ガザ市の高層ビルをイスラエル軍が空爆 MSFは医療活動停止を発表
2023年10月に始まったガザでの紛争は、2025年12月の今も市街地の戦闘と人道危機が続いています。最新の報道によると、イスラエル軍がガザ市中心部の高層ビルを空爆した一方で、国際医療支援団体はガザ市での救命医療活動を停止せざるを得ない状況に追い込まれました。
ガザ市の高層ビルを空爆、イスラエル軍の説明
イスラエル軍は、ガザ市にある高層ビルを金曜日に攻撃したと発表しました。同軍によると、このビルにはハマスの監視拠点が設けられ、周辺で活動するイスラエル軍部隊への攻撃を調整・実行するために利用されていたとしています。
イスラエル軍は声明で、住民に事前通告を行ったうえで、精密誘導兵器や空からの監視、追加の情報収集などを組み合わせ、民間人への被害を最小限に抑えるよう努めたと説明しました。市街地の高層ビルを狙った攻撃は、軍事的な狙いと民間人保護の両立が常に問われる難しい作戦です。
医療支援団体MSF、ガザ市で救命医療を停止
一方、国際的な非政府組織である国境なき医師団(MSF)は、ガザ市での救命医療活動を停止すると発表しました。理由として挙げたのは、急速に悪化する治安状況です。同団体は、イスラエル軍による空爆が続いていることに加え、戦車が自らの医療施設から1キロ未満の距離まで迫っていると指摘しました。
MSFは声明で、ガザ市でのニーズは依然として非常に大きいにもかかわらず、活動をやめざるを得なかったことへの強い危機感を示しました。特に、新生児集中治療室でケアを受ける乳児や、重傷者、命に関わる病気を抱える患者など、移動が難しい人々が深刻な危険にさらされていると訴えています。
医療支援団体が治療を中断せざるを得ない状況は、すでに逼迫している医療体制にさらなる負荷を与えます。病院の機能が弱まれば、空爆や地上戦で新たに負傷した人だけでなく、慢性疾患や出産など、日常的な医療を必要とする人々の命も危険にさらされます。
24時間で47人の遺体 ガザ全体の死者は6万5千人超に
ガザ地域の保健当局によると、直近24時間で、ガザの病院には47人の遺体と142人の負傷者が運び込まれたといいます。これにより、2023年10月に紛争が始まって以降のガザでの死者数は6万5,549人、負傷者は16万7,518人に達したと発表しました。
これらの数字は、長期間にわたる戦闘がもたらした被害の規模を示しています。市街地での軍事作戦が続くなか、民間人の安全確保と人道支援の維持がどこまで可能なのかが、引き続き大きな焦点となっています。
国連人道機関「逃げられない人が数十万人」
国連の人道問題調整事務所(OCHA)は木曜日の報告で、ガザ市での軍事作戦が続く中、数十万人規模の住民が市外へ避難している一方で、なお数十万人のパレスチナ人がガザ市内に取り残されていると指摘しました。支援活動は徐々に機能を失いつつあるとし、現地の人道状況が悪化しているとの認識を示しています。
またOCHAによれば、木曜日には国連職員やパートナー団体がガザ北部に出入りするための移動を調整しようとしましたが、イスラエル側からの許可はほぼ得られなかったといいます。申請された複数のミッションはすべて拒否され、ただ一つ認められた計画も、最終的には主催者側が中止せざるを得なかったと報告されています。
国連機関の活動が制約されることは、食料、医薬品、燃料などの物資供給や、負傷者の避難といった人道支援の継続に直接影響します。避難できる人と、さまざまな事情で移動できない人との間で、安全への格差も広がりかねません。
なぜこのニュースが重要か 市街戦と人道支援のはざまで
今回の報道は、市街地での軍事作戦、医療活動の停止、人道支援の制約という三つの事象が同時進行していることを示しています。いずれも、戦闘が続くなかで民間人をどう守るのかという、国際社会が長年抱えてきた難題に直結するテーマです。
とくに、医療機関や医療従事者の安全は国際人道法の重要な柱であり、戦闘地域であっても最大限尊重されるべきだとされています。しかし現実には、前線に近い病院ほどリスクが高まり、支援団体が撤退を余儀なくされるケースも後を絶ちません。
ガザの状況は、日本から遠く離れた地域の出来事でありながら、戦争と人道支援、国際法、そしてメディア情報の受け止め方について、私たち一人ひとりに問いを投げかけています。今後も、現地からの情報と国際機関の発表を丁寧に追いながら、民間人の安全と人道支援の確保という視点から状況を見ていくことが求められます。
Reference(s):
cgtn.com








