米国、アッバス議長の国連訪問ビザを拒否
米国、アッバス議長の国連訪問を認めず
米国政府が、来月ニューヨークで開かれる国連の首脳級会合に出席予定だったパレスチナのマフムード・アッバス議長にビザを発給せず、渡航を認めない方針を示しました。複数の米国の同盟国がパレスチナ国家を承認する場になるとみられる会合を前にした決定で、国連本部協定との関係や、パレスチナ問題をめぐる緊張があらためて注目されています。
約80人のパレスチナ関係者にビザ制限
米国務省の担当者によると、ビザの拒否や取り消しの対象となるのは、アッバス議長に加え、パレスチナ解放機構(PLO)やヨルダン川西岸を拠点とするパレスチナ自治政府(PA)のメンバーなどおよそ80人です。いずれも来月(2026年1月)にニューヨークで予定される世界の指導者による国連の会合に参加する予定でした。
アッバス議長は、国連総会の年次ハイレベル会合への出席に加え、フランスとサウジアラビアが主催する首脳級の会合にも参加する計画でした。この会合には、英国、フランス、オーストラリア、カナダなどが参加し、パレスチナ国家を正式に承認する方針を示しているとされています。
国連本部協定との関係は
アッバス議長の事務所は、こうしたビザの決定に『驚きを禁じ得ない』と表明し、1947年に結ばれた国連本部協定に違反していると主張しています。
この協定は、米国がニューヨークの国連本部に各国の外交官がアクセスできるよう一般的に受け入れることを定めています。一方で、米国側は安全保障や過激主義、外交政策上の理由からビザを拒否できるとの立場をとってきました。
今回の決定について米国務省は、パレスチナ自治政府やPLOが過激主義を明確に否定してこなかったとする、これまでの米国とイスラエルの見解をあらためて示しました。また、パレスチナ国家の一方的な承認を追求していることも理由に挙げています。
パレスチナ側は強く反発
これに対しパレスチナ側の担当者は、こうした批判を退けています。長年にわたり米国が仲介してきた交渉にもかかわらず、イスラエルによる占領は終わっておらず、独立したパレスチナ国家樹立も実現していないと指摘しています。
なお、ニューヨークに常駐するパレスチナ自治政府の国連代表部は、今回のビザ制限の対象外とされており、日常的な国連での活動は継続される見通しです。
国連は米国と協議へ
国連のステファン・ドゥジャリック報道官は、ビザ問題について、国連本部協定に基づき米国務省と協議を行う考えを示しました。
何が問われているのか
今回の米国の判断は、パレスチナ国家承認をめぐる国際社会の動きと、米国の中東政策がどのように結びついているのかを映し出しています。自国のビザ政策を通じて、国連の場での議論や参加者を事実上コントロールしうることを示したともいえます。
同時に、国連本部を置く国としての責任と、自国の安全保障や外交政策を優先する権利をどのように両立させるのかという、より大きな問いも突きつけています。パレスチナ問題に対する各国の立場が揺れるなか、今回の決定が今後の国際的な議論や交渉の雰囲気にどのような影響を与えるのか、注視が必要です。
Reference(s):
U.S. bars Palestinian President Abbas from UN meeting in New York
cgtn.com








