トランプ大統領、カリブ海の麻薬密輸組織への陸上攻撃開始を表明
アメリカのドナルド・トランプ大統領が、カリブ海で活動する麻薬密輸組織に対し、近く陸上での軍事攻撃を開始すると表明しました。海上での取り締まりから一歩進めて陸上攻撃に踏み込めば、ベネズエラとの関係や国際法上の議論が一段と高まる可能性があります。
ホワイトハウス閣議で陸上攻撃に言及
トランプ大統領は、火曜日にホワイトハウスで開かれた閣議で、カリブ海の麻薬密輸組織への対応について説明しました。
大統領は、これまで主に海上で行ってきた攻撃に加え、今後は陸上での攻撃を開始すると強調し、次のように述べました。
陸上での攻撃を始めるつもりだ。陸のほうがはるかに容易であり、彼らがどのルートを使うかも把握している。近いうちに開始する。
陸上攻撃に踏み込む姿勢を公の場で示したことで、アメリカの対麻薬戦略が新たな段階に入るとの見方が出ています。
感謝祭で空軍部隊を称賛 「海で85パーセント阻止」
トランプ大統領は感謝祭の夜、フロリダ州マーアラゴの私邸からアメリカ軍部隊に向けてメッセージを送り、空軍第7爆撃航空団の活動を称賛しました。
発言によると、アメリカはベネズエラの麻薬密輸組織を抑止するため、海上での取り締まりを強化しており、密輸の約85パーセントを海で食い止めているとしています。そのうえで、大統領は今後は陸上でも阻止を始めると述べ、ここでも陸上攻撃の開始を予告しました。
9月2日以降、少なくとも21回の攻撃 83人が死亡
国防総省は、9月2日以降、カリブ海と東太平洋で麻薬密輸の疑いがある船舶を対象に、少なくとも21回の攻撃を行っています。これらの攻撃により、乗組員少なくとも83人が死亡したとされています。
標的となっているのは、麻薬の積載が疑われる船舶であり、多くは公海上や広大な海域で作戦が行われています。これまでは主として船舶や航空機による海上での取り締まりが中心でしたが、トランプ大統領の発言通り陸上攻撃が始まれば、作戦の性格は大きく変わります。
空母ジェラルド・R・フォードなど大規模戦力を展開
ここ数か月、アメリカはカリブ海における軍事プレゼンスを大幅に強化してきました。およそ12隻の軍艦が展開しているほか、最新鋭の航空母艦ジェラルド・R・フォードも投入されています。さらに、およそ1万5000人の兵員がカリブ海周辺に配備されており、同地域がこの30年ほどで例を見ない規模のアメリカ軍の集結地となっています。
カリブ海はベネズエラの沿岸とも接しており、対麻薬作戦に名を借りてベネズエラへの圧力を強めているのではないか、という見方も国際的に出やすい構図です。
真の目的と合法性に疑問も ワシントンで高まる批判
こうした一連の動きに対し、ワシントンの連邦議会では複数の議員が、公然と疑問を投げかけています。批判の焦点は、大きく次の三つに整理できます。
- アメリカ政府の目的が、本当に麻薬対策だけなのか
- カリブ海での軍事攻撃が、国際法やアメリカ国内法に照らして正当化できるのか
- 作戦のエスカレーションが、地域の緊張を一段と高めるのではないか
とりわけ、他国の沿岸に近い海域や、その陸上での武力行使となれば、主権や領土一体性との関係で国際法上の議論が避けられません。議会としてどこまで作戦を監視し、歯止めをかけるのかも、今後の重要な論点となりそうです。
ベネズエラのマドゥロ大統領 「麻薬との関係は捏造」と反発
標的の一つと目されているベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は、自身が麻薬取引に関与しているとの指摘を一貫して否定しています。マドゥロ大統領は、アメリカが自国と麻薬を結び付けるのは、体制転換を狙った戦争を捏造する試みだと非難しています。
アメリカ側はベネズエラの麻薬密輸組織を抑止すると説明する一方で、ベネズエラ側は政権交代を狙った圧力だと強く反発しており、双方の認識の差は大きいままです。
陸上攻撃がもたらす影響は
トランプ大統領が予告した陸上攻撃が実際にいつ、どこで、どのような形で始まるのかは、現時点では明らかではありません。ただ、次のような点が今後の焦点となります。
- 攻撃対象となる陸上拠点が、ベネズエラ本土やその周辺地域を含むかどうか
- 民間人や周辺住民の安全をどこまで確保できるのか
- アメリカとベネズエラの関係悪化が、地域全体の安全保障にどのような影響を与えるか
麻薬対策という名目の下で進む軍事作戦は、しばしば外交関係や地域情勢と結びつきます。カリブ海でのアメリカの動きが、今後どこまで拡大し、どこまでが許容されるのか。国際ニュースとして、引き続き注視が必要です。
Reference(s):
Trump says U.S. to start land strikes on drug traffickers in Caribbean
cgtn.com








