米国関税でカナダ鉄鋼大手アルゴマが1000人削減へ
カナダの大手鉄鋼メーカー、アルゴマ・スチールが、米国による前例のない50%の関税の影響で、約1000人の従業員を削減すると発表しました。2026年3月23日に予定される大規模レイオフは、地域経済や国際貿易の行方にどんな意味を持つのでしょうか。
カナダ大手アルゴマ・スチールで1000人削減へ
Algoma Steelの本社は、オンタリオ州スーセントマリーにあり、カナダ有数の統合型鉄鋼メーカーとして知られています。同社は約2700人を雇用する地域の基幹企業で、今回の約1000人のレイオフは、従業員のおよそ3分の1超に相当します。
現地報道によると、同社は月曜日、米国の関税による深刻な財務的圧力を理由に、人員削減に踏み切ると表明しました。レイオフは2026年3月23日に発効する予定で、2025年12月時点では数か月後に迫っている計画です。
米国の50%関税が「競争環境を一変」
同社によれば、米国が課した50%の関税は「前例のない」水準で、これによって競争環境が根本的に変わったとしています。関税により米国市場へのアクセスが大きく制限され、同社の販売機会が急激に縮小したことが、今回のレイオフ決定につながったと説明しています。
鉄鋼のように国境をまたいで取引される製品では、関税が価格に与える影響が大きく、わずかな税率の変化でも競争力を左右します。50%という高い関税は、輸出企業にとって事業モデルそのものの見直しを迫るレベルだといえます。
今年9月には5億カナダドルの公的支援も
こうした圧力に対応するため、アルゴマ・スチールは今年9月、連邦政府とオンタリオ州政府から合計5億カナダドル(約3億6000万米ドル)の融資支援を受けました。目的は、米国関税の影響を和らげることでした。
しかし、金融支援が行われたにもかかわらず、同社はなお収益確保が難しい状況に直面しているとみられます。今回のレイオフ発表は、公的資金だけでは関税による構造的な逆風を乗り越えることが難しい現実を映し出しているともいえます。
オンタリオ州は再訓練支援センターを設置
オンタリオ州のヴィック・フェデリ経済開発・雇用創出・貿易相は、今回の発表を受けて、影響を受ける労働者を支援するための特別センターを立ち上げると明らかにしました。このセンターでは、再就職に向けた職業訓練やスキルアップのプログラムが提供される予定です。
フェデリ氏はあわせて、連邦政府に対し、パイプラインや重要インフラ、船舶、軍事・防衛装備の整備などに、オンタリオ産の鉄鋼を積極的に活用するよう要請しています。国内需要を喚起することで、輸出市場の逆風を一部相殺したいという狙いがうかがえます。
国際ニュースとして読む「関税」と雇用の関係
今回のアルゴマ・スチールの事例は、関税政策が企業や地域社会にどのような影響を与えるかを、分かりやすく示しています。
ポイントを整理すると、次のようになります。
- 高い関税は、輸出企業の価格競争力を一気にそぎ、主要市場へのアクセスを狭める
- 企業はコスト削減の一環として人員削減を迫られ、地域の雇用に直接的な打撃が及ぶ
- 政府による金融支援や再訓練政策は、短期的な痛みを和らげる一方で、根本的な解決策にはなりにくい
日本を含む多くの国々でも、保護主義的な動きや貿易摩擦が経済ニュースの重要なテーマとなっています。カナダの鉄鋼業で起きていることは、「関税」という一見抽象的な政策が、自分たちの働き方や地域経済とどうつながっているのかを考えるヒントにもなります。
今後、アルゴマ・スチールのレイオフ計画がどのように実行されるのか、またカナダと米国の間で関税をめぐる議論がどう展開していくのかは、2026年に向けた国際ニュースの重要な注目点の一つとなりそうです。
Reference(s):
Canadian steelmaker to lay off 1,000 workers amid U.S. tariff pressure
cgtn.com







