ガザ市でイスラエル軍の攻勢激化 住宅破壊と民間人犠牲広がる
イスラエル軍がガザ市で地上攻勢を強め、住宅の爆破により少なくとも31人が死亡したとガザの保健当局が明らかにしました。開戦からほぼ2年となる中、民間人の犠牲と避難、国際社会の反発、イスラエル国内の分断が同時に深まっています。
ガザ市で住宅が次々と破壊、少なくとも31人死亡
ガザの保健当局によると、イスラエル軍は現地時間の日曜日、ガザ市内で複数の住宅を爆破し、少なくとも31人のパレスチナ人が死亡しました。多くの住民が家を離れざるを得なくなったとされています。
亡くなった人の中には、妊娠中の女性とその2人の子どもも含まれていました。現地の医療関係者は、女性の夫も重傷を負ったとしています。
女性の義父にあたるMosallam Al-Hadadさんは、「母親も男の子も女の子も、お腹の赤ちゃんも、みんな失われてしまった」と語り、その喪失の大きさを訴えました。
イスラエル軍「ガザ市はハマスの最後の拠点」
イスラエルは、ガザ市をハマスの「最後の拠点」と位置づけており、今月から同市で地上攻勢を本格化させています。軍は、ハマスが住宅を拠点として利用していると主張し、住宅街のビルを次々と破壊してきました。
イスラエル軍は、今回の攻撃で「多数の戦闘員を殺害した」とする声明を出しましたが、民間人の死者については直接のコメントをしていません。前日の土曜日には、過去数日間でガザ市周辺で30人の戦闘員を殺害し、武器を発見したと発表していました。
避難する住民の数をめぐりイスラエルとハマスが対立
ガザ市からどれだけの人が避難したのかについても、イスラエル側とハマス側の主張は食い違っています。
- イスラエル軍は、9月の初め以降、45万人以上がガザ市を離れたと推計しています。
- これに対しハマスは、避難したのは30万人弱にとどまり、依然として約90万人がガザ市に残っていると主張しています。
激しい戦闘が続く中で正確な数字を把握することは難しく、現地の人道状況の全体像は見えにくくなっています。ただ、どちらの数字に近いとしても、多数の住民が安全を求めて移動を強いられている現実が浮かび上がります。
ガザから南部イスラエルへのロケット攻撃
一方、南部イスラエルでは、ガザ側からロケット弾2発が発射され、空襲警報が鳴りました。イスラエル軍によると、1発は迎撃され、もう1発は空き地に落下し、死傷者は確認されていません。
ガザ市での激しい攻勢が続く中でも、ガザ側からの攻撃能力が完全には失われていないことを示す動きだと言えます。
国際社会の反発と「パレスチナ国家承認」の動き
ガザ市での攻勢は、国際社会からの批判も招いています。こうした中で、一部の西側諸国は、今週開かれる国連総会の年次首脳会合を前に、パレスチナを国家として正式に承認する方針を表明しました。
国家承認の動きは、ガザ情勢に対する国際社会のいら立ちや、紛争の政治的解決を後押ししたいという意図の表れと受け止められます。一方で、承認そのものが即座に戦闘を止める力を持つわけではなく、現場の暴力と外交の動きのギャップも浮き彫りになっています。
人質家族の不安とイスラエル国内の抗議
ガザで続く攻勢は、ハマスに拘束されているイスラエル人の人質家族にも大きな不安を与えています。現在も48人がガザに拘束されており、そのうち20人が生存しているとみられています。
イスラエル国内では、戦闘継続よりも人質解放を優先すべきだと訴える声が強まっています。土曜の夜には、エルサレムのベンヤミン・ネタニヤフ首相の公邸前に数千人が集まり、戦争を終わらせ、人質を帰国させるための合意を結ぶよう政府に求めました。
長期化する戦闘と人質問題は、イスラエル社会を二分させつつあります。安全保障上の脅威への対応を優先するのか、人質を最優先とする停戦・取引に踏み切るのか、難しい選択が突きつけられています。
問われる「民間人保護」と政治的出口
今回のガザ市での攻勢は、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 人口が密集した都市での軍事作戦と、民間人の保護はどこまで両立できるのか。
- 軍事的圧力だけで紛争を終わらせることは可能なのか、それとも政治的な妥協が不可欠なのか。
- 人質の安全と住民の安全、どちらを優先するべきなのか、あるいは両立する道はあるのか。
開戦からほぼ2年が経つ今も、ガザとイスラエルをめぐる暴力の連鎖は止まっていません。国際ニュースとして状況を追うだけでなく、「もし自分が現地の当事者だったら」と想像しながら、一人ひとりがこの問題を自分ごととして考え続けることが求められているのかもしれません。
Reference(s):
Israeli strikes kill 31 people in Gaza City, as tanks advance
cgtn.com








