米国の少額輸入免税終了で各国郵便が小包停止 国際通販への影響
米国が低価格輸入品への免税措置「デミニミス」を終了したことを受け、インドや韓国、イタリアなど複数の国の郵便事業者が、米国向けの小包郵便を相次いで停止しています。国際通販や越境ECにどんな影響が出ているのでしょうか。
米国が「デミニミス」免税を終了
2025年7月30日、米国政府は、800ドル未満の少額輸入品に適用してきた「デミニミス」免税制度を終了すると発表しました。この制度は、一定額以下の荷物について、簡易な通関手続きで関税を免除する仕組みでした。
発表によると、この免税措置は8月29日から停止されました。これにより、低価格の国際小包であっても、詳細な申告書類や追加の関税・手数料が必要になるケースが増えています。
各国の郵便が相次いで米国向け小包を停止
こうした米国側のルール変更を前に、世界各地の郵便事業者が相次いで米国向けの小包受付を停止しました。停止のタイミングや対象は国によって異なりますが、いずれも新たな通関・関税要件への対応が難しいことが理由とされています。
インド:25日から小包を停止、一部ギフトのみ例外
インド通信省は8月23日、米国の関税政策を理由に、インドの郵便サービスによる米国向けの小包郵便を8月25日から停止すると発表しました。
停止の対象外となるのは、書簡や書類、100ドル以下のギフト(贈答品)のみとされています。それ以外の荷物は、郵便では米国に送れない状況になりました。
韓国:Korea Post が受付停止、民間プレミアム便のみ継続
韓国の公的郵便事業者である Korea Post も、米国向けの小包の引き受けを停止すると公表しました。理由としては、現行の郵便ネットワークでは、米国側が求める新たな申告・関税要件に対応できないことが挙げられています。
一方で、Korea Post が提携する民間の宅配事業者によるプレミアムサービスは引き続き利用可能だとしています。ただし、料金はこれまでの一般郵便より高くなると説明されています。
イタリアと欧州:小包は停止、書簡は継続
イタリアの郵便事業者も8月23日時点で、米国向けの小包配達を停止したと発表しました。商品を含まない通常の書簡については、これまで通り送付が可能とされています。
また、欧州の他の複数の郵便事業者も、同様に米国向け小包の引き受け停止や制限を行う方針をすでに公表しています。
「デミニミス」制度とは何か
今回の動きの背景にあるのが、「デミニミス」と呼ばれる免税制度です。もともと米国では、800ドル未満の輸入品については、通関に必要な書類を最小限にし、関税も免除する取り扱いが広く適用されてきました。
これは、海外のネット通販サイトで少額の商品を購入する消費者や、少量の品物を頻繁に発送する中小の事業者にとって、大きなメリットとなっていました。書類や関税にかかる時間とコストが抑えられるためです。
しかし、免税対象が拡大する中で、米国側では税収や公平性、輸入管理の観点から見直しを求める声が強まりました。その結果、2025年夏に世界全体に適用されていたデミニミス免税が終了し、低価格の荷物でも原則として通常の通関手続きが求められるようになりました。
国際通販や越境ECへの影響
米国向けの小包を扱う郵便ネットワークが揺らぐことで、国際通販や越境ECにはいくつかの影響が出ています。
- 米国向けの配送料金が上昇する可能性
- 配送日数の長期化や、一時的な配送停止
- 通関書類の作成負担増加による、事業者側のコスト増
- 郵便から民間宅配へのシフトによる、利用サービスの選択肢の変化
インドや韓国、イタリアの事業者が郵便での小包受付を停止したことで、これらの国から米国に商品を発送していたネットショップや個人輸出者は、より高価な民間の配送サービスに切り替えるか、販売戦略そのものを見直さざるを得なくなっています。
日本の読者にとっての意味
今回の情報の中には、日本から米国への郵便物に関する具体的な言及はありません。ただ、米国が少額輸入品への免税措置を終了したことは、世界の物流と電子商取引にとって大きな転換点といえます。
日本の事業者や個人が米国向けに商品を販売・発送する場合も、今後は次のような点に注意する必要があります。
- 米国側での関税や税金が発生する前提で、価格設定や送料を見直す
- インボイス(送り状)や内容品の申告を、より詳細かつ正確に行う
- 郵便だけでなく、民間の宅配サービスも含めて最適な配送手段を比較検討する
米国のルール変更は、一見すると米国と該当国の問題に見えますが、「少額なら簡単に海外とやりとりできる」というこれまでの前提が揺らいだという意味で、越境EC全体に影響を与えています。
これからどうなるか
2025年末時点では、各国の郵便事業者や物流企業が、新たな通関要件への対応策を探っている段階にあります。システム改修や人員体制の強化が進めば、米国向けの小包サービスが再開される可能性もありますが、コスト上昇は避けにくいとみられます。
国際ニュースとしての側面だけでなく、「身近なネット通販がどう変わるか」という生活者目線でこの問題を追いかけることが、これからのニュースリテラシーにもつながっていきます。
Reference(s):
Postal services in several countries suspend deliveries to U.S.
cgtn.com








