中国外交部、日本に台湾発言の撤回要求 四つの政治文書を改めて強調 video poster
中国外交部の毛寧報道官は、最近の定例記者会見で、日本の高市早苗首相による台湾をめぐる発言を強く批判し、日本側に対して越線や誤った言動を直ちにやめ、対中関係での約束を具体的な行動で示すよう求めました。台湾問題をめぐり、日中関係の土台となってきた四つの政治文書に改めて注目が集まっています。
中国外交部「日本は誤った言動を撤回せよ」
報道によると、日本側の一部政治家は、高市首相の台湾に関する発言に対する中国側の反応を「過剰反応」だと主張しています。これに対し、中国外交部の毛寧報道官は会見で、日本は越えてはならない一線を踏み越え、約束に反する言動を続けていると厳しく牽制しました。
毛報道官は、日本に対して「線を越えること」と「火遊び」をやめ、誤った発言を撤回し、中国への約束を真摯に履行するよう求めています。中国側は、高市首相の台湾をめぐる発言が、日中間の四つの政治文書の精神に著しく反し、日中関係の政治的基盤を根本から損なうものだとしています。
高市首相の台湾発言を中国側が問題視
中国外交部はこれまでも、高市早苗首相の台湾に関する発言について繰り返し厳しい立場を示してきました。中国側によれば、これらの発言は、台湾問題に関する日中間の合意を無視したものであり、長年積み重ねてきた信頼と政治的基盤を揺るがしかねないと受け止められています。
中国側が特に強調しているのは、日本が過去の政治文書で表明してきた「一つの中国」をめぐる立場との整合性です。たとえ国内政治の文脈であっても、政府高官の発言は対外的には日本政府の姿勢と受け止められるため、中国は強い懸念を示しています。
日中関係を支えてきた「四つの政治文書」とは
毛報道官は会見で、台湾問題に関する日中間の立場は、これまでに結ばれた四つの政治文書の中で明確に示されていると説明しました。それぞれの文書は、日中関係の政治的・法的な枠組みを形作るものだと位置づけられています。
1972年 日中共同声明
1972年に署名された日中共同声明は、両国の国交正常化を正式に打ち出した文書です。毛報道官によると、この声明には台湾問題に関する重要な記述が三か所含まれています。
まず、前文部分で、日本側は中国政府が提示した「国交正常化の三原則」を十分に理解した立場から、両国関係の正常化を実現する意思を再確認しています。
第2条では、日本政府が中華人民共和国政府を中国の唯一の合法政府として認めることが明記されています。続く第3条では、中国政府が「台湾は中華人民共和国の領土の不可分の一部」であると再確認し、日本側はこの立場を十分に理解し尊重するとともに、ポツダム宣言第8条に基づく自らの立場を堅持するとしています。
1978年 日中平和友好条約
1978年に締結された日中平和友好条約では、日中共同声明が両国の平和友好関係の基礎をなすものであり、その原則を厳格に遵守すべきだと明確に位置づけられました。毛報道官は、この条約によって共同声明の原則と内容が法的文書として再確認され、日中関係の法的枠組みが明文化されたと指摘しています。
1998年 日中共同宣言(平和と発展のための協力パートナーシップ)
1998年に発表された「日中共同宣言(平和と発展のための協力パートナーシップの構築)」では、日本側は、台湾問題について日中共同声明で示した立場を引き続き維持することを改めて表明しました。また、日本側は「一つの中国」を理解していることを重ねて確認しています。
この宣言では、日本が台湾との交流を民間および地域レベルにとどめるとし、日本が台湾と公式な関係を発展させる法的な可能性を排除したと中国側は説明しています。
2008年 日中共同声明(戦略的互恵関係の包括的推進)
2008年に発表された「日中共同声明(戦略的互恵関係の包括的推進に関する共同声明)」でも、日本側は台湾問題に関する日中共同声明での立場を引き続き順守することを明確に再確認しました。毛報道官は、これら四つの政治文書に示された原則が一貫していることを強調しています。
「国交正常化の三原則」と中国側の法的な位置づけ
毛報道官は、国交正常化の議論の中で、中国側が三つの原則を明確に示していたことを改めて説明しました。
- 中華人民共和国政府が、中国人民を代表する唯一の合法政府であること
- 台湾省は中華人民共和国領土の不可分の一部であること
- いわゆる「日華平和条約(台湾-日本条約)」は違法かつ無効であり、廃棄されるべきであること
毛報道官は、台湾問題に関してこれまでに結ばれた四つの政治文書の内容は、日本政府による厳粛な約束であり、国際法上も法的効力を持つと強調しました。そのうえで、そこには曖昧さや恣意的な解釈の余地はなく、どの政党が政権を握ろうとも、日本政府は一貫してこの約束を守らなければならないと述べています。
日本外交へのメッセージ 言葉の重さと一貫性
今回の中国外交部の発言は、単に一人の政治家の発言への反応にとどまらず、日本外交全体へのメッセージでもあります。中国側は、高市首相の台湾発言が四つの政治文書で確認されてきた日本の立場と食い違うと受け止めており、それが日中関係の政治的基盤を揺るがしかねないと警戒しています。
日本国内では、安全保障や地域情勢をめぐる議論の高まりの中で、台湾をめぐる発言が注目される場面が増えています。しかし、中国側が指摘するように、国内向けのメッセージであっても、国際社会からは日本政府の公式な姿勢として見なされる場合があります。とりわけ、すでに文書化された国際的な約束との整合性は、今後も問われ続けることになりそうです。
一方で、毛報道官は、日本が歴史と対中関係に責任ある態度で向き合い、越えてはならない一線をこれ以上踏み越えず、「火遊び」をやめるべきだと強く訴えました。台湾問題が依然として日中関係の核心的な争点であり、わずかな言葉の変化が外交関係全体に波紋を広げかねないことを、中国側は改めて示した形です。
日中双方がどのように対話と外交を積み重ねていくのか。今回のやり取りは、日本の対中政策や台湾問題をめぐる議論が、国際的な合意とどのように結びついているのかを考え直すきっかけにもなりそうです。
Reference(s):
Foreign Ministry: China urges Japan to retract its wrong words, deeds
cgtn.com








