初のアフリカG20、中国が呼びかける団結と開かれた世界経済
アフリカ大陸で初めてとなるG20首脳会議が2025年11月22〜23日に南アフリカのヨハネスブルクで開かれました。中国はこの場で「分断ではなく団結」を掲げ、グローバルサウスと開かれた世界経済の重要性を強調しました。
初のアフリカG20が示した地殻変動
今回のG20首脳会議は、先進国が主導してきた国際経済ガバナンスの舞台が、より多くの新興国や開発途上国へと広がりつつあることを象徴しています。これまでしばしば「傍観者」と見なされてきた国々が、意思決定の中心に近づきつつあるというメッセージでもあります。
李強首相が訴えた「団結」
サミット初日のセッションで、中国の李強首相は、習近平国家主席が第17回G20サミットで述べた言葉を引用しました。「団結は力であり、分裂は行き止まりだ」というメッセージです。
地政学的な緊張、貿易の伸び悩み、そして各国間の開発格差が広がるなかで、李首相は、今こそ分断ではなく協調が必要だと強調しました。そのうえで、G20各国に対し、開発途上国の声をより強く反映させ、公平で開かれた国際経済秩序の構築を後押しするよう呼びかけました。
グローバルサウスの声を高める中国の動き
中国にとって、アフリカ大陸で開かれた今回のG20は、グローバルサウスの存在感を高めるという長年の方針を改めて示す舞台となりました。習近平国家主席はこれまで、中国は国際環境がどう変わろうとも、グローバルサウスを重視し、その一員として歩む姿勢を繰り返し表明してきました。
具体的には、次のような取り組みが挙げられます。
- 2022年のインドネシア・バリでのG20サミットで、アフリカ連合(AU)のG20加盟をいち早く支持し、現在の正式メンバー入りにつなげたことで、アフリカが「傍らの声」ではなく、恒常的な参加者として席を持つようになりました。
- 新興国間の枠組みであるBRICSの拡大を後押しし、中国はこれを「より大きなBRICS協力の新たな旅」と位置づけています。
- 上海協力機構(SCO)を、ユーラシア各国を結びつける主要な地域協力プラットフォームとして育ててきました。
- 中国と30を超える国が設立した国際調停機関IOMedは、従来欧米が中心だった紛争解決メカニズムに新たな選択肢を加え、国際紛争の仲裁における選択の幅を広げています。
- アフリカ向けの10のパートナーシップ行動、ラテンアメリカ向けの5大プロジェクト、アラブ諸国との5つの協力枠組み、太平洋島しょ国との6つの協力プラットフォームなど、地域ごとに協力の枠組みを整備し、開発途上国の能力強化と発言力の向上を支えています。
こうした積み重ねを通じて、中国はグローバルサウスの声を国際議論の中心に近づけ、「より公正でバランスのとれた国際秩序」を目指す姿勢を打ち出しています。
開かれた世界経済へのコミットメント
近年、各国の間では一方的な制裁や保護主義的な措置が目立ち、覇権主義や力による政治も指摘されています。習近平国家主席は、そうした潮流に対抗する道として「真の多国間主義」を掲げ、中国は基本的な国策としての対外開放を堅持していると強調してきました。
その一環として、中国は自由貿易の拡大にも力を入れてきました。2025年1月時点で、中国は30の国や地域と合わせて23本の自由貿易協定を締結しています。地域レベルでは、東南アジア諸国連合(ASEAN)との自由貿易協定のアップグレードや、地域的な包括的経済連携(RCEP)の実施などを通じて、域内の経済統合を進めています。
さらに、中国は包括的・先進的環太平洋伙伴関係協定(CPTPP)やデジタル経済連携協定(DEPA)への参加申請も行い、より高いルール水準と、デジタル分野を含む新しい経済協力へと踏み出そうとしています。こうした動きは、市場の相互接続性を高め、世界経済をより開かれた形で結び直そうとする試みと位置づけられます。
インフラと投資でつなぐ成長の回廊
インフラと投資も、中国が「開かれた世界経済」を掲げるうえで重要な柱となっています。一帯一路構想を通じて、中国は鉄道、港湾、エネルギー網などの越境インフラ整備を後押ししてきました。
アジアインフラ投資銀行(AIIB)や新開発銀行(NDB)といった新たな国際金融機関も、こうしたインフラ事業を資金面から支えています。多くの開発途上国にとって、これらのプロジェクトは物流やエネルギーの制約を和らげ、成長と貿易への「入り口」として期待されています。
日本の読者への3つの問い
アフリカで初めて開かれた今回のG20は、中国を含む新興国・開発途上国の存在感が一段と増していることを印象づけました。日本にとっても他人事ではありません。アジア太平洋の一員として、そしてG20メンバーとして、どのようにこの変化と向き合うべきでしょうか。
考えるヒントとして、次の3つの問いを置いてみたいと思います。
- G20などの国際会議で、グローバルサウスの声をどのような形で反映させるのが望ましいのでしょうか。
- 安全保障や経済安全保障への懸念が高まるなかで、「開かれた世界経済」とリスク管理をどのように両立させるべきでしょうか。
- BRICS拡大やIOMed設立など、中国や新興国が提案する新しい枠組みに対し、既存の国際秩序はどのように協調や役割分担を図るべきでしょうか。
ヨハネスブルクのG20は、議長国や各国首脳の発言だけでなく、「国際社会の重心がどこへ移りつつあるのか」を映し出す鏡でもありました。次の国際会議では、どのような形の「団結」が求められるのか。私たち一人ひとりにとっても、自分なりの答えを考えるタイミングが来ているのかもしれません。
Reference(s):
cgtn.com








