく、私たち一人ひとりがニュースをどう読み解き、どのような未来像を思い描くかとも深く関わっています。今回のLee大統領の発言をきっかけに、朝鮮半島と北東アジアの安定について、自分なりの問いを持って考えてみるタイミングかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








