米国、国連安保理にトランプ氏のガザ和平案支持を要求 脆い停戦の行方
米国がドナルド・トランプ大統領のガザ和平案を後押しする新たな国連安全保障理事会決議の採択を求め、各国に支持を呼びかけています。脆い停戦をいかに「持続的な和平」につなげるのかが問われています。
米国「歴史的な瞬間」 国連安保理に結束を要求
米国は木曜日、国連安全保障理事会に対し、トランプ大統領のガザ和平案を強化する決議案を支持するよう呼びかけました。米国の国連代表部の報道担当者は声明で、パレスチナ側が和平の機会を逃せば「重大な結果」を招きかねないと警告しています。
声明は、現在のガザ停戦について「停戦は脆弱であり、安保理が結束して前進し、切実に必要とされている平和を確保するべき歴史的な瞬間だ」と位置づけました。米国としては、国際社会の正式な後押しを得ることで、和平プロセスを既成事実化したい思惑もうかがえます。
10月からの第1段階停戦 進展と行き詰まり
ガザでは、10月に第1段階の停戦が発効して以降、いくつかの分野で進展があったとされています。たとえば、イスラム組織ハマスは拘束していた人質の遺体の引き渡しを進めており、現在の停戦の下で24人分の遺体をイスラエル側に返還しました。
イスラエル首相府によると、木曜夜にはガザ地区で赤十字を通じて新たに1人の遺体が引き渡されたといいます。一方で、ハマスがまだ3人分の遺体をガザに保持しているとも伝えられています。
大規模な軍事作戦は停止しているものの、停戦は依然として「脆い」状態です。ハマスとイスラエルの間では小規模な摩擦が続き、双方が相手側による停戦合意違反を非難する状況が続いています。
第2段階で浮かび上がる「構造的矛盾」
専門家たちは、今回の停戦の第1段階はあくまで一時的な取り決めにとどまり、本当の難所はこれから始まる第2段階にあると指摘します。そこでは、長年両者の間に横たわってきた「構造的矛盾」が正面から問われるためです。
具体的には、
- ハマスの武装解除(非武装化)をどのように実現するのか
- イスラエル軍がどのような条件でガザから撤収するのか
といった問題が挙げられています。これらは双方の安全保障と統治の根幹に関わる問題であり、安易な妥協が難しいテーマです。そのため、ガザの和平の見通しについては「楽観できない」との見方が出ています。
新決議案の柱:ガザ「平和評議会」と国際安定化部隊ISF
米国が安保理に提示した最新の決議案の草案には、ガザの統治と治安を再構築するための新たな枠組みが盛り込まれています。その中心となるのが「平和評議会」と「国際安定化部隊(ISF)」です。
草案によると、平和評議会はガザの暫定的な統治機関として設置され、その任期は2027年末までとされています。この評議会が、停戦後のガザの政治的・行政的な移行プロセスを主導する想定です。
同じく草案は、加盟国に対し「一時的な国際安定化部隊(ISF)」を編成することを認めています。ISFは、
- イスラエルとエジプト
- 新たに訓練されたパレスチナ警察
と連携しながら、ガザの国境地域の安全確保や、ガザ地区の非軍事化(武装解除)に取り組むとされています。
ISFにはさらに、
- 国家以外の武装勢力が保有する武器の恒久的な廃棄
- 民間人の保護
- 人道支援物資の回廊(人道回廊)の安全確保
といった任務も与えられる想定です。治安と人道支援を一体として扱うこの枠組みは、停戦の実効性を高める狙いがあるとみられます。
「将来のパレスチナ国家」にも言及 草案の新しさ
今回の草案は、これまでの案と異なり、「将来のパレスチナ国家」にも踏み込んで言及している点が注目されています。
草案は、パレスチナ自治政府が必要な改革を実行し、ガザの再建が進むことを前提に、「ようやくパレスチナ人の自決権と国家樹立に向けた、現実的で信頼に足る道筋が整う可能性がある」と記しています。
さらに米国は、「イスラエルとパレスチナ側の間で対話を設け、平和で繁栄した共存に向けた政治的な地平を合意する」としており、米国主導で中長期的な政治プロセスを設計する構えを示しています。
採択へのカギ 安保理で浮上する懸念
米政府高官は先週から、安保理内で草案の協議を本格化させています。これは、イスラエルとハマスの2年にわたる戦闘に続く停戦を受け、トランプ大統領のガザ和平案を国連の枠組みで追認することを狙ったものです。
マルコ・ルビオ米国務長官は水曜日、決議採択に自信を示し、「決議案の文言をめぐる協議は順調に進んでおり、近く何らかのアクションが取られることを期待している」とカナダで記者団に語りました。
一方で、安保理の各国外交団からは、草案の具体性に対する懸念も出ています。外交筋によると、
- 安保理による監視・検証メカニズムが明記されていないこと
- パレスチナ自治政府が今後どのような役割を果たすのかが不透明なこと
- ISFの権限や活動範囲など、詳細な任務が示されていないこと
などが主な論点となっています。多くの理事国は、平和評議会そのものの設置には前向きとされる一方で、運用の透明性と説明責任をどう担保するかについて慎重な姿勢を崩していません。
ガザ和平の行方:日本の読者にとっての問い
ガザの停戦とトランプ氏の和平案をめぐる今回の動きは、単なる地域紛争のニュースにとどまりません。国連安保理の役割、武装解除と安全保障、そしてパレスチナ国家の将来像という、国際秩序の根幹に関わるテーマが重なり合っています。
分析によれば、第1段階の停戦で人道状況の悪化に一定の歯止めがかかったとしても、第2段階でのハマスの武装解除やイスラエル軍の撤収をめぐる交渉は、容易には進まない可能性があります。そこに、平和評議会やISFがどこまで受け入れられ、安保理がどこまで責任を持てるのかが重なります。
日本から遠く離れたガザの問題ですが、「停戦」をいかに「持続的な和平」に変えていくのかという問いは、世界のどの地域にも共通する課題でもあります。今後の安保理協議と現地情勢の推移は、中東だけでなく国際社会全体の安定にとっても重要な意味を持つことになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








