米各地で「No Kings」デモ トランプ大統領の権力行使に抗議
アメリカ各地で、トランプ大統領の権威主義的な傾向や汚職への懸念を訴える「No Kings(王はいらない)」デモが現地時間の土曜日に行われました。若者から高齢者まで幅広い世代が参加し、民主主義と法の支配を守るよう呼びかけました。
全米2600カ所で集会、「権力の集中」に抗議
「No Kings」デモは、アメリカの主要都市だけでなく、小さな町や郊外を含む全米で展開されました。主催者は、2600以上の集会に最終的に数百万人規模が参加するとの見通しを示していました。
参加者たちは、トランプ大統領が権力を行使するあり方に強い危機感を示しました。彼らは、大統領が「王」のように振る舞い、民主的な手続きや制度を軽視していると受け止めているためです。
ニューヨークなど大都市では平和的な行進
デモは概ね平和的に行われました。ニューヨーク市警によると、5つの行政区全体で10万人以上が抗議デモに参加しましたが、デモに関連した逮捕者はゼロだったとしています。ボストン、シカゴ、アトランタなど他の大都市でも、多くの市民が街頭に集まりました。
首都ワシントン、「民主主義を守れ」と訴え
首都ワシントンでは、参加者が連邦議会議事堂に向かって行進し、スローガンを叫びながらプラカードやアメリカ国旗、風船を掲げました。
自由の女神を模したかぶり物を身につけて参加したアリストン・エリオットさんは、「私たちは民主主義と正しいことのために声を上げたいのです。権力の行き過ぎに反対します」と語りました。
退役軍人や保守層も参加、「守ってきた価値が危機に」
デモには、現役や元軍人の姿も目立ちました。テキサス州ヒューストンの市庁舎前には、当局の推計で約5000人が集まり、その中にはイラクやアフガニスタン、シリアで従軍したという元海兵隊員のダニエル・アボイテ・ガメスさん(30)の姿もありました。
ガメスさんは、「この国で今、何が起きているのか理解できない」と、混乱と戸惑いを口にしました。
オレゴン州ポートランドの川沿いのエリアには数千人規模の人々が集まりました。その中の一人である70歳の退役軍人ケビン・ブライスさんは、「自分が軍隊で守ってきたと思っていたあらゆる価値が、今、危機にさらされているように感じる」と話し、「私は生涯共和党支持者だが、今の党の進む方向を支持できない」と述べました。
生活への不安、物価高と貿易政策への怒り
コロラド州デンバーの州議会議事堂前にも数千人が集まり、自由の女神に扮したケリー・キンセラさん(38)が「No Kings」と書かれたプラカードを掲げていました。
キンセラさんは、「職場ではみんなストレスを抱えながら働いていますが、その原因は今の状況にあります」と話しました。さらに、最近のインフレ(物価上昇)について、トランプ政権の関税政策が要因だと考えており、それがデモ参加の大きな動機になったといいます。
「No Kings」デモが映すアメリカ社会の不安
今回の抗議行動の背景には、主にリベラル寄りのアメリカ人の間で高まる政治的不安があります。参加者たちは、次のような動きを「権威主義的な傾向」として問題視しています。
- トランプ大統領の「政敵」とみなされる人物に対する刑事訴追
- 移民政策の一層の強硬化と、治安対策の名目での「軍事化」
- 犯罪対策や移民当局の保護を名目とした州兵のアメリカ国内都市への派遣
デモ参加者は、こうした動きが権力の監視機能を弱め、民主主義の根幹であるチェック・アンド・バランス(相互牽制)を損なうのではないかと懸念しています。
市民は何を求めているのか
一連の「No Kings」デモは、特定の政策だけでなく、「権力が集中しすぎていないか」「制度やルールがきちんと守られているか」といった根本的な問いを投げかけています。
自由の女神の衣装に身を包んだ人々や、保守的な立場だったという退役軍人たちが同じ列に並んだことは、アメリカ社会の分断が深まりつつある一方で、「民主主義を守りたい」という思いが立場を超えて共有されていることも示していると言えます。
今回のデモが具体的な政策や政治の動きにどのような影響を与えるかは、まだ見通せません。ただ、2025年のアメリカ政治を考えるうえで、市民がどのようなかたちで声を上げ、権力のあり方を問い続けるのかが、今後も重要な焦点となりそうです。
Reference(s):
Protesters out in force for 'No Kings' rallies across the U.S.
cgtn.com








