トランプ大統領、米都市を軍の訓練場に 米軍トップ集会で提案
トランプ大統領が今週、バージニア州クアンティコの基地で米軍トップを前に演説し、米国内の都市を軍の訓練場として活用する構想を打ち出しました。また、ヘグセット国防長官は外見や規律の強化などを盛り込んだ新たな指針を提示し、米軍の文化や役割をめぐる議論が一段と高まりそうです。
米軍トップを集めた異例の集会
演説が行われたのは、バージニア州クアンティコに集められた米軍の提督や将軍らを前にした場でした。こうした最高幹部が短い準備期間で一堂に会するのは異例とされ、今回の集会にホワイトハウスと国防総省が強いメッセージを込めていることがうかがえます。
トランプ大統領は、米軍の力を国内の治安や安全保障にも積極的に活用すべきだと強調し、国内からの侵略という意味の英語表現 invasion from within を用いて、米社会が直面している脅威に言及しました。
- 米国内の都市を軍の訓練場として活用する構想
- 国内からの侵略への対処を強調
- 軍の規律や文化を立て直すとする国防総省の新指針
- 米軍の役割と市民生活の境界線をめぐる議論の可能性
米都市を訓練場にする構想の意味
大統領は演説で、米軍を米国内の都市に展開することを訓練の一環として位置づける考えを示しました。いわば、海外派遣ではなく自国の街を訓練の舞台とする構想です。
この発想は、テロ対策や災害対応、サイバー攻撃など、国境を越えて入り込む脅威が増えるなかで、軍が国内でも即応できる体制を整える必要があるという問題意識から出てきたものと見ることもできます。一方で、市民が暮らす場所を軍事訓練の場と位置づける発想には、慎重な議論が求められます。
国内治安と軍の役割の境界線
軍は本来、対外的な安全保障の担い手とされてきました。国内の治安維持は、主に警察や州兵などが担う構図です。米国内の都市を訓練場とする構想は、この境界線をどこまで曖昧にしてよいのかという根本的な問いを投げかけます。
市民の暮らしの場に軍の存在が常態化すれば、抑止力や安心感につながると捉える人もいれば、過度な力の誇示と受け止める人も出てくる可能性があります。今回の発言は、そうしたバランスをどう取るのかという議論の起点になりそうです。
ヘグセット国防長官の十の新指針
トランプ大統領とともに演壇に立ったヘグセット国防長官は、国防総省の人事や組織文化を立て直すことを目的とした十の新指針を発表しました。焦点となったのは、兵士の外見や体力、そして不祥事への対応をめぐる姿勢です。
外見と体力をめぐるメッセージ
ヘグセット長官は演説の中で、無精ひげや突き出たお腹など、だらしない身なりに見える要素を厳しく批判し、専門職としてふさわしい外見を徹底すると強調しました。長官は、だらしない見た目の時代は終わったと述べ、会場の幹部たちに強い言葉で呼びかけましたが、聴衆は静かに耳を傾けていたとされています。
こうしたメッセージは、軍の規律や士気を高める狙いがある一方で、多様な価値観や個性をどこまで認めるのかという課題とも向き合う必要があります。
差別・不祥事対応の見直し
ヘグセット長官はまた、軍内部での差別問題への対応や、不祥事に関する調査の進め方を大きく見直す方針も示しました。現在の仕組みでは、幹部が常に卵の殻の上を歩いているような状態にあり、判断が萎縮していると指摘しました。
さらに長官は、自身の言葉に強い反発を覚える幹部がいるなら、名誉のために職を辞すべきだとまで言い切りました。これは、軍の文化を抜本的に変えようとする強い意思の表れであり、今後の人事や組織運営に少なからぬ影響を与える可能性があります。
これから問われる三つの論点
今回の演説と新指針は、米軍のあり方をめぐる幅広い議論につながる可能性があります。今後、少なくとも次の三つの点が注目されそうです。
- 市民生活と軍事訓練の線引きをどこに置くのか
- 規律の強化と、多様性や公正な扱いをどう両立させるのか
- 大統領や国防長官の発信が、軍の政治的中立性にどのような影響を与えるのか
米国内の都市を訓練場とする構想や、外見と規律を重視する新たな方針は、一見すると軍内部の問題に見えますが、市民の権利や日常生活にも直接かかわるテーマです。米軍という巨大な組織が、これからどのように変化していくのか。そのプロセスを丁寧に追いかけることが、私たちにとっても世界の安全保障を考える手がかりになっていきます。
Reference(s):
Trump calls for using U.S. cities as a 'training ground' for military
cgtn.com








