習近平氏と高市早苗首相が初会談 APEC慶州で日中関係の安定化を確認 video poster
韓国・慶州で開かれている第32回APEC首脳会議の場で、中国の習近平国家主席と日本の高市早苗首相が就任後初めて正式に会談しました。日中関係を「新時代」にふさわしく安定させられるのか、両首脳の発言内容を整理します。
韓国・慶州で習主席と高市首相が初会談
先日、韓国の慶州市で開かれている第32回APEC首脳会議(アジア太平洋経済協力会議)の会場で、中国の習近平国家主席と日本の高市早苗首相が会談しました。今回の会談は、高市首相の就任後初の本格的な日中首脳会談となります。
習主席は、中国は日本と協力して「新時代の要請に合致する建設的で安定した二国間関係」を築く用意があると強調しました。中国と日本は地理的にも近い隣国であり、長期的に健全で安定した発展を図ることは、両国の人々だけでなく国際社会全体の期待にかなうと述べました。
これに対し高市首相は、中国は日本にとって重要な隣国であり、地域と世界の平和と繁栄に大きな責任を共有していると指摘。戦略的互恵関係を着実に前進させ、建設的で安定した日中関係を築きたいとの考えを示しました。
習主席が示した5つの方向性
会談で習主席は、今後の日中関係を発展させるために、主に次の5点を挙げました。
1. 重要なコンセンサスと政治的基盤の堅持
習主席は、両国がこれまで積み重ねてきた政治的な合意を順守することの重要性を強調しました。具体的には、戦略的互恵関係を包括的に推進すること、互いを脅威ではなくパートナーとして位置づけること、歴史を鏡として未来を切り開くことなどのコンセンサスを挙げました。
また、歴史や台湾などの重要な問題については、両国間の四つの政治文書に明記された取り決めを守り、その政治的基盤を損なったり揺るがしたりしないよう求めました。さらに、習主席は、過去の侵略の歴史を深く反省し、被害を受けた国々に謝罪した村山談話に触れ、その精神を引き続き重んじるべきだと述べました。
2. 経済協力と相互利益の追求
習主席は、中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議で、第15次5カ年計画という中国の発展に向けた新たな青写真が示されたと説明しました。そのうえで、日中間には今後の協力の余地が大きいと指摘しました。
具体的には、高度な製造業、デジタル経済、グリーン(環境配慮型)開発、金融、医療、介護、第三国市場での協力などの分野で連携を強化し、国際的な多角的貿易体制を共に支えながら、産業・サプライチェーンの安定と円滑な運営を確保していく必要があると呼びかけました。
3. 人的交流と多層的な対話の拡大
習主席は、政府間だけでなく、政党や立法機関の間の対話、地方レベルの交流、市民同士の往来を一層深めるべきだと強調しました。こうした人と人とのつながりを広げることで、両国民の相互理解や親近感を高めたい考えです。
4. 多国間協力とアジア太平洋の共同体づくり
さらに習主席は、善隣友好、平等、互恵、そして互いの内政に干渉しないという原則を掲げ、日中両国が真の多国間主義を実践する必要性を訴えました。アジア太平洋地域で共同体意識を育み、地域全体の安定と繁栄に貢献していくべきだとしました。
5. 相違点の管理と対立のコントロール
最後に習主席は、両国間には機会と同時に課題も存在すると認めたうえで、対立や意見の違いが二国間関係全体を規定してしまうことがないよう、適切に管理する重要性を指摘しました。大局を見据えつつ、共通点に焦点を当てながら相違点を縮小し、国民感情の悪化や誤解によるエスカレーションを避けるべきだと呼びかけました。
高市首相「中国は重要な隣国」 台湾問題への立場も確認
高市首相は会談で、中国は日本にとって重要な隣国であり、両国は地域および世界の平和と繁栄に対して重要な責任を担っていると述べました。
そのうえで、日本として中国側とのハイレベルの対話を維持し、あらゆるレベルでの意思疎通を強化して相互理解を深め、協力を拡大していく考えを表明しました。戦略的互恵関係を着実に前進させ、建設的で安定した日中関係を築くことを目指すとしています。
また台湾問題については、1972年の日中共同声明で示された立場を日本は引き続き堅持すると述べました。同声明は、日中関係の原点の一つとして、台湾をめぐる日本の基本的な姿勢を定めたものです。
日中関係の「新時代」はどこへ向かうか
今回の会談は、世界経済や安全保障環境の不透明感が増す2025年において、アジア太平洋の二大経済大国がどのように関係を安定させていくのかを占ううえで、重要な一場面となりました。
一方で、日中関係には、経済面での高い相互依存がある一方、安全保障や歴史認識などをめぐる課題も存在します。習主席が四つの政治文書や村山談話に言及し、高市首相が1972年共同声明の立場を再確認したことは、両国が既存の枠組みを土台にしながら、関係の安定化を図ろうとしていることを示していると言えます。
習主席が掲げた「互いは脅威ではなくパートナー」という原則と、高市首相の「建設的で安定した日中関係」という目標が、今後どの程度具体的な政策や協力プロジェクトとして形になるかが焦点となりそうです。
これからの注目ポイント
今回の会談を受け、今後どのような変化が起きうるのか。特に次のような点が注目されます。
- 具体的な経済協力の中身:高度な製造業やデジタル経済、グリーン開発、金融、医療・介護、第三国市場での連携など、どの分野で目に見える進展が出てくるか。
- 人の往来と相互理解の拡大:観光や留学、ビジネス出張などを通じて、両国民の交流をどこまで広げられるか。地方都市間の交流や若者同士の対話の場づくりも鍵になります。
- サプライチェーンと地域経済の安定:アジア太平洋の国と地域を結ぶ産業・供給網の安定に、日中がどのような役割を果たすのか。APECなど多国間の枠組みでの協調も問われます。
- 歴史問題と台湾問題の管理:村山談話や日中共同声明などの精神を踏まえつつ、歴史をめぐる議論や台湾問題が緊張の火種とならないよう、どのように対話を続けていくか。
私たちの生活への意味
外交の話題は遠く感じられがちですが、日中関係の安定は、私たちの日常にも直結します。身近なところでは、物価や商品の供給、企業の投資や雇用、留学や観光、デジタルサービスや環境技術の普及など、多くの分野で影響が出ます。
今回の首脳会談は、日中両国が対立よりも協調に重心を移し、建設的で安定した関係を築けるのかを試す起点とも言えます。読者のみなさんは、どのような日中関係の姿が、自分や周囲の人にとって望ましいと感じるでしょうか。ニュースをフォローしながら、自分なりの視点を持って見つめていきたいテーマです。
Reference(s):
Xi Jinping meets new Japanese Prime Minister Sanae Takaichi in ROK
cgtn.com








