中国経済、2025年下半期に向け新対策 全人代常務委で中間報告 video poster
中国の経済・財政当局は、第14期全国人民代表大会(全人代)常務委員会に対し2025年の中間報告を行い、年後半(2025年下半期)に向けた成長維持策と安定重視の方針、さらに2026〜2030年の第15次五カ年計画を見据えた立法課題を示しました。中国経済の行方は、日本を含む世界の市場や企業戦略に直結するため、国際ニュースとしても注目されています。
2025年後半に向けた政策の優先課題
報告では、2025年残りの期間に向けて、政策の「連続性」を保ちつつ、「柔軟性」と「先見性」を高める運営方針が強調されました。キーワードは、安定と成長の両立です。
政府が示した主な狙いは次の通りです。
- 雇用、企業、マーケット、期待の安定(いわゆる四つの安定)の確保
- 物価上昇率(インフレ)を「合理的な水準」に誘導
- 年間成長目標の達成に向けた景気の下支え
- 科学技術イノベーションと産業発展の深い融合
- 改革・開放路線の継続と一層の推進
- 重要分野におけるリスクの総合的な予防・管理
- 地域間のバランスある発展と都市・農村の一体化
- グリーンで低炭素な発展に向けた包括的な排出管理
- 国民生活の改善と公共サービスの充実
- 重点分野の安全保障能力の強化
こうした方針は、外部環境の不確実性が高まるなかでも、国内経済の安定運営を優先しつつ、構造改革やグリーン転換も進める姿勢を示したものです。
「安定の中の前進」 中間報告が示した6つの成果
国家発展改革委員会のZheng Shanjie主任は、国務院を代表して中間時点の経済運営を説明しました。成長、雇用、消費、貿易、住民所得、グリーン発展といった主要指標で、おおむね堅調な進展があったとしています。
特に、次の6分野で顕著な成果があったと報告されました。
- より積極的で効果的なマクロ政策の運用
- 内需(国内需要)の拡大
- 産業の高度化・アップグレード
- 改革・開放の一層の深化
- 地域間の協調発展と都市・農村の一体的な発展
- 民生(暮らし)の保障と改善の強化
Zheng主任は、計画の実施状況について「総じて良好」と評価する一方で、世界経済や地政学をめぐる環境は複雑さと不確実性を増していると指摘しました。そのうえで、中国経済には依然として「堅固な基礎」があると強調し、下半期も安定成長を維持できるとの見方を示しました。
財政政策は「より積極的で持続的」に
財政面については、藍佛安(Lan Fo'an)財政部長が上半期の状況を報告しました。歳入・歳出の運営は全体として安定しており、財政政策は「より積極的で持続的」と位置づけられています。
今後の財政運営で重視されるのは、次の6点です。
- 積極的な財政政策を十分に活用し、景気を下支えすること
- 雇用と対外貿易の安定を全面的に支援すること
- 新たな成長エンジン(新成長動力)の育成を加速すること
- 人々の暮らしの保障と改善を一段と強化すること
- 重要分野におけるリスク防止を強めること
- 財政運営とガバナンス能力を高めること
つまり、財政政策は景気の下支えと構造転換、そしてリスク管理と財政健全性のバランスをどう取るかが焦点になります。雇用や貿易の安定支援が明示された点は、グローバルなサプライチェーンや対外関係を重視する姿勢とも読み取れます。
2026〜2030年を見据えた第15次五カ年計画と立法課題
今回の会合では、2026〜2030年を対象とする第15次五カ年計画の策定に向けた特別調査報告も議題となりました。報告書は、今後の課題を分析するとともに、立法面での優先分野を提言しています。
第15次五カ年計画に向けた基本的な方向性として、次のようなポイントが挙げられました。
- 科学技術イノベーションの強化
- 「新質生産力」と呼ばれる新しい生産力の発展
- 内需拡大を通じた持続的な成長モデルの構築
- 人を中心に据えた成長パターンへの転換
また、各分野の専門委員会からは、多くの立法上の提案が寄せられたとされます。優先的に検討される分野としては、次のようなものが挙がりました。
- 国家安全関連法制
- 経済法制・産業政策関連の法律
- 科学技術分野の制度・枠組み
- 環境保護や気候変動対策に関する法改正
- 都市・農村の一体的発展を支える制度
- 教育や福祉など社会サービス分野の整備
2026年から始まる次期五カ年計画は、中国経済が中長期的にどのような産業構造と社会モデルを目指すのかを示す重要な指針となります。今回の報告は、その立法面の下準備が着実に進んでいることをうかがわせます。
日本の読者にとっての読み解きポイント
今回の中間報告と政策方針からは、次のような点が見えてきます。
- 短期的には、雇用と内需を重視した安定成長路線を維持しつつ、グリーン投資や技術革新への支援を強めていく方向性
- 財政政策は景気下支えだけでなく、新産業育成やリスク管理にも重点を置くため、インフラや戦略分野への選択的投資が続く可能性
- 中長期的には、第15次五カ年計画を通じて、イノベーション、環境、社会保障を一体で設計する「人中心」の発展モデルを打ち出そうとしていること
これらは、日本企業にとってはサプライチェーンの再構築や現地ビジネス戦略を考えるうえでの重要な材料となり得ます。また、国際ニュースとしても、中国経済がどこまで「安定」と「改革」を両立できるかは、2025年残りの期間と次期五カ年計画を通じて注視すべきテーマになりそうです。
Reference(s):
China reports steady economy, unveils H2 measures to sustain growth
cgtn.com








