中国第15次五カ年計画へ 習近平氏が非共産党人 士から意見聴取
今年8月27日、中国共産党中央委員会総書記の習近平氏が主宰するシンポジウムが開かれ、第15次五カ年計画(2026~2030年)の策定に向けて、非共産党の政治勢力や業界団体、無党派の人士から幅広く意見が聴取されました。中国の今後5年間の経済・社会発展の方向性を占う動きとして、注目されています。
非共産党人 士も参加した「意見聴取シンポジウム」とは
習近平氏は今年8月27日、中国共産党中央委員会の第15次五カ年計画に関する「勧告」作成に向け、次のような人々を招いて意見を聞きました。
- 中国共産党以外の8つの政党の中央委員会の主席
- 中華全国工商業連合会(All-China Federation of Industry and Commerce/ACFIC)の主席
- 無党派の人士の代表
これらの出席者は、それぞれの立場から見た現状分析や政策に対する提案を述べました。習近平氏は、寄せられた意見や提案を、第15次五カ年計画に関する中国共産党中央委員会の勧告案に反映させていく考えを示しました。
会合には、中国共産党中央政治局常務委員である Li Qiang 氏、Wang Huning 氏、Cai Qi 氏、Ding Xuexiang 氏も出席しました。
2026~2030年は「社会主義現代化の基本実現」へ向かう重要期間
今回のシンポジウムのテーマである第15次五カ年計画は、2026~2030年の5年間を対象とする経済・社会発展の中期計画です。習近平氏は、この期間の社会・経済発展の計画は、「社会主義現代化の基本的な実現」という目標にしっかりと結びつける必要があると強調しました。
内外情勢を踏まえた戦略的な視野
習近平氏は、計画の策定にあたっては、国内外の情勢を深く理解することが不可欠だと指摘しました。そのうえで、次のような点を挙げています。
- 科学技術分野での自立と自強(より高い自立性と強靭さ)の実現
- 「共同富裕」(豊かさを社会全体で共有すること)の着実な前進
- 中国共産党と各民族の中国人民を動員し、強大な国づくりと中華民族の振興に向けて結束すること
また、第15次五カ年計画の期間は、中国が「社会主義現代化の基本実現」に向け、基盤固めを行いながら各分野で前進するうえで重要な時期だと位置づけられました。
「高品質な発展」とボトルネックの解消
習近平氏は、とくに「高品質な発展」を妨げている要因に焦点を当てる必要性を強調しました。そのために、次のような課題に取り組むべきだとしています。
- 強みとなっている分野をさらに強化し、優位性を拡大すること
- 発展を制約しているボトルネックを打破すること
- 弱い分野を補強し、全体としてのバランスを高めること
さらに、外部環境がどのように変化しても、「自国のことをしっかりと行う」ことに力を集中させるべきだと述べ、外的な不確実性に左右されずに内側から持続的な成長力を高める姿勢を打ち出しました。
科学技術の自立・自強と「新質生産力」の育成
シンポジウムでは、科学技術政策も重要テーマとなりました。習近平氏は、科学技術の分野でより大きな自立と自強を達成することは、「高品質な発展」を支える戦略的な土台であると位置づけました。
そのうえで次のような方向性を示しています。
- 各地域の実情に応じて、「新質生産力」(新しいタイプの生産力)の発展を促すこと
- 現代的な産業体系の構築を加速すること
ここで言う「新質生産力」は、イノベーションを軸とした新しい産業やビジネスモデル、高度な技術に基づく生産の在り方などを含む広い概念として示されています。習近平氏の発言は、科学技術を成長エンジンと位置づけ、産業構造の高度化を急ぐ方針を示すものといえます。
暮らしへのフォーカス:雇用から子育てまで
習近平氏は、「人民に利益をもたらすこと」を政策の根本的な価値志向と位置づけ、発展を通じて人々の生活を保障・改善し続けるべきだと述べました。その一環として、次の分野で、より具体的で利用しやすい措置を講じる必要があるとしています。
- 雇用(仕事の確保と質の向上)
- 教育(教育機会へのアクセスと質の向上)
- 社会保障(年金や各種給付などの制度)
- 住宅(住まいの安定)
- 医療(医療サービスへのアクセス)
- 高齢者ケア(介護や見守りなど)
- 子どものケア・子育て支援
五カ年計画は経済成長だけでなく、こうした生活分野の政策パッケージを通じて、人々の安心感や満足度を高めることも重視していることがうかがえます。
多様な意見をどう生かすか
今回のシンポジウムの特徴は、中国共産党だけでなく、非共産党の政党や業界団体、無党派人士からも意見を集めている点にあります。習近平氏は、寄せられた提案を計画の勧告案の作成に反映させる姿勢を示しました。
中国の政策形成では、こうした意見聴取の場を通じて、多様な立場からの視点を取り入れようとする動きが続いています。第15次五カ年計画をめぐる議論も、その一環として位置づけられます。
newstomo的視点:日本の読者が押さえておきたいポイント
日本やアジアの読者にとって、今回の動きから見えてくるポイントを整理すると、次の3つに集約できます。
- 中国経済の方向性:2026~2030年の五カ年計画は、中国の産業構造や投資の重点、消費市場の姿を左右する中期の指針になります。
- 科学技術・産業政策への集中:科学技術の自立・自強と「新質生産力」の育成は、今後も中国の重要なキーワードであり、関連分野での競争や協力の構図にも影響し得ます。
- 生活重視のメッセージ:雇用、教育、医療、住宅、高齢者ケア、子育てなど、生活に直結する分野を重視する姿勢は、中国国内の需要構造や社会政策の方向性を考えるうえで重要です。
今後、今回の意見聴取を踏まえて第15次五カ年計画に関する勧告案が策定され、より具体的な目標や政策が示されていくとみられます。その内容は、中国の経済・社会のあり方だけでなく、アジアや世界の動向にも少なからぬ影響を与える可能性があります。引き続き、計画の議論の進展を追っていくことが重要になりそうです。
Reference(s):
CPC leadership seeks advices from non-CPC personages on Five-Year Plan
cgtn.com








