英国など3カ国がパレスチナ国家を承認 独立と主権はどこまで近づいたか
英国、オーストラリア、カナダがパレスチナ国家を正式に承認し、パレスチナ指導部はこれを「公正で永続的な平和」に向けた重要な一歩だと歓迎しています。この国際ニュースは、パレスチナの独立と主権、そして二国家解決の行方を考える上で大きな意味を持ちます。
英国・オーストラリア・カナダがパレスチナ国家を承認
パレスチナ側の声明によると、今回の動きは、西側諸国の外交方針における長年の慣行を揺るがす、大きな転換点と受け止められています。英国、オーストラリア、カナダという影響力の大きい3カ国がパレスチナ国家を認めたことにより、国際社会におけるパレスチナの位置づけが変化しつつあるとの見方が出ています。
アッバス大統領「公正で永続的な平和への必要な一歩」
パレスチナのマフムード・アッバス大統領は、英国によるパレスチナ国家の承認について、「公正で永続的な平和」を実現するために不可欠なステップだと評価しました。
大統領府は声明で、アッバス氏が「英国による独立したパレスチナ国家の承認を称賛し、これが国際的な正統性に基づく公正で永続的な平和の達成に向けた重要で必要な一歩だと強調した」と伝えています。ここでいう「国際的な正統性」とは、国連決議など国際社会が積み重ねてきた枠組みを指すものとみられます。
シャヒン外相「二国家解決を守る不可逆の一歩」
今回の承認について、パレスチナのヴァルセン・アガベキアン・シャヒン外相も、強い言葉でその意義を語りました。同外相は、今週パレスチナ国家を承認した国々は「二国家解決を守り、パレスチナの独立と主権をより近づける不可逆の一歩を踏み出した」と述べています。
ラマラで記者団に語ったシャヒン外相の主なポイントは次の通りです。
- 「今がその時だ。あすは、私たちが積み重ねるべき歴史的な日になる。これは終わりではない」と語り、今回の承認を出発点として位置づけた。
- この動きは、パレスチナの「主権と独立に近づく一歩」であり、たとえ今すぐ戦争が終わらなくても「前進」であると強調した。
- 国家承認は「象徴的なものでは決してなく、実務的で具体的、かつ不可逆的な一歩」だと述べ、各国が本気で二国家解決を守ろうとするなら、取らざるを得ない決断だと訴えた。
「交渉する意図はない」――入植地をめぐる懸念
一方でシャヒン外相は、イスラエル側には交渉に臨む意思が見られないと指摘しました。その根拠として、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が、今月、イスラエル占領下のヨルダン川西岸で新たな入植地の建設に着工する式典で行った発言を挙げています。
外相によれば、その入植地計画は、ヨルダン川西岸の北部と南部にあるパレスチナのコミュニティーを分断する位置にあり、将来のパレスチナ国家の一体性に深刻な影響を与えかねないものだと受け止められています。こうした動きが続く中での国家承認は、事実上の現状固定ではなく、異なる方向性を示すシグナルだという見方もできます。
経済的圧力へのシフトを呼びかけ
シャヒン外相は、政治的な圧力だけでは不十分だとし、今後はイスラエルに対する圧力を経済面にシフトさせる必要があると主張しました。目的は、「イスラエルに説明責任を負わせ、パレスチナの人々を守る」ことだとしています。
具体策には触れていないものの、貿易や投資、軍事関連の取引など、経済的な関係をてこにした働きかけが念頭にあるとみられます。国家承認という外交的措置に加え、経済的な手段を組み合わせることで、現状を変えていこうとする発想です。
ガザ情勢への強い危機感
シャヒン外相は、ガザ地区の状況についても強い危機感を示しました。イスラエルによるほぼ2年にわたる軍事作戦に言及しながら、次のように訴えています。
「今日、ガザは燃えている。今日、ガザは破壊されている。今日、ガザでは人々が体系的に殺害されている。」
非常に厳しい表現ですが、これは現地の人道状況に対するパレスチナ側の切迫した認識を反映したものだといえます。シャヒン外相は、今回の国家承認が戦闘を「明日すぐ終わらせる」ことにはならないとしつつも、それでも「前進」であり、ここからさらに「積み重ね、広げていく必要がある」と述べました。
二国家解決と「次の一歩」──私たちが見るべきポイント
パレスチナ側は、今回の国家承認を「二国家解決を守るための不可逆の一歩」と位置づけています。二国家解決とは、イスラエルとパレスチナがそれぞれ独立した国家として共存する構想です。
ただし、パレスチナ国家の承認そのものは、ガザの戦闘や占領地の問題、難民や安全保障をめぐる具体的な争点を一気に解決するものではありません。むしろ、シャヒン外相が口にしたように「ここから何を積み重ねるか」が問われる段階に入ったといえます。
今後の論点としては、たとえば次のような点が挙げられます。
- 今回の承認に続き、他の国々がパレスチナ国家をどのように扱うのか。
- 二国家解決の枠組みを前提にした新たな対話や仲介の試みが生まれるのか。
- 経済的な圧力を含む非軍事的な手段が、どこまで人道状況の改善や停戦につながり得るのか。
英国、オーストラリア、カナダによるパレスチナ国家承認は、戦争をすぐに止める「魔法の鍵」ではありません。それでも、パレスチナ側が長年求めてきた「国家として認められること」が、現実に一歩近づいたという意味で、大きな節目であることは確かです。
2025年12月の今、私たちがこのニュースを振り返るとき問われるのは、「承認」という一度きりの出来事をどう積み重ね、ガザを含む地域の人々の安全と尊厳に結びつけていくのかという視点ではないでしょうか。
Reference(s):
Palestine says recognition brings independence, sovereignty closer
cgtn.com








