中国とASEANがFTA3.0に署名 デジタル・グリーンで連携強化
中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)は、クアラルンプールで開かれる第28回中国・ASEAN首脳会議に先立ち、自由貿易地域(FTA)3.0のアップグレード議定書に署名しました。デジタル経済やグリーン経済など新しい分野を取り込む今回の合意は、地域と世界の経済成長に新たな弾みを与える動きとして位置づけられています。
何が合意されたのか
中国商務省によると、今回のFTA3.0アップグレードは、地域および世界経済の成長に対する信頼と原動力を高めることを目的としています。ルールに基づく国際経済・貿易体制が厳しい挑戦に直面するなかで、中国とASEANが多国間主義と自由貿易への揺るぎない意思を示したものだと説明しています。
また、今回のアップグレードにより、中国・ASEAN自由貿易地域での協力は、従来の貿易・投資の自由化や円滑化を超え、デジタル経済やグリーン経済、標準、産業・サプライチェーンなどの新たな分野に広がるとされています。協力の枠組みを「モノの貿易」から、より広い経済連携へと押し広げる内容です。
2002年から続くFTAの進化
今回署名されたFTA3.0は、2002年に始まった中国・ASEAN自由貿易地域の取り組みの最新段階です。これまでのおおまかな流れは次のとおりです。
- 2002年:中国・ASEAN自由貿易地域の構築を開始
- 2010年:FTA1.0が全面実施
- 2015年:FTA2.0のアップグレード議定書に署名
- 2019年:FTA2.0が全面発効
- 2022年11月:FTA3.0アップグレード交渉を開始
- 2025年5月:FTA3.0交渉が妥結
- 今回:クアラルンプールでの第28回中国・ASEAN首脳会議に先立ち、FTA3.0アップグレード議定書に署名
約20年の間に、協定は1.0から2.0、そして3.0へと段階的に進化し、対象とする分野や深度を広げてきたことが分かります。
広がる9分野の協力 デジタルとグリーンが柱に
中国商務省は、FTA3.0アップグレードが、従来の分野だけでなく新たな成長分野も含め、9つの主要分野をカバーするとしています。その中核となる方向性として、特に次のような領域が挙げられています。
- 税関手続きや貿易円滑化
- 標準(規格)に関する協力
- 経済・技術協力
- デジタル経済
- グリーン経済(環境に配慮した経済活動)
- 産業・サプライチェーンの相互接続
- 競争政策と消費者保護
- 中小・零細企業の支援
従来型のモノの貿易だけでなく、データやサービス、環境対応、サプライチェーン管理まで対象を広げることで、中国とASEANは、より包括的な次世代型の自由貿易地域の構築を目指しているといえます。商務省は、新議定書が新興分野での協力を深め、開放水準を包括的に引き上げ、包摂的な発展を促すとしています。
数字でみる中国・ASEANの結びつき
深まる経済関係は、貿易統計にもはっきり表れています。
- 中国は、ASEANにとって16年連続で最大の貿易相手
- ASEANも、中国にとって過去5年間連続で最大の貿易相手
- 2024年の双方向の貿易額は9823億ドルに達し、2002年から約17倍に拡大
すでに世界有数の規模となっている中国・ASEAN間の貿易に、FTA3.0がどのような追加効果をもたらすのかが、今後の注目点になります。特に、デジタル経済やグリーン経済といった新領域でのルールづくりが進めば、企業のビジネスモデルやサプライチェーンの組み方にも影響が及ぶ可能性があります。
今後のステップ 発効までのプロセス
議定書は署名されたものの、実際に効力を持つまでには、中国とASEAN加盟国がそれぞれ国内での承認手続きを完了させる必要があります。中国商務省は、双方が各自のプロセスを進め、できるだけ早期の発効を目指すとしています。
デジタル経済やグリーン経済、サプライチェーンの相互接続など、新しいルールづくりが動き出すなかで、中国とASEANの自由貿易地域がどこまで3.0仕様に生まれ変わるのか。今後数年の運用の積み重ねが、この地域だけでなく、グローバルな貿易秩序にも静かに影響を与えていく可能性があります。
Reference(s):
cgtn.com








