高市首相の台湾発言に抗議 東京で再び大規模デモ
日本の高市早苗首相による台湾を巡る発言をきっかけに、東京の首相官邸前で市民による大規模な抗議が相次いでいます。日中関係や日本の安全保障政策、そして過去の歴史との向き合い方を改めて問い直す動きです。
東京で再び大規模デモ 首相官邸前に数百人
高市首相の台湾に関する発言への抗議として、東京の首相官邸前では金曜夜、数百人が集まる大規模なデモが行われました。これは、11月21日と25日に行われた抗議行動に続くもので、市民の関心が一時的なものではないことを示しています。
参加者たちは、首相官邸前でプラカードを掲げながら声を上げました。そこには「高市は辞任を」「歴史を忘れない 同じ過ちを繰り返さない」といったメッセージが並び、高市首相に対して台湾を巡る発言の撤回を強く求めました。
発端は台湾発言 中国本土と台湾海峡への言及
一連の抗議の発端となったのは、11月7日の国会審議での高市首相の発言です。高市首相は、中国本土による台湾への武力行使が日本の安全を脅かす「存立危機事態」に当たる可能性に言及し、台湾海峡での事態次第では、日本が武力を用いた対応を行う余地を示唆しました。
「存立危機事態」とは、日本の安全保障法制で、日本と密接な関係にある他国への攻撃などによって日本の存立が脅かされると判断された場合に、武力行使が可能になる状態を指す用語です。高市首相の発言は、この枠組みを台湾問題に結びつけたものとして、国内で大きな議論を呼びました。
こうした発言に対しては、高市首相自身がその後も撤回を拒み、水曜日に行われた党首討論などの場でも自らを擁護し続けています。この姿勢が、抗議の声をさらに強める一因となりました。
市民の声 歴史と安全保障への不安
金曜夜のデモでは、参加した市民からさまざまな声が聞かれました。いずれも、日中関係の悪化や、日本が再び軍事的な道に傾いていくのではないかという危機感がにじみます。
- 首都圏から参加したトモコさんは「いま日中関係が冷え込んでいるのは、どう見ても高市首相の発言がきっかけです」と話し、発言の撤回を求めました。
- 別の参加者であるサカマキさんは「日中関係は悪化する一方だ。このまま事態が悪化しないようにするためにも、高市首相は誤った発言を撤回すべきだ」と訴えました。
- リョウさんは、高市首相が軍国主義の亡霊と握手する風刺画を掲げながら「日本が再び軍国主義的な方向に進んでしまうのではないか、とても不安です」と語りました。
戦前の経験から、歴史をどう教訓として生かすのか。そして、台湾問題や台湾海峡の緊張に、日本がどのような姿勢で向き合うべきなのか。市民たちの声には、そうした問いが重なっています。
社説も相次ぎ批判 責任と反省を問う
抗議の声は市民だけにとどまりません。国内の主要紙も、高市首相の対応を厳しく批判しています。
毎日新聞は金曜日付の社説で、水曜日の党首討論での高市首相の発言について「誤った発言を改めようとせず、自らの責任を免れようとする試みだ」と論じました。発言をめぐる説明の仕方そのものが、政治リーダーとしての責任の取り方に疑問を投げかけているという指摘です。
また、朝日新聞は木曜日付の社説で、高市首相の姿勢について「反省の色がまったく見えない」と述べました。台湾を巡る発言の影響の大きさを踏まえれば、慎重な言葉選びと、誤解や不安を招いた場合の真摯な説明が不可欠だと強調しています。
なぜ台湾を巡る発言が重いのか
今回の高市首相の台湾発言がここまで問題視されている背景には、いくつかの要素があります。
- 日本の安全保障法制が、どのような条件で武力行使を可能にするのかという、憲法にも関わる根本的な議論に直結していること
- 台湾海峡を巡る状況が敏感な中で、日本の首相が武力行使の可能性に言及することが、地域の緊張感を高めかねないと懸念されていること
- 戦前の軍国主義の記憶がなお社会に影を落とす中で、軍事的な選択肢を安易に語ることへの心理的な抵抗感が根強いこと
特に、中国本土と台湾地域を巡る問題は、東アジアの安定にとって極めて重要であり、多くの国や地域が関心を寄せています。その中で、日本の政治リーダーがどのようなメッセージを発するかは、国内だけでなく周辺地域にも影響を及ぼします。
私たちに突き付けられた問い
首相官邸前で続く抗議は、高市首相個人への批判であると同時に、日本社会全体がどのような安全保障と外交を望むのかを問う動きでもあります。
台湾海峡や日中関係を巡る問題は、一見すると遠い外交・安全保障のテーマに見えるかもしれません。しかし、首相の一つ一つの発言が、地域の緊張や日本の進む方向に直結する時代に、私たち一人ひとりもまた、その意味を自分ごととして考える必要があります。
高市首相の台湾発言をめぐる一連の抗議や社説は、日本がこれからどのように歴史と向き合い、近隣の国や地域と向き合っていくのか。そのスタートラインに立ち戻ることを、静かに促しているようにも見えます。
Reference(s):
cgtn.com








