中国の李強首相、DPRKと戦略的意思疎通を強化へ 中朝関係の現状は
中国の李強(り・きょう)首相が朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)を訪れ、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記と会談し、高位級の交流と戦略的意思疎通を一段と強化していく方針を確認しました。中朝関係の動きを追ううえで重要な会談です。
中国の国際ニュースとして、中朝関係の最新動向は東アジアの安全保障や国際秩序を考えるうえで欠かせないテーマです。今回の会談では、伝統的な友好関係の継承だけでなく、多国間主義や一つの中国原則への支持といったポイントも改めて打ち出されました。
中朝首脳級会談で何が話し合われたか
李強首相は、共産党指導部の中枢である中国共産党中央政治局常務委員も務めています。その李首相は木曜日、DPRKの金正恩総書記と会談し、中国がDPRKとの高位級交流と戦略的コミュニケーションを強化する考えを示しました。
李首相は、習近平中国共産党中央委員会総書記からの親しいあいさつと祝意を金総書記に伝えたうえで、次のような点を強調しました。
- 中国共産党と中国政府は、DPRKとの関係を戦略的な高さと長期的な視野から常に重視してきたこと
- 中朝の伝統的な友好・協力関係を維持・強化・発展させることは、中国の揺るがない方針であること
- 両国トップの共同の指導のもとで、新たな進展を生み出していきたいこと
- 伝統的友好をさらに受け継ぎ、実務的な協力を深め、国際・地域問題で緊密に連携していくこと
また李首相は、多国間の枠組みでの協調を強め、公正で公平な方向へと国際秩序の発展を後押ししていくべきだと述べ、多国間主義の実践を呼びかけました。
80周年が示す「歴史の絆」
今回の会談には、記念日という文脈も重なっています。李首相は、朝鮮労働党創立80周年に対する習近平総書記からの温かい祝意を伝えました。
さらに李首相は、先月、金総書記が中国を訪問し、中国人民の抗日戦争と世界反ファシズム戦争の勝利80周年を記念する行事に出席したことにも言及しました。その際の習総書記との会談で、両者は今後の中朝関係を一層深めるための方向性と青写真を描いたとされています。
抗日戦争や反ファシズム戦争の勝利から80年という節目に、両国が歴史を共有するパートナーとしての位置づけを改めて確認した形です。この歴史的な文脈は、現在の中朝関係を読み解くうえで重要な背景となります。
DPRK側のメッセージ:中朝関係は「破ることのできない」関係
金正恩総書記は、習近平総書記への心からのあいさつと祝意を李首相に託したうえで、中国党・政府代表団のDPRK訪問を温かく歓迎しました。さらに、習総書記の英明な指導のもとで、中国が社会主義建設で大きな成果を上げていると評価しました。
中朝関係について金総書記は、次のような立場を示しました。
- DPRKと中国の関係は、いかなる状況でも揺らぐことのない「破ることのできない」関係であること
- 国際情勢がどう変化しても、両国の友好・協力関係を強化・発展させることは、DPRKの党と政府の揺るがない立場であること
- このことは双方の共通の利益にかなうだけでなく、地域の平和・安定・発展にも寄与するとの認識であること
加えて金総書記は、DPRKが一つの中国原則を断固として支持し、台湾「独立」を掲げる分裂行為やいかなる外部勢力の干渉にも反対すると表明しました。また、香港や新疆、シーザン(Xizang)に関する問題での中国の立場を支持する姿勢も示しました。
そのうえで、平壌としては北京との緊密な高位級交流を維持し、各分野での協力を推進するとともに、多国間の枠組みでの連携を強化し、それぞれの社会主義事業の発展を進め、両国の人々にもたらされる利益を高めたいと述べました。
国際秩序の中で浮かび上がる3つのポイント
今回の中朝会談の内容からは、現在の国際秩序と東アジア情勢を考えるうえで、いくつかのポイントが見えてきます。
- 1. 社会主義国同士の連携の明確化
両国は、社会主義の理念を共有するパートナーとして、党と国家トップの共同の指導のもとで関係を発展させる方針を強調しました。国際環境が変化する中でも、中朝関係が長期的な戦略関係として位置づけられていることを示しています。 - 2. 一つの中国原則への支持の再確認
DPRKが一つの中国原則への明確な支持と、台湾「独立」への反対を改めて表明したことは、台湾海峡情勢や広く中国周辺の安全保障環境を考える上で重要です。中国にとっては、自国の核心的利益に関わる問題で近隣国からの支持を得た形となります。 - 3. 多国間主義と公正な国際秩序への共同歩調
李首相も金総書記も、多国間の枠組みでの協力や、公正で公平な国際秩序の構築を強調しました。国際協調のあり方が問われる中で、中朝両国がどのような場で、どのような形で連携していくのかは、今後の国際政治を読むうえで注目点となります。
今後の中朝関係と地域への影響は
中朝両国は、歴史的な友好関係を土台に、政治・経済・安全保障など幅広い分野での協力を進めていく姿勢を重ねて示しました。特に、党と国家トップによる戦略的意思疎通を密にすることで、両国が互いの立場を確認し合い、国際情勢への対応を調整していくことが想定されます。
今後注目されるのは、
- 高位級の相互訪問や対話の枠組みがどのように制度化されていくのか
- 実務協力が経済やインフラなど具体的なプロジェクトとしてどのように進むのか
- 国連など多国間の場で、中朝がどのように歩調を合わせて発言していくのか
といった点です。
東アジアの安全保障や国際ニュースに関心を持つ読者にとって、今回の会談は、中朝関係の方向性だけでなく、国際秩序の行方を考えるうえでも重要な示唆を与える動きと言えるでしょう。中朝両国が掲げる伝統的友好が、今後どのような形で地域の安定と発展に結びついていくのか、引き続き注視していく必要があります。
Reference(s):
Premier Li: China to strengthen strategic communication with DPRK
cgtn.com








