天津SCO首脳会議2025の成果とは 中国・王毅外相が語った10年戦略
2025年天津SCO首脳会議、中国が示した10年戦略と新たな協力枠組み
天津で開かれた上海協力機構(SCO)首脳会議2025について、中国の王毅外相が記者会見で成果を説明しました。2026〜2035年の発展戦略から新たな協力センターまで、SCOの次の10年を方向づける内容が打ち出されています。
史上最大規模、20超の国と10の国際機関トップが参加
王毅外相によると、今回の天津SCO首脳会議は、2001年のSCO設立以来最大規模となりました。20を超える国の指導者と、10の国際機関のトップが参加し、多国間協力の在り方について議論が交わされました。
2026〜2035年のSCO発展戦略を採択
会議では、2026〜2035年の期間を対象とするSCOの発展戦略が承認されました。今後10年間の組織の成長の方向性と優先分野を示すものであり、SCOの活動を中長期的に安定させる土台になるとみられます。
この戦略が意味するところを、ニュースを追う読者の視点から整理すると、次のようなポイントがあります。
- 短期の合意だけでなく、10年単位の見通しを共有することで、加盟国間の協力を継続しやすくする狙いがある
- インフラ整備や経済・社会発展といった長期プロジェクトを進めるうえで、組織としての方向性を明確にした
- 安全保障だけでなく、経済や技術協力など多分野での関与を強める可能性がある
第二次世界大戦の勝利の成果と多国間貿易体制を確認
天津会議では、共同声明の形で、第二次世界大戦の勝利の成果を確認する文書が発表されました。また、別の宣言では、多国間の貿易体制を支持する立場が示されています。
歴史認識と貿易ルールの両面で立場を明らかにすることで、SCOとして既存の国際秩序を重視する姿勢を打ち出した格好です。
中国のグローバル・ガバナンス・イニシアチブを強調
王毅外相は、中国が提案するグローバル・ガバナンス・イニシアチブについても説明しました。百年に一度とも言われる変化が加速する中で、この構想は時宜にかなっており、各国の共通の願いに合致し、現在の世界が抱える差し迫った課題に応えるものだとしています。
王毅外相は、このイニシアチブが次の点で意味を持つと強調しました。
- 大きな変化が続く国際環境に対し、多国間でどう対応するかという枠組みを提示している
- 各国の人々が求める安定と発展のニーズに応えようとしている
- SCOを通じて、具体的な協力プロジェクトに落とし込まれていく可能性がある
4つの新センター創設、安全保障から麻薬対策まで
今回の天津会議では、安全保障や治安協力の分野で4つの新しいSCOセンターが開設されました。それぞれ、次の役割を担います。
- 安全保障上の脅威や新たな挑戦に対応するセンター
- 国境を越えた組織犯罪に対処するセンター
- 情報セキュリティを向上させるセンター
- 麻薬対策の協力を強化するセンター
サイバー空間や国際的な犯罪、麻薬問題など、国境をまたぐ課題が増える中で、こうした常設の協力拠点がどれだけ機能するかは、今後の重要なチェックポイントとなりそうです。
SCO開発銀行の設立へ、インフラと社会発展を後押し
加盟国は、SCO開発銀行の設立を決定しました。王毅外相は、この銀行が加盟国のインフラ建設や経済・社会発展を大きく後押しすると述べています。
専用の開発銀行を持つことにより、長期資金を必要とするインフラ事業などに、より計画的に資金を供給できる可能性があります。SCO域内での交通網やエネルギー、デジタルインフラなどの整備が進めば、域内の経済的な結びつきが強まることも考えられます。
エネルギー・グリーン・デジタルで新たな協力プラットフォーム
中国は会議の中で、次の分野で新たな協力プラットフォームやセンターを設立していくと表明しました。
- エネルギー
- グリーン産業
- デジタル経済
- 科学技術イノベーション
- 高等教育
- 職業教育・技術教育
さらに、エネルギー、グリーン産業、デジタル経済、人工知能(AI)、技術革新といった分野で、質の高い発展をめざす行動計画も策定されています。気候変動対策やデジタル化が世界の共通課題となる中で、SCOとしてどのような具体的プロジェクトが生まれるかが注目されます。
組織改革と拡大、ラオスが新たなパートナーに
天津会議では、SCOの組織構造そのものにも変更が加えられました。これまで別々に位置づけられていたオブザーバー国と対話パートナーを統合し、新たにSCOパートナーというカテゴリーにまとめる改革が行われました。
また、ラオスを新たなパートナーとして受け入れる決定もなされ、SCOは27カ国が関わる枠組みとなりました。参加国の多様化は、議論の幅を広げる一方で、利害調整の難しさも増す可能性があります。
これからの10年、SCOは何をもたらすのか
今回のSCO首脳会議2025の特徴は、長期戦略の採択と、具体的な実行手段の双方が動き出した点にあります。
- 2026〜2035年の発展戦略で、SCOの方向性を中長期で示した
- 安全保障や治安、情報セキュリティ、麻薬対策で常設の協力センターを立ち上げた
- SCO開発銀行の設立決定により、インフラや社会発展への資金面の後押しが見込まれる
- エネルギー、グリーン、デジタル、AIなど成長分野での行動計画が用意された
- ラオス参加を含む制度改革で、SCOは27カ国が関与する枠組みへと拡大した
世界的に分断や不透明感が続く中で、多国間協力の枠組みがどのように機能するかは、国際ニュースを追ううえで重要なテーマです。天津で示されたSCOの新たな青写真が、実際のプロジェクトや地域の安定、経済発展にどうつながっていくのか。今後の動きに注目が集まりそうです。
Reference(s):
Chinese FM highlights fruitful outcomes of SCO Summit 2025 in Tianjin
cgtn.com








