米連邦政府が約7年ぶりシャットダウン 医療費対立で予算案否決
米国で今週、約7年ぶりとなる連邦政府のシャットダウン(政府機関の一部閉鎖)が始まりました。背景には、医療費支出を巡る与野党の深い対立があり、今後の世界経済や市場への影響も注目されています。
米上院、つなぎ予算案を再び否決
現地時間水曜日、米上院は連邦政府の閉鎖を一時的に終わらせるための短期のつなぎ予算案の採決を行いましたが、民主党案・共和党案のいずれも必要な票を確保できず、否決されました。
上院はその前日の火曜日にも同じ2つの法案を採決しており、2日連続で合意に至らなかったことになります。この結果、連邦政府は約7年ぶりにシャットダウンに入りました。
最大の焦点は「医療費」 移民政策とも直結
今回の予算交渉で最大の争点となっているのは、医療保険や医療サービスへの公的支出です。民主党は、低所得者や弱い立場にある人々を含め、より手厚い医療保障を求めています。
これに対し共和党は、民主党が「在留資格のない人々に実質的に無償の医療を提供しようとしている」と強く批判しています。JD・ヴァンス副大統領はテレビインタビューで、民主党がそうした人々への医療給付を復活させるために政府を閉鎖させていると非難しました。
一方で、シューマー上院少数党院内総務(民主党)はSNS「X(旧ツイッター)」上で、こうした批判は事実ではないと反論しています。シューマー氏は、連邦政府の資金が在留資格のない人々の健康保険に使われていることは一切ないと主張し、共和党側が有権者を誤解させていると訴えました。
シューマー氏はさらに、共和党こそが全国の人々の医療を守る責任を放棄して政府を閉鎖に追い込んだと述べ、責任の所在を巡る非難の応酬が激しさを増しています。
2019年以来のシャットダウン 有権者の日常にも影響
シャットダウンは、米ワシントンで政治が行き詰まった際に繰り返し起きてきましたが、今回は2019年に起きた記録的な35日間の閉鎖以来となります。当時もトランプ氏の政権下で発生していました。
シャットダウンになると、国立公園の閉鎖や各種許認可申請の停止など、一般の人々が利用する行政サービスの一部が止まります。そのため、世論の反発も強く、与野党ともに長期化は避けたい思惑があります。
トランプ政権の強硬路線と「人員削減」への懸念
今回のシャットダウンは、トランプ大統領が政府機関の大幅なスリム化など、強硬な政策の実現を急ぐ中で起きています。ホワイトハウスは、一時帰休となっている公務員の扱いについて、一部を本格的な解雇に踏み切る可能性も示唆しています。
ヴァンス副大統領は水曜日の記者会見で、この状況があと数日、あるいは数週間も続けば、人員削減に踏み切らざるを得なくなると述べ、長期化すれば連邦職員の雇用に直接的な打撃が及ぶと警告しました。
カロライン・レヴィット大統領報道官も同じ会見で、近いうちにレイオフ(解雇)が始まる見通しだと述べており、危機感を隠していません。
日本から見るポイント 「政治リスク」をどう捉えるか
今回の米連邦政府シャットダウンは、単なる予算テクニカルな問題ではなく、医療制度や移民政策を巡る価値観の対立、そして行政の役割をどこまで縮小するかという大きな政治テーマが背景にあります。
日本の投資家や企業にとっても、次のような点が注視ポイントとなりそうです。
- 米国経済や金融市場の不安定化リスク
- 行政サービス停滞による実務上の遅延(各種許認可や手続きなど)
- 医療・移民政策の変化が長期的な事業環境に与える影響
一方で、シャットダウンは世論の反発を招きやすく、政治的な責任の押し付け合いも激しくなります。今回の対立がどのような妥協点で決着するのか、そのプロセスは、分断が深まる米国社会の行方を占ううえでも重要な材料となります。
交渉の行方次第では、数日で収束する可能性もあれば、2019年のような長期化に至る可能性も否定できません。国際ニュースとしての米国政治の動きが、私たちの日常や経済とどうつながっているのか、距離を置きつつも注視していきたい局面です。
Reference(s):
U.S. Senate fails to approve spending bill to end government shutdown
cgtn.com








